『日本書紀』を中心に登場する神様とその位置づけをご紹介します。
陽神とは男の神様、陰神とは女の神様です。『日本書紀』に登場する神の種類で、例えば、伊奘諾尊は陽神として、伊奘冉尊は陰神として位置づけられています。一方、『古事記』には登場しません。
今回は、「陽神と陰神」を通じて、神話世界における陰陽と男女形成の原理を探ります。
陽神と陰神にみる日本神話的男女のあり方|交じりあって化成するから、両方の性質を持ち合わせている、と考える。
男女神化成の方法
『日本書紀』の神代上、第三段に
乾坤(天地)の道、相ひ参りて化なる。所以に此の男女を成す。
と伝えます。
つまり、天地、陰陽の道が交じり合って化したことで男女の神が成るのです。
乾坤については、こちらも参考に。
さて、上記通り、
陰と陽との道が交じり合って男女が化成した訳で、
これはつまり、
男も女も、それぞれ陰陽をあわせ持つ、ということです。
そして、その中で、陽が強く現れた方を陽神、つまり男と言い、
逆に、陰が強く現れた方を陰神、つまりは女と言う、という次第。
神話世界における、男女の位置づけ、作られ方の考え方はこんな感じで。
- 交じりあって化成するから、両方の性質を持ち合わせている。
- その中で特に強く現れた方が、男だったり女だったりする、というロジック。
この点をまずはチェックされてください。
男女の結婚=陰陽の道の交わり
さて、そんなわけで、
神話世界において、男女の結婚は、この陰陽の道の交わりに立ちもどることであります。
つまり、結婚すると、陰陽の道の交わりによって男女が化成したと同じく、おのずから男女が生まれるという事になります。
伊奘諾尊と伊奘冉尊に代表される、陽神と陰神の結婚による神々の誕生にはこうした背景があるんですね。
ただ、
通常、出産自体は1子なので、男女のどちらか一方が誕生する、という話になります。
それでも、その誕生した男、または女は、陽だけ、陰だけの単純、純粋な性をもつものではありません。
これは、最初に触れたとおり、交じり合うから両方の性質を持つということがベースにあります。
要は、
両性を具有しながら、陽の強く現れた方が男、逆に陰の強く現れた方が女となる、ということです。
近年、トランスジェンダーの議論が盛んになってますが、神話的に言わせると、男も女も、本来的に、それとは逆の性も兼ね備えているわけで、そもそも男女の性をそれぞれ一方だけから成り立つ固定的なものと見ることはできない、という話になります。
一方だけしかない、というのは、神話原理にもとる訳ですね。
男女はもともと交わりにおいて成り立つとも言えて。
互いにもう一方の性とは親和的で、相互補完的なものです。
しかも、その交わりにおいて、それぞれ男、女でありうるという、それこそが本来のありかたであるということを伝えている。
こうした考え方は、現代の男女の関係においても十分応用がきくとも言えそうです。
まとめ
陰と陽との道が交じり合って男女が化成=男も女も、それぞれ陰陽をあわせ持つ。
その中で、陽が強く現れた方を陽神、つまり男と言い、逆に、陰が強く現れた方を陰神、つまりは女と言う、というのが神話世界における、男女の位置づけ、作られ方。
これを基本に考えていくと、
男女はもともと交わりにおいて成り立つ=互いにもう一方の性とは親和的で、相互補完的なもの。
とも言えて。
こうした考え方は、現代の男女の関係においても十分応用がきくとも言えそうです。
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