御代替わりとは?日本神話に根ざす御代替わりの全貌を徹底解説!

 

「御代替みよがわり」とは、天皇の代が替わること。

受け継がれてきた天皇の地位を、その時間を、次の天皇へ渡してつないでいくこと。その一連の儀式を言います。

今でこそ、

皇位こういを継承けいしょうするための「儀式」みたいなイメージがありますが、

その一番重要なテーマは

「正統性」と「継承けいしょう」にあり。

皇位こういに相応ふさわしい人に渡してつないでいく。

だからこそ、ポイントは

  • 相応ふさわしい=正統性をどう示すか?
  • 継承けいしょうする=どのように受け継いでいくか?

の2点であり、この視点で御代替みよがわりを見てみることで、深みや味わいがぐっと増してきます。

しかも!

天皇家の場合、それを日本神話から、

つまり、神の時代の出来事とつなげ、組み立てることで、誰もが納得するような仕組みを創り上げてきた経緯あり。コレ、世界オンリーワン。圧倒的。

今回は、御代替みよがわりの中身はもちろんのこと、その背景として設定されてる日本神話についてもディープに、分かりやすくご紹介します。

 

御代替わりとは?日本神話に根ざす御代替わり(皇位継承)の全貌を徹底解説!

御代替わりとは?日本的御代替わりのスゴさ

「御代替みよがわり」。

「御」は敬意の接頭語、

「代」とは「ある人が、家や地位を受け継いで、その地位にある期間」のこと、

  • ある人=天皇
  • 家や地位=日本という国や、国の統治者とうちしゃとしての地位

つまり、天皇が、日本という国や、国の統治者とうちしゃとしての地位を受け継ぎ、その天皇としての地位にある期間のことを「代」といい、

その「代」が替わる、から「御代替みよがわり」となります。

受け継がれてきた天皇の地位を、その時間を、次の天皇へ渡してつないでいくこと。その一連の儀式を言うのですが、

ココでは、具体的な内容に入っていく前に、まずは

日本的代替だいがわりのスゴさ

についてチェックです。

コレ、一言で言うと、

「神話と歴史が繋つながってる国」ならではの継承けいしょう儀礼ぎれいであること。

コレに尽きます。

神話と歴史が繋つながってるとは?

それは、

神の時代と歴史の時代が繋つながってる、って事。まんま?

でも、コレ、

フツーではありません。

世界を見渡しても、そんなの無いし、、、

こういうのって、基本的には、

神話は神話、歴史は歴史

神は神、人は人

という考え方が一般的で。

神の時代と人の時代がどっかで混ざって繋つながってる、、、なんて無くて。

少なくとも、文献的に、記録的に、一本で繋つながってる例はどこにもありません。唯一無二。フツーじゃない。

そんなフツーじゃない国、だからこそ、

他のどこにも負けない、
いや、他のどんな国も追随できない圧倒的な特徴があります。

それが、

継承けいしょうされてきた時間の長さ

コレ、圧倒的。

なんせ、神代じんだいから継承けいしょうされてきた訳で、圧倒的とかなんとかというより、もう、なんか、、よく分かりませんっ。。。それどういうこと???

御代替みよがわりの一連の儀式にちょいちょい出てくる
天照大神あまてらすおおかみだなんだと、神的ワード出現の理由がコレ。

神の時代から繋つながって継承けいしょうされてきてるから、出てきちゃうんです。フツーに神が。

●必読:日本神話とは?多彩で豊かな神々の世界「日本神話」を分かりやすく徹底解説!

代表的な儀式の所以ゆえんとか、それやってる理由を辿たどると、神の時代の話が出てくる。

神の時代でこうだから、今までコレでやってますねん。って。

何にも知らないと、ちょ、、何コレ??みたいな感覚になりますが、

背景が分かれば、途端にその日本的な奥ゆかしさに目頭が熱くなる。、、一同礼! 繋つながってるって、そういうこと。

具体的な数字を。

御代替みよがわり継承けいしょうの歴史は2600年以上

日本建国の祖であり、初代天皇となった神武じんむ天皇。

この神武じんむ天皇というお方が、日本という国をつくり、天皇として即位そくいしたのが、今から2600年以上も前のお話。

●必読:橿原宮即位と東征完結|歴史はココから始まる。橿原宮で即位し世界最古の国「日本」をつくった件

てことは、

少なくとも、天皇の即位そくい儀礼ぎれいである「御代替みよがわり」は、その始原から考えると2600年以上の歴史をもってるってことになる。

この時点でスゴいんですが、

継承けいしょうや各儀式の起源という話になると、

天孫降臨てんそんこうりんや、それ以前の国生み神話までさかのぼってしまうモノ凄さ。

それ何年前???

