国生み神話の島の順番はコレ!左回りに生んでいく順番に隠されたヒミツを解説!

国生み神話の島の順番

 

日本神話に登場する、重要ワード、重要エピソードをディープに掘り下げる「日本神話解説シリーズ」。

今回は、

国生み神話の島の順番

をテーマにお届けいたします。

国生み神話で生まれる島の順番には、実は深い意味があって。背景には、えきや自然哲学等の膨大な思想体系があります。

ポイントは、ことわりに即していること。ことわりに即す=誕生する島が神聖化される、正当性が生まれる、てことで。ココを押さえておけば、なぜそんな順番になっているのかサクッと理解できます。

今回は、国生み神話で生まれる島の順番をめぐって日本神話をディープに掘り下げます。

 

国生み神話の島の順番はコレ!左回りに生んでいく順番に隠されたヒミツを解説!

国生み神話の島の順番

まずは、国生み神話の現場をチェック。

国生み神話を伝えているのは『日本書紀にほんしょき』や『古事記こじき』なんですが、実は全部で12パターンもあります。

日本書紀にほんしょき』11、『古事記こじき』1、合計12。

え、、、ちょ、、おま、、

って驚かれるかもしれませんが、、、でも、日本神話の特徴は「多彩さ」です。1つじゃない。あれもこれもあって、それで良しとしてるところに日本神話の独自性があって。。

なので、どれが正しい神話か?みたいな問いはあまり意味がありません。多彩な世界観を、そのまま楽しむのが◎。

ただ、一応、基本形と応用、みたいなものはあるので、そこからご紹介。

まず、基本をおさえて、そのうえで応用を。

また、島の順番が分かる伝承に限っていえば、『日本書紀にほんしょき』5、『古事記こじき』1、合計6。

お、半分になった??

てことで、安心して現場へGO !。

国生み神話の「基本形」。それは、『日本書紀にほんしょき』巻第一(神代上)第四段〔本伝〕。ココに、日本神話が伝えたい「国生み神話」の基本が凝縮されているとも言えて、結構大事な位置づけです。

基本形での島(正確に言うと「しま」)の順番は以下の通り。

大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしま 本州
伊予二名洲いよのふたなのしま 四国
筑紫洲つくしのしま 九州
億歧洲おきのしま 隠岐島
佐渡洲さどのしま 佐渡
越洲こしのしま 北陸道
大洲おほしま 周防国大島(山口県屋代島)
吉備子洲きびのこしま 備前児島半島(岡山県)

こうして産んだ「大日本豊秋津洲おおやまととよあきづしま」以下の八洲やしまをまとめて「大八洲国おおやしまぐに」としています。

これが国名の起源説話として位置づけられてる。

てことで、さっそくご紹介。基本形。コチラ!

 産む時になって、まず淡路洲あはぢのしまえなとしたが、それはこころに不快なものであった。そのため「淡路洲あはぢのしま」と名付けた。こうして大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしま(日本、日本では耶麻騰やまとという。以下すべてこれにならえ)を産んだ。次に伊予二名洲いよのふたなのしまを産んだ。次に筑紫洲つくしのしまを産んだ。そして億歧洲おきのしま佐渡洲さどのしまを双児で産んだ。世の人に双児を産むことがあるのは、これにならうのである。次に越洲こしのくにを産んだ。次に大洲おほしまを産んだ。そして吉備子洲きびのこしまを産んだ。これにより、はじめて八洲を総称する国の「大八洲国おほやしまぐに」の名が起こった。このほか、対馬嶋つしま壱岐嶋いきのしま、及び所々の小島は、全て潮の泡がり固まってできたものである。また水の泡が凝り固まってできたともいう。

及至産時、先以淡路洲為胞。意所不快。故、名之曰淡路洲。廼生大日本豊秋津洲。次生伊予二名洲。次生筑紫洲。次双生億岐洲与佐度洲。世人或有双生者、象此也。次生越洲。次生大洲。次生吉備子洲。由是、始起大八洲国之号焉。即対馬嶋、壱岐嶋及処処小嶋、皆是潮沫凝成者矣。亦曰、水沫凝而成也。 (『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝より引用、本文中の注釈は割愛)

詳細解説はコチラ→ 『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝 ~聖婚、洲国生み~

国生みの、島の順番以外のところで、補足解説を2つ。

① 神様の出産方法 淡路洲あわじのしまえなとなす。だけど不快だったので「淡路洲あわじのしま」と名付けた。

いきなり登場、淡路洲あわじのしま。引用した箇所の前にも登場しておらず、ココでいきなり登場して「えな」として使ったと。。。?

