年表 天智天皇、天武天皇、持統天皇、文武天皇、元明天皇、元正天皇、聖武天皇

年表 飛鳥時代~奈良時代

 

『日本書紀』、『古事記』の編纂経緯をもとに、天智天皇から聖武天皇までの年表を作成しました。

大きく2段構成。

①『日本書紀』・『古事記』編纂前:天智2年~天武9年

②『日本書紀』・『古事記』編纂開始と完了:天武10年~神亀1年(聖武天皇即位)

参考記事:

●必読→ 『日本書紀』とは?神話から歴史へつなげる唯一無二の編纂スタイル!『日本書紀』を分かりやすく解説!

 

①『日本書紀』・『古事記』編纂前:天智2年~天武9年

チェックポイントは、『日本書紀』、『古事記』編纂の契機となった2つのイベント。白村江の戦と壬申の乱。

天皇 年号 西暦 主な出来事             『日本書紀』 『古事記』 律令 宮都
天智 天智2 663 8月  白村江で唐・新羅連合軍と戦い大敗       後飛鳥岡本宮
9月  日本の軍が百済の難民とともに帰国      
天智3 664    対馬,壱岐,筑紫に防人や狼煙を置き,太宰府防衛のための水城を築城      
天智7 668 1月  中大兄皇子が、天智天皇として即位       近江大津宮
2月  大海人皇子(天智の弟)を皇太弟にする      
5月  大海人皇子が長槍を床に突き刺し、天皇激怒。中臣鎌足がおさめる      
10月  唐・新羅の連合軍が高句麗を滅ぼす      
天智10 671 1月  大友皇子が太政大臣になる      
10月  大海人皇子が出家し、吉野へ      
12月  天智天皇が大津宮で没      
天武 天武1 672 6月   大海人皇子が吉野を脱し「壬申の乱」発生        
7月  大海人皇子軍が大友皇子軍を大和と近江瀬田で撃破        
   大友皇子が自害        
8月  近江軍の将軍らを処刑        
9月  大海人皇子が飛鳥嶋宮岡本宮に入る        
   飛鳥浄御原宮を造営       飛鳥浄御原宮
天武2 673 2月  大海人皇子が、天武天皇として即位      
   鵜野皇女を皇后とする(立后)      
4月  大伯皇女を泊瀬の斎宮に置く      
7月  不破関を設置      
天武4 675 1月  占星台を建立      
天武5 676 1月  国司任命制度を制定      
4月  畿外の豪族や才能ある百姓への任官の道をひらく      
天武7 678 10月  文武官人の位階昇進制度を制定      
   十市皇女が自殺      
天武8 679 5月  天武天皇が皇后や6人の皇子らと吉野へ行幸      
11月  竜田山、大坂山に関を設置      
天武9 680 4月  国の官寺を定める      
11月  薬師寺を建立      

 

②『日本書紀』・『古事記』編纂開始と完了:天武10年~神亀1年(聖武天皇即位)

チェックポイントは、『日本書紀』編纂過程と『古事記』との比較。律令編纂との同時進行。

天皇 年号 西暦 主な出来事             『日本書紀』 『古事記』 律令 宮都
天武 天武10 681 2月  飛鳥浄御原令の編纂を開始     飛鳥浄御原宮
   日本書紀『古事記』の編纂を開始
    草壁皇子が皇太子になる
天武11 682 7月  隼人が来朝
天武12 683 2月  大津皇子が政治に参画
天武13 684 10月  八色の姓を制定
天武14 685 1月  冠位48階を改変
9月  伊勢神宮式年遷宮制を制定
朱鳥1 686 1月  難波宮焼失
持統称制 9月  天武天皇が没。皇后が政治を執る(称制開始)
10月  大津皇子が謀反の罪で自害させられる
持統1 687 10月  皇太子が大内陵を造立
持統2 688 11月  天武天皇、檜隅大内陵に葬られる
持統3 689 1月  鵜野皇女が吉野へ行く
4月  草壁皇子が28歳で没
6月  飛鳥浄御原令が完成
持統 持統4 690 1月  鵜野皇女が、持統天皇として即位
7月  飛鳥浄御原令の官制を施行
   高市皇子が太政大臣になる
9月  庚寅年籍作成
持統8 694 12月   藤原宮に遷都 藤原宮
持統9 695 9月  新羅に小野毛野らを派遣
持統10 696 7月  高市皇子が43歳で没
文武 文武1 697 8月  持統天皇が譲位し、孫の軽皇子が文武天皇として即位
文武2 698 10月  薬師寺が完成
大宝1 701 8月  大宝律令が完成  
大宝2 702 2月  大宝律令が施行
6月  粟田真人、山上憶良、僧道慈らを遣唐使(第7回)として派遣
12月  持統天皇が58歳で没
慶雲4 707 6月  文武天皇が没
元明 元明1 707 7月  元明天皇が即位
和銅3 710 3月  平城宮に遷都 平城京
   『古事記』編纂再指令
和銅5 712 1月  太安万侶が「古事記」を完成
和銅6 713 5月  諸国に「風土記」の編集を命じる  
元正 霊亀1 715 9月  元正天皇が即位  
養老2 718    藤原不比等らが養老律令を編纂  
養老4 720 5月  舎人親王ら『日本書紀』を完成  
8月  藤原不比等が没    
養老7 723 4月  三世一身の法を施行    
聖武 神亀1 724 2月  聖武天皇が即位    

 

まとめ

天武天皇の時代は、国家体制づくりのスタート。これは、天武天皇から奥さんの持統天皇、そして以降の天皇に引き継がれていきます。

『飛鳥浄御原律令』(689年)施行、藤原京遷都(694年)、『大宝律令』(701年)施行、平城京遷都(710年)、『風土記』(全国の国情や古老の伝承などを記録して国に報告した地誌)編纂などなど。

その実態は、

律令整備と歴史書編纂、そして天皇即位礼構築。

この3つを柱として、ムキムキのジャパンビルディングが行われた時代。

構図としては

天皇即位礼構築
律令整備 歴史書編纂

といった感じで、

全体としては「天皇中心の国家体制づくり」をテーマに、

天皇即位や統治の正統性を示すための即位儀礼構築。そしてそれを支える根拠として、律令整備や歴史書編纂が進められた訳ですね。

ちなみに、、、

天皇即位については令和の御代替わりでも話題になりました。この代替わり儀礼も、もとを正せばこの頃に構築された即位儀礼が元になってます。

●必読:御代替りとは?日本神話に根ざす御代替りの全貌を徹底解説!

●必読:践祚式とは?|祚を践む儀式!天皇の証明品「三種の神器」を継承し皇位に即く儀式

●必読:大嘗祭とは?天皇一代につき一度だけ斎行!日本神話に根ざす大嘗祭の全貌を徹底解説!

 

『日本書紀』編纂は、そういった背景、経緯のなかで進められた国家プロジェクト。

目的は、国外向けにも国内向けにも主張できる「国家のアイデンティティ」を、「己の正当性」を、歴史書として理論づけ、根拠づけ構築すること。

一方の『古事記』は、国内外の豪族や氏族に向けて天皇家の正当性を打ち出すこと、天皇家を中心とした豪族との関係性を明確にすること。

この間、宮都も、飛鳥浄御原宮あすかきよみはらのみやから藤原京、平城京へと移行。まさに古代日本が形づくられ、日本人としての自覚やアイデンティティが確立されていった時代で。その流れと軌を同じくしてる。この間、ずーっと編纂作業が進められていたこともあわせてチェック。

 

 



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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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