もう訳分からんくらい途方もない時間軸。宇宙誕生が約138億年前? てことはそれよりちょいあとの100億年前くらい??

まずは、この途方もない時間感覚、その神代じんだいまで遡ってしまうスゴさをチェックです。

 

神話に根ざす御代替わりが生まれた理由

日本的代替だいがわりのスゴさ、ということで、

  • 神話と繋つながってる継承けいしょう儀礼ぎれいであること、
  • そこからくる、途方もない時間軸、継承けいしょうされてきた時間があること、

を踏まえて、

ここでは、

なぜそんな御代替みよがわりが生まれたのか?

その理由を説き明かしていきましょう。

(以下、統治とうちと言う言葉が頻出ひんしゅつしますが、これは古代こだいでのお話。今は象徴天皇制しょうちょうてんのうせいですのでそういうことでご承知おきくださいませ)

神話に根ざす御代替みよがわり誕生の理由

それは、

即位そくいする天皇の正統性を示すため

「正統性」とは、「ある政治権力の支配が正しいとされる根拠」のこと。

リーダーになる人がいて、

そのリーダーが、
なんでリーダーとなるのか?を明確にするための根拠、ってことで。

その「根拠」「理由」があるから、みんな納得して、リーダーについていく、なんなら神輿みこしを担ぐ訳です。

正統性の二大柱、というのがありまして。

それが、

  • 血統
  • 歴史

であります。

これ、ジャパンスタイル。

  • 血統とは、祖先からつながっている血のつながりのこと。血筋。
  • 歴史とは、祖先から受け継がれてきた物語のこと。今回でいうと神話。

みんなが納得してついていくリーダーですから、
スゴい血筋のお方であり、スゴい歴史背景をもってるお方であるべきですよね。

どこぞの馬の骨とも分からん人をリーダーとして認める訳には参りませぬ。

てことで、

即位そくいする天皇の正統性を示すために、
我らがご先祖様たる古代こだい日本人は、神の時代からのつながりを求め

そこに、

具体的には、

  • 天皇は、高天原たかあまのはらの統治者とうちしゃである天照大神あまてらすおおかみの血筋を引いてる
  • 天皇は、神の時代から続く神話的(歴史的)背景を持っている

てことを示していった訳なんです。

いや、、、そんなお方だったら、、、

ヤバいよね。

納得せざるを得ません。。。いや、もっと積極的に、スゴいリーダーがやってきた!みんなでついていこうや!ってなる。 いや、なろう。

で、

そんな理由から編纂へんさんされたのが日本神話。

具体的には、

『日本書紀にほんしょき』や『古事記こじき』といった書物にその正統性の根拠を埋め込んでいった訳です。

オモロー!なのは、両書ともに歴史書であること。コレがめっちゃ独特。神話なのに歴史。このごちゃ混ぜ感がたまらない。

ちなみに、いずれの書物も日本最古級。

時代背景として、8世紀ごろの歴史がからんでくる壮大なお話に。

●必読:飛鳥浄御原宮|日本神話編纂のふるさと!歴史書の編纂というビッグプロジェクトがスタートした超重要スポット

奈良ならサイコーやで

ということで、

  • 天皇は、高天原たかあまのはらの統治者とうちしゃである天照大神あまてらすおおかみの血筋を引いてる
  • 天皇は、神の時代から続く神話的(歴史的)背景を持っている

この

血統と歴史という二大柱をもって

即位そくいする天皇の正統性を示し、それを「御代替みよがわり」の儀式として構成し、誰もが納得する継承けいしょうシステムとして創り上げた、ってこと。

壮大。。。

ほんと、古代こだい日本人が構想した世界、創り上げた仕組みがスゴすぎて。。。創意工夫と智恵の結晶として学びをいただきたい。

そんな視点で御代替みよがわりを見てみるのもオススメです。

 