えな」は、人間の、あるいは哺乳類の出産時に胎児が包まれてでてくる膜のことですが、、、

原文を読む限り、、さーこれから産むよ-!って時になって、まず、淡路洲あわじのしまというのが既にあって、それをえな(膜)とした、と? これってつまり、出てくる胎児(ここではしまのこと)を膜で包もうとした、と解釈されます。

神の出産は、胎児が「えな(膜)」に包まれて出てくるのではなく、
胎児が出てくるときに「えな(膜)」を使う、という方法。らしい。

出産は神秘そのもの。外から見えるものをもとに想像していくしかない訳で。現代の私たちが近代合理や医学によって分かってるコトと、『日本書紀にほんしょき編纂へんさん当時の人たちが分かってたコトには、大きなギャップがあります。むしろ、神様と人間の出産スタイルの違いは、そういったロマンの中で考えてみるといいと思います。

で、

そのえなとした淡路洲あわじのしまなんですが、二神にしんとも、これ気持ち悪くてやだー!ってなる。本文「不快」の言葉。、、、

大事なのは、淡路洲あわじのしまは「大八洲国おおやしまぐに」に参入されてないってこと。そもそも生んでもない。。なので島の順番には入れません。

2つ目。

② 「しま」と「嶋」の使い分け。生んだのは、あくまで「しま

本文、「しま」と「嶋」については、明確に使い分けられてます。

  • しま・・・「大八洲国おおやしまぐに」として、つまり国として一括される大きさをもつ
  • 嶋・・・小島くらいの大きさ、しおの泡がり固まってできたもの

大事なのは、大八洲国おおやしまぐにとして一括化される「しま」の方で。生んだのもこっち。

でも、、、それはそれ、日本は島国であり、周辺には多くの小島もあって。。一応書いておかないと、、それは日本としての領土、領域を示す意味合いもあって、、、

生んだのはあくまで「しま」、一方の「嶋」はしおの泡が固まってできただけ、と言うことで整理しておきましょう。

改めて、誕生した島(正確に言うと「しま」)の順番は以下の通り。

大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしま 本州
伊予二名洲いよのふたなのしま 四国
筑紫洲つくしのしま 九州
億歧洲おきのしま 隠岐島
佐渡洲さどのしま 佐渡
越洲こしのしま 北陸道
大洲おほしま 周防国大島(山口県屋代島)
吉備子洲きびのこしま 備前児島半島(岡山県)

こうして産んだ「大日本豊秋津洲おおやまととよあきづしま」以下の八洲やしま

これらを最後にまとめて「大八洲国おおやしまぐに」と号する。これが国名の起源説話として位置づけられてるんすね。

ちなみに、、大八洲国おおやしまぐにの「八」について。

「八」は多数(聖数)を表します。

日本神話で登場する「8」という数字を抜粋してみると、、、

八雷やくさのいかづち八色雷公やくさのいかづち)」「八十万神やそよろづのかみ」「八箇少女やたりのをとめ」「八丘八谷やをやたに」「八十木種やそこだね」「八日八夜やかやよ」「八重雲やへくも」「百不足之八十隈ももたらずやそくまで」、またあるいは「八咫鏡やたのかがみ」「八坂瓊曲玉やさかにのまがたま」など、

いずれも、「八」にちなむ例は「大八洲国おおやしまぐに」より後に登場。いずれも、多いとか、たくさんといった意味を持たせてますね。これもチェック。

沼島の自凝神社(おのころ神社)

 

国生み神話の島の順番に隠されたヒミツ

国生み神話の島の順番が確認できたところで、続いて、ご紹介するのは、この誕生する島の順番に設定されているメッセージ的なところ。

国生みの島の順番には、実は重大なヒミツが隠されていて、、、

コレ、「国生み」の目的から考えると分かりやすい。

国生みの目的、、、国生み神話がなんであるんですか?何を伝えたいんですか?について、なんですが、コレ、ズバリ言うと、

大八洲国おおやしまぐに」の神聖化

です。

国生み神話の目的は、この大八洲国おおやしまぐにの神聖化であって。それはつまり、日本の神聖化と同義であり、日本の正当性を打ち出していくことにつながってきます。

さらに、大八洲国おおやしまぐにの神聖化、そのために仕掛けられているのが、

ことわりに則る

ということ。かみ砕いていうと、正しい手順に沿って行う、ということですね。

逆に言うと、間違った手順、分かってない手順でやってしまうと、それは分かってない、神聖ではないとみなされる訳です。編者はそのへんのことがよくわかってる。だからこそ、ことわりに則った国生み神話として構成し、結果として、成果物である「大八洲国おおやしまぐに」を、もっというと「日本」国を、神聖な国として位置づけようとしているんです。

