日本神話で磨くビジネススキル|リーダーは明確なビジョンを提示しよう

日本神話をもとに神レベルのビジネススキルを学ぶ、世界無二のシリーズ。

このスキルを実践すれば、神レベルのビジネスパーソンに変身すること請け合いである。

第3回目は「ビジョンの提示」を取り上げる。

 

2016年1月1日である。今年一年の抱負と期待を胸に、新たな年を迎えていらっしゃると思う。そこで、新年に相応しい内容として日本神話が伝える「ビジョンの提示と動機づけの方法」を取り上げる。神話の時代から伝えられてきた秘伝のノウハウを大公開。あけましておめでとうございます。

 

神武東征神話から学ぶ神レベルのビジョン設定術

 

神武東征神話を御存知だろうか?

 

初代天皇として即位した「神日本磐余彦天皇(かんやまといわれひこのすめらみこと)」が、

日向の地を出発し、幾多の困難を経て橿原神宮で即位するまでを描く「日本最古の英雄譚」である。

名前が長い?であれば「磐余彦(いわれひこ)」で結構だ。敬称略。

 

彼が、どのように日本という「国」を設立したのか?その際、どのように部下を統率したのか?

その言動を探る事で、神レベルの統率術を修得する事が可能という訳だ。

 

「神武東征神話」自体は『日本書紀』の「神武紀」に詳しい。

磐余彦が、東征の果てに橿原で「天皇」として即位して以来ずっと、日本という国は「天皇制」を継承してきたのだ。数千年にもわたって同じ王朝が現代まで続いている例は世界でも類がない。唯一無二の存在である。

ちなみに、当サイトでは神代からこの橿原即位までを「神話の時代」と定義している。

 

プレーヤーを整理しておこう。

・磐余彦(いわれひこ):後に橿原神宮で「神武天皇」として即位する。東征決意の時、御年45歳。

・諸皇子(もろもろのみこ):その他もろもろの部下

 

まず確認してもらいたいのは、磐余彦が出発した地である。

日向。

つまり、現在の「宮崎」である。

 

「神武東征神話」とは、つまり、宮崎出身の(誤解を恐れずに言えば)田舎者が、国の中心を目指して東へ向かう一大プロジェクトである。

この「宮崎出身の中年男(45歳)」は、なんと幾多の困難と約6年もの歳月を経て、国家設立という偉業を成し遂げるのである。

 

夢のある話ではないだろうか?

本稿を通じて、人生に対して激しく奮起されることを期待したい。

 

さて、以上を踏まえて1つ質問をしたい。

 

あなたが何かを成し遂げようとするとき、部下に対してどのように語り、どのように動機づけをするだろうか?

 

 

 

考えていただいただろうか?

その上で、以下読み進めてもらいたい。

 

日本神話的考え方・ルールは3点に集約される。

①経緯と現状認識を先に説明する事。

②得られるベネフィットを提示しながらビジョンを具体的に示す事。

③自己の直感をもとに、Iメッセージで話をする事。

それぞれ事例をもとに見ていこう。

 

①経緯と現状認識を説明する事。

磐余彦が諸皇子らに東征を発議する内容をそのまま抜粋する。

「天祖が天から降ってからこのかた今日まで、一百七十九万二千四百七十余年が過ぎた。しかしながら、遠く邈(はる)かな地は、なお未だ王沢に霑(うるお)っていない。その結果、邑には君が有り、村には長がいて、各自が領界を分け、それで互いにしのぎを削り合って争う始末である。」

読み
王沢(おうたく)・・・王の徳のもたらす恵み
邑(むら)・・・国、村(むら)・・・集落

磐余彦はいきなり「東征して国を建てよう」とは言わない。まず、経緯を踏まえた「現状認識」を明確にするのである。

私たちは得てして「経緯」や「現状認識」が抜けてしまう。話の中で主語が抜けてしまうのと同じ症状だ。聞いている側は、何の話をしているのか分からなくなってしまう。自分は分かっているつもりでも、部下や他者は分かっていない。上司やリーダーが「分かっているだろう」で端折ってしまう事で伝わらなくなってしまうのだ。