現代の御代替わりとその流れ

神話に根ざす御代替みよがわりのスゴさと、その理由・背景が理解できたところで、

ここからは、実際の、リアルな現場をチェック。

まずは、

基準となる、現代の御代替みよがわりをご紹介。

その上で、御代替みよがわりメニューのどこに神話ロジックが埋め込まれているか、
また、御代替みよがわりの歴史的変遷へんせんも含めてご紹介していきます。

現代の御代替みよがわりは、大きく3部構成。

  1. 践祚せんそ式    三種の神器じんぎを継承けいしょうし皇位こういに即つく
  2. 即位そくい礼    皇位こういについたことを広く宣明せんめいする
  3. 大嘗祭だいじょうさい    共食きょうしょくにより天照大神あまてらすおおかみと繋つながる

と。

3つ目が途端に怪しくなるけど、それはそれ、何度も申し上げますが、神の時代から継承けいしょうされてるお話ですから。

歴史の人物が、ある時から祭られる神になってしまう(例えば、八幡宮はちまんぐう、天満宮てんまんぐう、明治神宮めいじじんぐう等)日本的な奥ゆかしさや精神性と合わせて理解。

この3つの儀礼ぎれい、

分かりやすく整理すると、

テーマは
「完全体としての天皇になる儀式」と言えます。

完全体としての天皇とは?

つまり、政治と祭祀さいしを掌握しょうあく・承継しょうけいした天皇、という事。

古代こだいにおいては、政治と祭祀さいしを司つかさどることが天皇としての絶対用件。

そのために、

政治における継承 践祚(践祚式、即位式)
祭祀における継承 大嘗

という仕組み、枠組みをつくった、って事。

※現代では三部構成ですが、そもそもは二部構成。践祚せんそと大嘗おおなえ。即位そくい礼は、平安へいあん期以降に唐風とうふうを模して分離独立したメニュー。

これが、現代の御代替みよがわりにも引き継がれてるってことなんです。

てことで、

政治と祭祀さいしの枠組みをもとに、

就任して、お披露目して、神と繋つながる

ホップ・ステップ・ジャンプで完全体天皇誕生!

そのうえで、

現代の御代替みよがわりメニューの概要がコチラ。メインどころをチェック。

1.践祚せんそ式

「践祚せんそ」とは、皇位こういを践ふむという意味で、天皇という位くらいにつくことを言います。

ポイントは、
何をもって位くらいについたとするのか?

で、それは、天皇を証明するグッズ(レガリア)を継承けいしょうすること、であります。

これも神代じんだいからの伝統。神様もミッション+グッズのセットで活動。

参考:『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 一書第1 天神ミッションと無知な二神

グッズとは、「三種の神器じんぎ」がメイン。他、現代では、天皇の印鑑いんかん(はんこ)である「御璽ぎょじ」、日本国の印鑑いんかんである「国璽こくじ」、皇室に由緒ある品々を継承けいしょう。それが「剣璽等承継けんじとうしょうけいの儀」。

で、継承けいしょうしたら継承けいしょうしたで、今度はご先祖様(天照大神あまてらすおおかみ)や神々にご奉告ほうこく。なんでココで天照あまてらすに奉告ほうこくするのかも神話が根拠。詳細後ほど。

N 儀式 概要 場所
1 剣璽等承継けんじとうしょうけいの儀 即位に伴い剣璽等を承継される儀式 宮殿
2 即位後朝見ちょうけんの儀 即位後初めて国民の代表に会われる儀式
3 賢所かしこどころの儀 賢所(天照大神)に皇位を継承されたことを奉告する儀式 賢所
4 皇霊殿こうれいでん・神殿しんでんに奉告の儀 皇霊殿神殿に皇位を継承されたことを奉告する儀式 皇霊殿、神殿

※2019年の御代替わりスケジュール。宮内庁発表の「即位の礼及び大嘗祭関係諸儀式等(予定)について」資料より加工。

必読:践祚式とは?|位(祚)を践む儀式!天皇であることを証明する三種の神器を継承し皇位に即く、それが践祚式です

 