国生みの島の順番に隠された重大なヒミツとは、まさにコレ。

ことわりに則る。

ま、これは、現代でも同じことが言えますよね。ちゃんとした手続きを経てないものは認められないわけで。子供じゃないんだから、大人として、分かってるモノとして、きちんとした手続きや手順を踏んで何事もやっていく必要があって。。

このあたりの事情とか、背景をつかんでおくだけで、国生み神話の理解度は全然違ってきます。

その中で、先ほど確認した島の順番。実は、

大きく左回りで誕生しています。

(あくまで現場目線で)左回りで産んでいく訳です。

で、

大事なのは、なんでこんなふうになってるの?ってところで。

コレ、実は、

背景には「えき」があります。

●必読→ 日本神話的易の概念|二項対立の根源とその働きによって宇宙はつくられ動いている

いんよう、という言葉は聞いたことがあると思いますが、まさにコレ。ディープに掘るととんでもないことになるので、ココでは簡単に。また諸説あるのでここでは神話的ニュアンスで。

まずはシンプルに、

宇宙、世界、ありとあらゆることは、二項対立の「根源こんげん」によってできてる。

えきにおいて、宇宙を、世界を構成する根源こんげん要素として頻出するのは

けんこんよういん

といったものです。「乾坤けんこん」はえきとして知られてますし。「陰陽いんよう」も易学えきがくの言葉で、宇宙を構成する根源こんげん要素。

で、

日本神話世界では、こうしたえきの概念をもとに、以下のような二項対立の関係が設定されてるんです。

  • けんよう・天・雄(男)・奇数・徳・左
  • こんいん・地・雌(女)・偶数・刑・右

この関係を頭に入れておかないと、神話理解がなかなか難しい。。。

大八洲国おおやしまぐにの神聖化、そのために仕掛けられている、

ことわりに則る

というのも、まさにこれ。。正しい手順に沿って行う、つまり、左周りに生んでいくのがよろしい、と言うことです。

聖なる洲国しまぐにの誕生ですから当然であります。

ちなみに、基本形である『日本書紀にほんしょき』第四段〔本伝〕では、

  • 柱巡り:ようが左から、いんが右から ←左優位の概念あり
  • 先唱後和せんしょうこうわ(1回目):陰神めかみが先に声をあげる=間違い。それを陽神おかみ主導で修正する
  • 先唱後和せんしょうこうわ(2回目):陽神おかみが先に声をあげる=正しい手順
  • 身体問答しんたいもんどう交合こうごう陽神おかみから聞く、交合こうごうを誘う

と、言ったように陽神おかみ主導の国生みが描かれており、これもまさに神聖化の仕掛け。

ま、それもこれも結局は、正しい手順、神聖な儀式を通じて誕生したんだよ、つまり、成果物としての国(つまり日本の国土のこと)はめっちゃ神聖なんだよ、というところにつながる訳ですね。

なんせ、「国を生む神話」ですから! ですよね。ですです。

その他の、細かい解説はコチラ↓で!

●必読→ 『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝 ~聖婚、洲国生み~

●必読→ 大八洲国/大八島国|八つの洲を一括して国化!儀礼を通じて誕生した神聖な日本の国土

●必読→ 磤馭慮嶋(オノゴロ島)|伊奘諾尊と伊奘冉尊の聖婚の地

●必読→ 日本神話的時間発生起源|伊奘諾尊・伊奘冉尊の柱巡りが時間の推移や季節を生みだした件

国生みの島の順番:応用編

国生みの島の順番をめぐる、基本形とそこに隠されたヒミツが理解できたところで、続けてご紹介するのは、応用編の皆さん。

日本書紀にほんしょき』4、『古事記こじき』1、合計5つ。

色々伝えておりますが、要は、多彩さ=日本のスゴさ、豊かさ、であり、基本の考え方を押さえておけば迷うことはありません!

