日本神話を読み解く|天地開闢まとめ 『日本書紀』第一段本伝からポイントをわかりやすくまとめました(語訳付き)

 

日本の正史である『日本書紀』をもとに、日本神話が伝えるメッセージを読み解きます。

『日本書紀』第一段の内容を、複数回に分けてお届けしてきましたが、ここで一度まとめておきます。

以下、本伝第一段の現代語訳を掲載します。

『日本書紀』は、天地開闢に始まる神々の誕生を、陰陽や易といった原理的思想をもとに物語っています。

特に、(今後掲載していきますが)本伝以外にも多くの異伝を併載、列挙して、神話を多面的・多角的に伝えようとしているところがポイントです。

それに対して、

『古事記』は異伝など存在せず、あっても本文を説明するための「注」にすぎません。

本文は終始一貫して統一的な世界を構築しています。書紀のようにああだこうだと言わない分、洗練された「物語」として完成度も高いと言えます。

当サイトとしては、是非、『古事記』との比較もしつつ読み進めていただければと思います。

 

『日本書紀』第一段 本伝

 昔むかし、天と地はまだ分れず、陰と陽も分れていなかった。その様は混沌として、まるで鶏の卵のようであり、ほの暗くぼんやりとして、事象が芽生えようとする兆しを内に含んでいた。

 その中で、清く明るいものが薄くたなびいて天となり、重く濁ったものがよどみ滞って地となった。その清妙なるものは集まりやすく、重く濁ったものは凝り固まりにくい。これは原理に則った現象であり、だから、まず天ができあがり、その後で地が定まったのだ。

こうして天と地が成り立った後に、天地の中に神が生まれた。

 だから、具体的にいえばこういうことになる。天と地ができる初めには、のちに洲(国)となる土壌が浮かび漂う様は、まるで水に遊ぶ魚が水面にぷかぷか浮いているようなものだった。

 まさにその時、天地の中に一つの物が生まれたのだ。それは萌え出づる葦の芽のような形であった。そして、変化して神と成った。この神を「国常立尊くにのとこたちのみこと」と言う。次に「国狭槌尊くにのさつちのみこと」。さらに「豊斟渟尊とよくむぬのみこと」。あわせて三柱みつはしらの神である。天の道は、単独で変化する。だからこの純男、つまり男女対ではない「純粋な男神」となったのだ。

葦

古、天地未剖、陰陽不分。渾沌如鶏子、溟涬而含牙。及其清陽者、薄靡而為天、重濁者、淹滞而為地、精妙之合搏易、重濁之凝竭難。故、天先成而地後定。然後、神聖生其中焉。

故曰、開闢之初、洲壞浮漂。譬猶游魚之浮水上也。于時、天地之中生一物。状如葦牙。便化為神。号国常立尊。次国狭槌尊。次豊斟渟尊。凡三神矣。乾道独化。所以、成此純男。

『日本書紀』神代紀 巻一 より

 

天地開闢①~世界のはじまりのお話~

キーワードは、

古、天地未だ剖れず、陰陽分れず。」

  • 日本神話の最初の言葉は「古」。世界の始まりを「昔むかし~」で表現しています。
  • 世界の始まりを、「昔むかし~」という曖昧とも言える形で表現する感性、世界観は日本独特のものです。
  • 単に「古」と定義するだけで良しとしているところに、日本ならではの価値観・世界観が凝縮されていると言えます。

⇒『日本神話が伝える天地開闢|一番最初の言葉「古」から始まる世界のはじまりのお話

 

天地開闢②~兆しを含んでいる~

キーワードは、

「渾沌にして鶏子の如く、溟涬にして牙を含めり」

  • 日本神話では、天地開闢の状態を卵に例えて表現しています。
  • 混沌としているけれど、その中に様々な事象が発生する兆しを持っている状態。
  • この兆しから、天と地に分かれ、神様が生まれていく流れを組んでいます。

⇒『天地開闢。それは混沌としていたが、事象が芽生えようとする兆しを含んでいた件|日本神話が伝える天地開闢 No.2

 

天地開闢③~天と地ができて神が生まれる~

キーワードは、

「天先づ成りて地後に定まる。然して後に、神聖其の中に生れり。」

  • もとはといえば、「混沌」があって、でもその中に「兆すもの」があったからこそ天地生成へつながります。
  • 「兆し」の中から、「清なるもの」が天へ、「重く濁ったもの」が地へ展開し天地ができました。
  • 天地ができて、そのあと、天地の間に神が生まれた、という順番に日本人ならではの世界観・価値観が投影されています。

⇒『日本神話的には、天と地ができた後に神が生まれる件|日本神話が伝える天地開闢 No.3

 

天地開闢④~神に化為る(なる)~

キーワードは、

「神に化為る」

  • 天地ができてから神が誕生する順番。天地の中、つまり「間」に神が誕生します。
  • 神は、まず一つの「物(もの)」として、「葦の芽の形」をして生まれ、神へと化成します。
  • 不完全な状態から「神」へと変化するところに、日本神話独特の世界観が表れています。

⇒『葦のような形のものが神に化為る(なる)。コレ、国常立尊と申す件|日本神話が伝える天地開闢 No.4

 

天地開闢⑤~天の道は単独で変化する~

キーワードは、

「乾道独り化す」

  • 日本神話は「尊卑先後の序」という原理原則に基づいて構成されています。それは、優先順位の考え方そのもの。
  • 「3神」の誕生、つまり「3」という数字は聖数である事、最初の神様は「純粋な男性神」である事も、原理原則に基づいているという事を伝えています。

⇒『天の道は単独で変化する。だから純粋な男神となった件|日本神話が伝える天地開闢 No.5

 

まとめ

天地開闢まとめ 『日本書紀』第一段本伝から

世界のはじまりを説明する神話。

日本神話は、その最初の言葉を「古」という表現からスタートさせています。

入口はとてもファジーで曖昧で。でも、その後の、世界が形成される順番、順序には、がっしりしたロジックが入っています。

そのロジックの先に神の誕生へ繋がる訳ですね。「自然が先、神が後」。西洋的な考えとは全く逆である事もポイントとして押さえておきましょう。

皆さんの日本神話に対する理解が少しでも深まったきっかけになれば幸いです。

引き続き、異伝ならびに第二段以降の読み解きをすすめていきます。お楽しみに!

 

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こんにちは、さるたひこです!読んでいただきありがとうございます。「日本神話をこよなく愛するナビゲーター」として日本神話関連情報、題して「日本神話がおもしろい!」を発信していきます。どうぞよろしくお願いします。ちなみに、ネーミングは、天孫降臨の折、瓊瓊杵尊を道案内した国津神「猿田彦命」にあやからせていただいてます。ただ、神様の名前をそのまま使うのは畏れ多いので「さるたびこ」の「び」を「ひ」に変えております。