2.即位礼

国内外に即位そくいを宣言することがメイン。

宣言をどこでどのように行うのか?がポイント。それが、「即位礼正殿そくいれいせいでんの儀」。

ココでは、高御座たかみくらという、特別な壇が用意され、天皇がその壇上から即位そくいを宣言します。

正殿せいでんの中庭には、たくさんの「旛ばん」と呼ばれる仗旗じょうき(特別な旗)が立てられ色鮮やか。他、弓や太刀などを持ち、古代こだいの装束を着た参役者さんえきしゃ、供奉員ぐぶいんらが整然と控えるなか、総理大臣そうりだいじんが寿詞よごと奏上そうじょう、万歳三唱。。。と、まースゴい。

N 儀式 概要 場所
1 即位礼当日賢所かしこどころ大前の儀 即位礼の当日、賢所に天皇が即位礼を行うことを奉告される儀式 賢所
2 即位礼当日皇霊殿・神殿に奉告の儀 即位礼の当日、皇霊殿及び神殿に天皇が即位礼を行うことを奉告される儀式 皇霊殿、神殿
3 即位礼正殿そくいれいせいでんの儀 即位を公に宣明されるとともに、その即位を内外の代表がことほぐ儀式 宮殿
4 祝賀御列おんれつの儀 即位礼正殿の儀終了後、広く国民に即位を披露され、祝福を受けられるためのパレード 宮殿~赤坂御用地
5 饗宴きょうえんの儀 即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴 宮殿

※2019年の御代替わりスケジュール。宮内庁発表の「即位の礼及び大嘗祭関係諸儀式等(予定)について」資料より加工。

 

3.大嘗祭だいじょうさい

一代いちだいにつき一度だけ斎行さいこう。

天皇によって毎年斎行さいこうされてる「新嘗祭しんじょうさい」が、即位そくいの年だけ、つまり新天皇が即位そくいした年だけ、1回限りで「大嘗祭だいじょうさい」という名前に切り替わります。

「悠紀殿ゆきでん」「主基殿すきでん」を中心とした「大嘗宮だいじょうきゅう」が特別に造営され、そこで秘儀が。。。ココにも神代じんだいの設定あり。

国家・国民の安寧あんねいや、五穀豊穣ごこくほうじょうを、天照大神あまてらすおおかみはじめ神々に感謝するのはもちろんの事、その隠れた意味は、天皇が祖先神そせんしんたる天照大神あまてらすおおかみと繋つながること(諸説あり)。

さらに、

大嘗祭だいじょうさい用には特別な神饌しんせんが用意されるのですが、代表的なのが、特別な田んぼ(斎田さいでん)から収穫される特別な稲。

特別な田んぼ感は、占いで決めることによって示されます。スゴくない?宮中きゅうちゅうで占い!これも神代じんだいからの伝統。

分類 N 儀式 概要 場所 時期
お米作り 1  斎田さいでん点定の儀 悠紀及び主基の両地方(斎田を設ける地方)を定めるための儀式 神殿 5月
2 大嘗宮地鎮祭 大嘗宮を建設する予定地の地鎮祭 皇居東御苑 7月
3 斎田抜穂ぬいぼの儀 斎田で新穀の収穫を行うための儀式 斎田 秋
4 悠紀主基両地方新穀供納 悠紀主基両地方の斎田で収穫された新穀の供納をする行事 皇居 秋
お祭り 5 神宮に勅使ちょくし発遣の儀 神宮に大嘗祭を行うことを奉告し幣物を供えるために勅使を派遣される
儀式
宮殿 11月
6 大嘗祭前一日鎮魂ちんこんの儀 すべての行事が滞りなく無事に行われるよう天皇始め関係諸員の安泰を祈念する儀式 皇居 11月
7 大嘗祭当日神宮に奉幣ほうへいの儀 神宮に大嘗祭を行うことを勅使が奉告し幣物を供える儀 神宮 11月
8 大嘗祭当日賢所かしこどころ大御饌供進の儀 賢所に大嘗祭を行うことを奉告し御饌を供える儀式 賢所 11月
9 大嘗祭当日皇霊殿こうれいでん神殿しんでんに奉告の儀 皇霊殿及び神殿に大嘗祭を行うことを奉告する儀式 皇霊殿、神殿 11月
10 大嘗宮の儀
・悠紀殿供饌きょうせんの儀
・主基殿供饌きょうせんの儀
大嘗宮の悠紀殿及び主基殿において初めて新穀を皇祖及び天神地祇に供えられ、自らも召し上がり、国家・国民のためにその安寧と五穀豊穣などを感謝し、祈念される儀式 皇居東御苑 11月
11 大饗おおにえの儀 大嘗宮の儀の後、天皇が参列者に白酒、黒酒及び酒肴を賜り、ともに召し上がる饗宴 宮殿 11月

●必読:大嘗祭とは?天皇一代につき一度だけ斎行!日本神話に根ざす大嘗祭の全貌を徹底解説!

