陰陽を動かす根本原理、基本原理として「尊卑先後の序」がある件

日本神話解説

 

『日本書紀』第一段〔本伝〕の冒頭部分について、ちょっと深堀りします。

従来、

第一段〔本伝〕の冒頭については、最初に「古天地未剖、陰陽不分」と書き出していることから、陰陽論によって説明するのが通例になってるのですが、果たしてそうなんでしょうか?というのが今回の内容。

陰陽は、あくまで天地と対応する概念。乾坤との対応も同じで、より表象的な内容なんです。

そんなあれこれを、超マニアックに深堀りしてお届けします。

 

陰陽を動かす根本原理、基本原理として「尊卑先後の序」がある件

まず、『日本書紀』第一段〔本伝〕の冒頭部分をチェック。

本文はコチラ。

①昔々、天と地がまだ分れず、陰と陽も分れていなかった。②混沌として、まるで鶏の卵のようであり、ほの暗くぼんやりとして、事象が芽生えようとする兆しを内に含んでいた。
③その中の清く明るいものが薄くたなびいて天となり、重く濁ったものがよどみ滞って地となるに及んでは、その軽やかで妙なるものは集まりやすく、重く濁ったものは凝り固まりにくい。だから、まず天ができあがり、その後で地が定まったのである。そうして天と地が成り立った後に、その天地の中に神が生まれた。

①古、天地未剖、陰陽不分。②渾沌如鶏子、溟涬而含牙。③及其清陽者、薄靡而為天、重濁者、淹滞而為地、精妙之合搏易、重濁之凝竭難。故、天先成而地後定。然後、神聖生其中焉。

『日本書紀』第一段〔本伝〕の冒頭

この冒頭部分の解釈。

従来、通説、通例でいうと、

最初に「古天地未剖、陰陽不分」と書き出していることから、陰陽論によって説明されてきました。

ま、「陰陽」という言葉が出てきてるからね。

でも、

陰陽は、あくまで天地と対応する概念。乾坤との対応も同じで。

どちらかというと、より表象的な内容なのです。

ここでは、それよりも、
陰陽を動かす根本原理、基本原理として「尊卑先後の序」があるということ押さえるべきです。

ま、そんなことはどーでもええやんけ、、というのは置いといて。。。

より本質的なのは何なのか?という話。

まず、

「陰陽」は、根源的かつ価値的な元素といったものです。

根源的とは、
全てが陽と陰との組み合わせ、ないし、その、それぞれの一方または両方を引き継いで成り立つという点。

価値的とは、
陽が陰に対して優位に立つという点です。

陰陽の根本はこうした考え方があることをチェック。

で、

この陰陽の、実際的な、または具体的な事象が、
日月といった天象、男女といった人倫、君臣などの人事、といったものになります。

大事なのは、
まさにココにこそ、尊卑先後の序という原理が働くということ。

陰陽は根源的でありつつも、
陰陽を動かす根本原理、基本原理として「尊卑先後の序」があるということです。

順序をコントロールする根本原理があるからこそ、
陰陽が働き、それにより日月、男女、君臣といった事象が発生している、という事で。

落ちるリンゴに目がいくのではなく、リンゴを落とす重力を考える。といったイメージで。

細かいですが、大事なポイントなのでしっかりチェックされてください。

 

まとめ

『日本書紀』第一段〔本伝〕の冒頭部分について、ちょっと深堀りして解説してみました。

通説、通例でいうと、第一段〔本伝〕の冒頭については、陰陽論によって説明するのが一般的でした。

でも、陰陽は、あくまで天地と対応する概念。より表象的な内容です。

それよりも、

陰陽を動かす根本原理、基本原理として「尊卑先後の序」があるということを是非チェック。

こちらで解釈する方がより根本的だということですね。うん、とってもマニアック。

 

本エントリの元ネタ、『日本書紀』第一段はコチラで!

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日本神話とは

本記事監修:(一社)日本神話協会理事長、佛教大学名誉教授 榎本福寿氏
参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)



1件のコメント

さるたひこ様こんにちは、天です。
天の小言を一つだけお許しください。
陰陽、陽は陰より優位ではありません。それを示すのが陰陽という言葉そのものに表されております。
初代 神武天皇、記紀の編纂を命じた天武天皇、我が国の初代天皇から「武」という字を使い、イメージとして戦いを連想させます。
しかし、武の意味は戦わないことを表した漢字ですから、二つの戈を止めると書きます。
では何故に武は戦わないのか。
それは、武をもつ者たちが長きに渡り人を殺し続けてきたからこそ、平和に生きるためには人を殺してはいけないと気付くことに至ったといわれております。
即ち、陰である者でしか平和な世界を創ることができぬ事実を既に知っていたから、初代天皇に「武」の文字が使われている訳です。
逆に陽から考えますと、光と陰の光。正義と悪であれば正義になるかと存じますが、これが正しいと正義を主張している宗教が行き着く世界が、私の方が正しい、いや私の方が正しい、となり戦争を繰り返しております。(ディープステイトが起こしているのが原因ですが)
三種の神器の一つである勾玉に表される陰陽と武の御教えは、何万年経とうとも、大和言葉を使い続ける限り日本人の魂から消えることは無いと私は確信しております。
それほどまでに、宮家の一人である豊受大神が遺した功績は偉大であり、我々日本人が誇る御先祖であります。
長々と失礼いたしました

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日本神話研究の第一人者である佛教大学名誉教授の榎本先生の監修もいただいているので情報の確かさは保証付き!文献に即して忠実に読み解きます。
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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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