と言うことで、一気にいきましょう。まずは『日本書紀にほんしょき』。

第四段の異伝、〔一書1〕から。

 このあと、同じ宮に共に住み、子を産んだ。その子を大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしまと名付けた。次に淡路洲あはぢのしま。次に伊予二名洲いよのふたなのしま。次に筑紫洲つくしのしま。次に億歧三子洲おきのみつごのしま。次に佐渡洲さどのしま。次に越洲こしのしま。次に吉備子洲きびのこしま。これにより、この八洲やしま大八洲国おほやしまのくにと言う。

然後、同宮共住、而生児。号大日本豊秋津洲。次淡路洲。次伊予二名洲。次筑紫洲。次億岐三子洲。次佐度洲。次越洲。次吉備子洲。由此、謂之大八洲国矣。 (引用:『日本書紀』巻第一(神代上)第四段〔一書1〕より、本文中の注釈は割愛)

ああ、、良かった。淡路洲あわじのしま、今度は大八洲国おおやしまぐにの仲間に入れてもらえたね。。。ほんと良かった。。

大日本豊秋津洲 本州
淡路洲 淡路島
伊予二名洲 四国
筑紫洲 九州
億歧三子洲おきのみつごのしま 隠岐島
佐渡洲 佐渡
越洲 北陸道
吉備子洲 備前児島半島(岡山県)

基本形である〔本伝〕と比較すると、、

淡路洲あわじのしまがニューエントリー。代わりに、大洲おおしま周防国すおうのくに大島おおしま山口やまぐち屋代島やしろじま)が圏外に。順番も大きく左回りを踏襲。

次!

<第四段〔一書6〕>

 ある書はこう伝えている。二柱の神は交合して夫婦となった。まず淡路洲あはぢのしま淡洲あはのしまえなとして、大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしまを生んだ。次に伊予洲いよのしま、次に筑紫洲つくしのしま、そして億歧洲おきのしま佐渡洲さどのしまとを双児で生んだ。次に越洲こしのしま、次に大洲おほしま、そして子洲こしま

一書曰、二神合爲夫婦、先以淡路洲・淡洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次伊豫洲。次筑紫洲。次雙生億岐洲與佐度洲。次越洲。次大洲。次子洲。

 

<第四段〔一書7〕>

 ある書はこう伝えている。まず淡路洲を生んだ。次に大日本豊秋津洲、次に伊予二名洲いよのふたなのしま、次に佐渡洲、次に筑紫洲、次に壱岐洲いきのしま、次に対馬洲つしま

一書曰、先生淡路洲。次大日本豐秋津洲。次伊豫二名洲。次億岐洲。次佐度洲。次筑紫洲。次壹岐洲。次對馬洲。

 

<第四段〔一書8〕>

 ある書はこう伝えている。磤馭慮嶋を胞(えな)として、淡路洲を生んだ。次に大日本豊秋津洲。次に伊予二名洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲きびのこしま。次に億歧洲と佐渡洲を双児で生んだ。次に越洲。

一書曰、以磤馭慮嶋爲胞、生淡路洲。次大日本豐秋津洲。次伊豫二名洲。次筑紫洲。次吉備子洲。次雙生億岐洲与佐度洲。次越洲。

 

<第四段〔一書9〕>

 ある書はこう伝えている。淡路洲を胞として、大日本豊秋津洲を生んだ。次に淡洲。次に伊予二名洲。次に億歧三子洲おきのみつごのしま。次に佐渡洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲。次に大洲。

一書曰、以淡路洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次淡洲。次伊豫二名洲。次億岐三子洲。次佐度洲。次筑紫洲。次吉備子洲。次大洲。

と。

生まれた国をまとめてみる。

一書6 一書7 一書8 一書9
大日本豊秋津洲 淡路洲 淡路洲 大日本豊秋津洲
伊予洲 大日本豊秋津洲 大日本豊秋津洲 淡洲
筑紫洲 伊予二名洲 伊予二名洲 伊予二名洲
億歧洲 億岐洲 筑紫洲 億歧三子洲
佐渡洲 佐渡洲 吉備子洲 佐渡洲
越洲 筑紫洲 億歧洲 筑紫洲
大洲 壱岐洲 佐渡洲 吉備子洲
子洲 対馬洲 越洲 大洲

※大日本豊秋津洲(本州)、伊予洲(四国)、筑紫洲(九州)、億歧洲(隠岐の島)、佐渡洲(佐渡島)、大洲(周防国大島/山口県屋代島か)、子洲・吉備子洲(備前国/岡山県の児島半島)、壱岐洲、対馬洲、越洲(北陸道一帯)