●必読:斎田点定の儀|特別な田んぼ「斎田」を亀卜で占う神事!神代から継承された奥ゆかしい儀式を日本神話とあわせてご紹介!

●必読:大嘗宮の儀「悠紀殿供饌の儀・主基殿供饌の儀」とは?|神に奉る・いただく( 薦・享)がセットの共食!天照大神と繋がる大嘗祭の中心儀式

さて、

改元かいげんについても少し解説。

新しい天皇の代になると「元号げんごう」が改められます。

本エントリでは、上記、現代の御代替みよがわりメニューからは外して、補足として位置づけ。

ホントは一連のメニューの中に、つまり、天皇が行うことの中に入れたいんですが、、、

歴史的には、代替だいがわり以外にもいろんな理由や事情によって改元かいげんが行われてました。不吉な事が連続すると改元かいげん、吉祥が発生すると改元かいげん、思い立ったら改元かいげん、、、

参考:金鵄飛来=祥瑞応見|「瑞(みつ)」は王の聖徳に天が応えて示す「しるし」。古代にはそれなりのもんげー制度があった件|分かる!神武東征神話 No.18

ですが、明治めいじ以降は制度化され、皇位こうい継承けいしょうがあった時に限って行われるように。

このときから元号げんごうは、その時の天皇代を表象ひょうしょうするものになってます。

現代の感覚、例えば、昭和しょうわの時代は昭和しょうわ天皇と同一、平成へいせいは平成へいせい天皇と同一、はココから来てる訳ですね。

ポイントは、

天皇の天皇たる所以ゆえんは何か?

ということで。

それが、、、

時を司つかさどる

ということ。ココは激しく推させていただきます。

これまで紹介してきた御代替みよがわりの儀礼ぎれいメニューは、極論、資金さえあれば誰でも同じようなことはできます。レガリアつくって、受け取って、高御座たかみくらつくって、登って宣言して、大嘗宮だいじょうきゅうつくって、儀式を行う。極論、誰でもできると言えばできる。少々極論すぎる?

でも、、、

時を変えることはできません。

誰かが「今から改元かいげんする!クジャクの年がはじまるのだ!」と言ったところで、、、今から???ってなって、改元かいげんできませんよね。

天皇だけが唯一、時を司つかさどり、時を変えることができる。

時を握ってるって、
それくらい重いことなんです。

これも元を辿たどれば神代じんだいから、神話を受け継いで誕生した初代「神武じんむ天皇」から続く伝統だったりします。

今でこそ、象徴天皇制しょうちょうてんのうせいの下で、改元かいげんについては内閣ないかく主導みたいな形になってますが、本来は、天皇が握っていた唯一絶対の権限だったんすね。

ちなみに、元号げんごうは、良い意味を持つ二字を用いる伝統で、時代背景や明日への希望、元号げんごうとしての相応ふさわしさなどを勘案した字が設定されてます。令和れいわ改元かいげん、盛り上がりました。

ということで、

現代の御代替みよがわりメニューの概要をお届けしてきましたが、次の章では、御代替みよがわりの起源をご紹介。日本神話はその次で。

 

御代替わりの起源

ココからは、御代替みよがわりの起源、その原型が形づくられた時代のことをご紹介。

本格的に語りはじめると膨大な量になるので、ココではポイントを。

御代替みよがわりは、最初から完成されてた訳ではなく、
飛鳥あすか時代から奈良なら、平安へいあんにかけて改良・整備されてきた歴史あり。

流れとしては大きく

ホップ・ステップの二段階。

  • ホップ:原型づくり・・・天武てんむ天皇(飛鳥あすか時代)
  • ステップ:発展→完成型づくり・・・桓武かんむ天皇~清和せいわ天皇(平安へいあん時代)