一方、磐余彦は分かっている。

部下に動機づけをするとき、ここぞという時は特に、経緯を踏まえた現状認識を共有するところからスタートする。この日本神話的原理原則を徹底して部下に伝えているのである。

 

②得られるベネフィットを提示しながらビジョンを具体的に示す事。

こちらも、上記の経緯の説明の後の部分をそのまま抜粋する。

「私が思うに、其の土地は必ず大業を恢弘 し、天下に光宅するに足るはずである。きっとそこが世界の中心であろう。必ずそこへ行き、都としよう。」

読み
大業(たいぎょう)・・・帝王の仕事
恢弘(かいこう) ・・・広げて大きくする事
光宅(こうたく) ・・・聖徳が遠くまで表れる事

簡約すると、「その地(橿原)は、帝王の仕事を広げ、天下に王の徳が遠く届くにふさわしい場所だと私は思う。かの地こそが世界の中心だろう。必ずたどり着き、都とするぞ!」といった感じだろう。

都をつくる、つまり国を建てるビジョンを説明する内容としては、非常に具体的ではないだろうか?かつ、その事で得られるベネフィットを存分に伝えている。単に「国を建てたい」だけではない。

私たちはともすれば自己中心的な発言に終始してしまう。「自分がこうしたいから、こうする」だけの説明。思い入れや熱が入れば入るほど自分のことばかり。結果的に部下の心は揺さぶられず、行動につながらない。

磐余彦は分かっている。

部下に動機づけをするときは、得られるベネフィットを提示しながらビジョンを具体的に示している。「国の中心へ行き都をつくる」というビジョンと合わせて、「帝王の仕事を広げ、天下に王の徳が遠く届く」、つまり「人々が王の徳によって幸せになれる」というベネフィットも伝えているのである。私たちも大いに参考になる事例だろう。

 

③自己の直感をもとに、Iメッセージで話をする事。

上記①②で抜粋した、磐余彦の言葉の随所に「何かしら確信めいたもの」を感じなかっただろうか?「潤っていない」、「天下に光宅するに足るはずである」といった言い回しや、そもそも「橿原の地を世界(国)の中心」だと言うところは、磐余彦は「分かっている」感じが伝わってくる。

そう、磐余彦は「分かっている」のだ。

この東征の意義、王の徳により人々が幸せになる事、そしてこの東征というプロジェクトが成功する事。「リーダーは見えないものを見る」と言われる。磐余彦はまさに「東征の成功」を見ていたし、その先に「人々の幸せ」を見ていたのだ。それは直感の世界であり、直感が生む確信なのだろう。「ブレないリーダー像」のお手本のような存在である。

また、それを、「私が思うに~」と、主語を「私」において伝えることで、その効果を増幅させている。コーチングの世界で言われる「Iメッセージ」。直感をもとにIメッセージで伝える事で、部下の心を強く揺さぶったのである。

 

以上、3点の考え方と実践方法を、具体的な事例をもとに説明した。いかがだっただろうか。

より詳しく知りたければ『日本書紀』の神武紀を参照されたい。

 

まとめ

リーダーのビジョン提示と動機づけの方法

  1. 経緯と現状認識を先に説明する事。
  2. 得られるベネフィットを提示しながらビジョンを具体的に示す事。
  3. 自己の直感をもとに、Iメッセージで話をする事。

これによって、成し遂げるべきビジョンの成功確度が飛躍的に高まる事は間違いないだろう。是非参考にしていただきたい。

 

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こんにちは、さるたひこです!読んでいただきありがとうございます。「日本神話をこよなく愛するナビゲーター」として日本神話関連情報、題して「日本神話がおもしろい!」を発信していきます。どうぞよろしくお願いします。ちなみに、ネーミングは、天孫降臨の折、瓊瓊杵尊を道案内した国津神「猿田彦命」にあやからせていただいてます。ただ、神様の名前をそのまま使うのは畏れ多いので「さるたびこ」の「び」を「ひ」に変えております。