いやー、多彩だなー。ほんと、豊かな日本神話世界。ステキすぎです。

最後に、『古事記こじき』をチェックです。

古事記こじき』は、『日本書紀にほんしょき』第四段〔一書1〕がベース。生む島も順番もほぼ同じになってます。

 竟へて御合みあひして(結婚して)、生んだ子は、淡道之穗之狹別島あはぢのほのさわけのしま。次に伊豫之二名島いよのふたなのしまを生んだ。此の島は、身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る。伊豫国いよのくに愛比売えひめといい、讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこといい、粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめといい、土左国とさのくに建依別たけよりわけという。次に隠伎之三子島おきのみつごのしまを生んだ。亦の名は天之忍許呂別あめのおしころわけ。次に筑紫島を生んだ。此の島も亦、身一つにして顔が四つ有る。顔毎に名が有る。筑紫国は白日別しらひわけといい、豊国とよのくに豊日別とよひわけといい、肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけといい、熊曾国くまそのくに建日別たけひわけという。次に伊岐島いきのしまを生んだ。またの名は天比登都柱あめひとつばしらという。次に津島を生んだ。亦の名は天之狹手依比売あめのさでよりひめという。次に佐度島さどのしまを生んだ。次に大倭豊秋津島おほやまととよあきづしまを生んだ。亦の名は天御虚空豊秋津根別あまつみそらとよあきづねわけという。ゆえに、此の八島やしまを先に生んだことに因って、大八島国おほやしまくにという。

然る後、還りす時、吉備児島きびのこしまを生んだ。亦の名は建日方別たけひかたわけという。次に小豆島あづきしまを生んだ。亦の名は大野手比売おほのでひめと謂う。次に大島を生んだ。亦の名は大多麻流別おほたるわけという。次に女島ひめしまを生んだ。亦の名を天一根あめひとつねと謂う。次に知訶島ちかのしまを生んだ。亦の名は天之忍男あめのおしをと謂う。次に両児島ふたごのしまを生んだ。亦の名は天両屋あめふたやと謂う。

竟而御合生子、淡道之穗之狹別嶋。訓別、云和氣。下效此。次生伊豫之二名嶋、此嶋者、身一而有面四、毎面有名、故、伊豫國謂愛上比賣此三字以音、下效此也、讚岐國謂飯依比古、粟國謂大宜都比賣此四字以音、土左國謂建依別。 次生隱伎之三子嶋、亦名天之忍許呂別。許呂二字以音。次生筑紫嶋、此嶋亦、身一而有面四、毎面有名、故、筑紫國謂白日別、豐國謂豐日別、肥國謂建日向日豐久士比泥別自久至泥、以音、熊曾國謂建日別。曾字以音。次生伊伎嶋、亦名謂天比登都柱。自比至都以音、訓天如天。次生津嶋、亦名謂天之狹手依比賣。次生佐度嶋。次生大倭豐秋津嶋、亦名謂天御虛空豐秋津根別。故、因此八嶋先所生、謂大八嶋國。 然後、還坐之時、生吉備兒嶋、亦名謂建日方別。次生小豆嶋、亦名謂大野手上比賣。次生大嶋、亦名謂大多麻上流別。自多至流以音。次生女嶋、亦名謂天一根。訓天如天。次生知訶嶋、亦名謂天之忍男。次生兩兒嶋、亦名謂天兩屋。自吉備兒嶋至天兩屋嶋、幷六嶋。 (引用:『古事記』上巻より)

古事記こじき』版の、島の順番は以下の通り。

淡道之穗之狹別島あはぢのほのさわけのしま 淡路島
伊豫之二名島いよのふたなのしま伊豫国いよのくに愛比売えひめ讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこ粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめ土左国とさのくに建依別たけよりわけ 四国
隠伎之三子島おきのみつごのしま 隠岐
筑紫島(筑紫国は白日別しらひわけ豊国とよのくに豊日別とよひわけ肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけ熊曾国くまそのくに建日別たけひわけ 九州
伊岐島いきのしま 壱岐
津島 対馬
佐度島さどのしま 佐渡
大倭豊秋津島 本州

古事記こじき』の方は、左回りでガチガチに!みたいな雰囲気はありません。日本風にローカライズされてる感じがしますよね。まさに、島国って雰囲気が伝わってきます。

 

まとめ

日本神話に登場する、重要ワード、重要エピソードをディープに掘り下げる「日本神話解説シリーズ」。

今回は、

国生み神話の島の順番

をテーマにお届けしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

国生み神話で生まれる島の順番には、実は深い意味があって。背景には、えきや自然哲学等の膨大な思想体系があります。

ポイントは、ことわりに即していること。

国生み神話の島の順番でいえば、左回りに生んでいくことがことわりに則す、ってこと。

コレにより、誕生する大八洲国おおやしまぐにが、もっと言うと日本という国が、神聖化される、正当性が生まれる、てことでしっかりチェック。

古代の日本人が創意工夫によって生み出した神聖化の仕掛け。その構想力、知恵のスゴさに感動。現代の私たちも学びたいところですよね。

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他