ということで、

ここでは、御代替みよがわりの原型がつくられた飛鳥あすか時代をご紹介。発展・完成形がつくられた時代のことは、践祚せんそ式や即位そくい礼のエントリで詳しく解説しています。コチラも是非。

 

御代替わりの原型づくり 飛鳥時代の即位儀礼

御代替みよがわりの一番最初は、初代天皇である神武じんむ天皇から二代目の綏靖すいぜい天皇のとき。

ですが、この頃のことは『日本書紀にほんしょき』にも伝えておらず、よーわかりません。代替だいがわり儀礼ぎれいとして本格的につくられたのは、7世紀末から8世紀初頭にかけて。飛鳥あすか時代のことです。

なんでこの時代か?

というと、その背景には天皇が絶対的な権力を握った出来事があったからです。力の無い人が「オレ様天皇~!」と叫んだところで誰もついてきません。

そのきっかけとなったのが、、、

壬申じんしんの乱

遠因として、白村江はくすきのえの敗戦もアリ。、、、なんか、歴史の授業みたいになってますが、、、

必読:飛鳥浄御原宮|日本神話編纂のふるさと!歴史書の編纂というビッグプロジェクトがスタートした超重要スポット

古代史こだいし最大の内乱。

中央にいた既得権益きとくけんえき豪族ごうぞくどもを、
地方豪族ごうぞくの力を結集して、ぶちのめしたのが大海人皇子おおあまのみこ。後の「天武てんむ天皇」であります。

すごいでしょ?

自分の冠する名前に「天」をつけちゃう。そのセンスとか自信とか。

この天武てんむ天皇、
壬申じんしんの乱に勝利したことで、絶対的なパワーを握ります。

ひっくり返したわけやからね。

このスーパーパワーを背景に、
天皇を中心とした中央集権国家ちゅうおうしゅうけんこっかづくりを強力に推し進める。

その三大柱となったのが、

  1. 即位そくい儀式整備
  2. 律令りつりょう整備
  3. 歴史書編纂へんさん

というわけで。

即位儀式
律令整備…国の仕組みづくり 歴史書編纂…正統性を示す

つまり、

即位そくいのための根拠として、律令りつりょうと歴史が「国家プロジェクト」的に整備されていったわけです。

 

ということで、早速、その現場をチェック。

 

天武天皇(673~686)の即位そくい儀礼ぎれい

①天武てんむ天皇二年(673年)2月

天皇、有司つかさに命じて壇場たかみくらを設け、帝位に飛鳥浄御原宮あすかのきよみはらのみやに即つく。(『日本書紀』天武天皇二年)

②天武てんむ天皇二年(673年)12月

大嘗おほにへに侍奉つかへまつる中臣なかとみ・忌部いみべ及び神官、播磨はりま・丹波たんば二国の郡司こほりのつかさらに賜禄ものたまふ。(『日本書紀』天武天皇二年・大嘗初見)

③同五年(676年)9月

神官かむつかさ奏して曰まうさく「新嘗にひなへの為に国郡くにこほりを卜うらなはしむ。斎忌ゆきは尾張国の山田郡こほり、次すきは丹波国の訶沙かさ郡、並ならびに卜に食あへり」とまうす。(十一月朔日、新嘗の事を以て、告朔せず)

と、

いかがでしょうか?

ゾクゾクしません???

古代こだい日本人がアツい情熱と叡智と魂を注ぎ込んで創造した即位そくい儀礼ぎれい。そのゴツゴツした原型が、その現場がコレ。ゾクゾク。。。

ポイントは、

  • 「天皇、壇場たかみくらを設もうけ帝位に即つく」とあるように、「壇」を設もうけて即位そくいする形式。
  • 即位そくいの年12月に、大嘗おおにえを斎行さいこうしている。
  • その3年後、新嘗にいなえを斎行さいこうしているが、新嘗にいなえでも悠紀ゆき・次すき(主基すき)が選ばれている。

てことで、

このころは、践祚せんそと即位そくいが一体のものだったようで。大嘗おおにえと新嘗にいなえも言葉は別ですが中身は同じで未分化状態だったことが伺えます。

と、

総じて、即位そくい儀礼ぎれいとしては、今と比較すると未成熟状態ながら、その萌芽が感じられる仕上がりになっております。

でもって、

周到かつスゴイのが、

これ以降、これを、法律によって規定化していく作業が進められます。

「令りょう(浄御原令きよみはらりょう)」(当時の法律)による、即位そくい儀礼ぎれいの規定化。コレは、天武てんむ天皇亡なきあと、奥さんの持統じとう天皇によって施行しこう。

それがコチラ。

即位—— 凡およそ践祚日せんそのひには、中臣なかとみ、天神てんじんの寿詞よごと奏せよ。忌部いむべ、神璽しんじの鏡剣かがみたち 上たてまつれ。(神祇令践祚条じんぎりょうせんそじょう)

大嘗—— 凡およそ大嘗おほむべは、世毎よごとに一年、国司こくし(悠紀ゆき・主基すき両国)事行ことおこなへ。以外は、年毎としごとに所司しょし(神祇官および祭りに預かる諸司)事行へ。(神祇令大嘗条だいじょうじょう)

スゲー、。マジで。徹底的にやってる感じがする。

ポイントは、

  • 即位そくい(践祚せんそ)の時は、中臣なかとみ氏が祝詞のりと奏上そうじょう担当で、忌部いんべ氏が神璽しんじである鏡剣かがみたちを奉たてまつる担当
  • 大嘗おおなえと新嘗にいなえを分離。大嘗おおなえは、天皇の代毎ごとに一年とし、悠紀ゆき・主基すき両国の国司こくしが神饌しんせんを奉たてまつる担当。それ以外の年は、神祇官じんぎかん等が担当。

ということで、

天武てんむ天皇代に原型としてつくられた儀礼ぎれいを、法律で規定し国家の仕組みとして落とし込んでいった経緯であります。スゴ… (゚A゚;)ゴクリ

ちなみに、、

現代の「御代替みよがわり」とのつながりを簡単にいうと、

  • 「忌部いんべの鏡剣かがみたち奉たてまつる儀」→ 現代:「剣璽等承継けんじとうしょうけいの儀(践祚せんそ式)」における「三種の神器じんぎ」継承けいしょうの儀礼ぎれい。
  • 「壇場たかみくら」に上る→ 現代:「即位礼正殿そくいれいせいでんの儀(即位そくい式)」における高御座たかみくらでの即位そくい宣言。
  • 「中臣なかとみによる天神てんじんの寿詞よごと奏上そうじょうの儀」→ 現代:内閣総理大臣ないかくそうりだいじんの寿詞よごと。
  • 悠紀ゆき・主基すき両国を占いによって決め、その斎田さいでんからの稲を奉たてまつる→ 現代の大嘗祭だいじょうさいとほぼ同じ。昔は国司こくしが担当。

と。いうことで、

古代こだいの儀礼ぎれいが、形を変えつつも、現代に受け継がれてる訳ですね。素敵+.(´∇`*)。+.゚ イイ!! 

しかも、、、

ココからが重要で。

御代替みよがわり儀式の根拠として、
日本神話が設定されてる!!

って事。

即位そくい儀式、律令りつりょう、歴史書の3つが繋つながる。。。

つまり、

儀式の原型づくりと合わせて、律令りつりょう(法律)の中にも根拠が埋め込まれ、さらに歴史書の中にも神話としての埋め込みがされていたってこと。

即位そくい儀礼ぎれい、律令りつりょう整備、歴史書編纂へんさん

この3つのプロジェクトを関連させながら、国の仕組みとして形づくっていった、、。

壮大。ホントスゴすぎ。

天皇中心の国家体制を構築するために、天皇がこの国を統治とうちする正統性を示すために、重要なポイントをしっかりと押さえながら繋つながりをつけてる。誰だこんなブッ飛んだ事を構想したヤツは???多分、中臣大嶋。。。

ということで、

次はいよいよ日本神話の登場。

これまでご紹介してきた御代替みよがわりを支えるバックボーンとしての日本神話。その壮大な仕掛けをご堪能あれ。

 

御代替わりの根拠となる日本神話

改めて、スゴい国だなと思います。

御代替みよがわりを語ってると、いつの間にやら神話世界へ繋つながってきてしまう。

神話と歴史が繋つながってる唯一無二の国ならではのビックリ現象。

早速、践祚せんそ・即位そくいと大嘗祭だいじょうさいに分けてご紹介。

 

①践祚せんそ、即位そくいに関連する日本神話

天皇が即位そくいする「践祚せんそ式、即位そくい礼」のポイントは、

  • そもそも論、天皇が即位そくい(統治とうち)する理由
  • その位くらいを証明するグッズ(レガリア)
  • 中臣なかとみによる天神てんじん寿詞よごとの奏上そうじょう、忌部いんべによる鏡剣かがみたちの奉上ほうじょう

それぞれの「神話的出どころ、根拠」です。

全部で4つ。

 

まず1つめ。

-① なぜ天皇が統治とうちするのか?

践祚せんそ、即位そくいにあたっての「そもそも論」。だからこそ超重要。激しくチェック。その根拠は、2点、

  • 血筋
  • 経緯

であります。

まずは、血筋のお話から。

コレ、簡単に言うと、天皇は「皇統こうとう」に属し、具体的には、天照大神あまてらすおおかみの子孫だから、という理由。

スゴイよね、、、もう、、、いきなり良くわかんない。。とにかくスゴイ。

で、日本神話には、しっかりと根拠となる「天照あまてらすの系譜けいふ」が伝えられてるのです。

参考:分かる!神武東征神話|神武の生い立ち|天照大神の第五世代 子孫(来孫)であり、海神の孫でもある件

神代じんだいに限って言うと、

初代天皇である「神武じんむ天皇」は、
天照大神あまてらすおおかみからみて「第五世代目の子孫」として設定されてる。

天照あまてらす→おしほみみ①→ににぎ②→やまさち③→ふきあえず④→神武じんむ⑤

の順。

現代では、5番目の孫を「来孫(らいそん)」と呼びますが、コレに相当。

神武天皇の系統図

天照大神あまてらすおおかみの子孫として位置づけられてる神武じんむ

すごくない?コレ、、、

世界の最高神さいこうしんの子孫って、、、しかも、母方の系譜けいふをたどると「海の神」や「山の神」とつながっていく設定になっていて。

って、どんなロイヤルファミリーやねん、、、

いきなりもんげー話で恐縮ですが、
正統性の根拠としての「血統」について、天照大神あまてらすおおかみから続く系譜けいふをもってるってこと、まずはチェック。

以後、歴史の時代ではずーっと、天皇家として、歴代の天皇はこの系譜けいふを受け継いでる、ってことになります。

 

続いて、2つ目。

正統性を担保する経緯(理由)のお話。

これは、天孫降臨てんそんこうりん神話における「天壌無窮てんじょうむきゅうの神勅しんちょく」が根拠。

「天壌無窮てんじょうむきゅう」とは、天地と同じように永遠に続くこと。「勅ちょく」とは、権力者が与える絶対命令のこと。

簡単に言うと、

天孫てんそんが統治とうちをせよと(命令)、そうすれば、その統治とうちは、皇室の繁栄は、天地がある限り永遠であると(保証)。そういう内容であります。

経緯は以下。

地上世界である「葦原中国あしはらのなかつくに」の平定を承うけ、天照大神あまてらすおおかみは自分の子孫を「葦原中国あしはらのなかつくにの統治者とうちしゃ」として天降あまくだらせます。

その時、降臨こうりんする「彦火瓊瓊杵尊ひこほのににぎのみこと」に「天上無窮てんじょうむきゅうの神勅しんちょく」発動。ココに根拠あり!

そして皇孫すめみまに勅ちょくして、皇孫に勅して、「葦原千五百秋之瑞穂國あしはらのちいほあきのみつほのくには、我が子孫が君主たるべき地である。汝、皇孫よ、行って治めなさい。さあ、行きなさい。宝祚あまつひつぎの栄えることは、天地とともに窮まることがないであろう。」と言った。と命じた。 (『日本書紀』神代下第九段〔一書1〕)

と。

ポイント3つ。

  • 葦原千五百秋之瑞穂國あしはらのちいほあきのみつほのくには、我が子孫が王きみとなる地である =予祝よしゅく&保証
  • 皇孫すめみまのおまえが行って治めなさい =絶対命令
  • 天の系譜けいふは栄え、天地とともに永続するだろう =保証

てことで、

要は、

天照大神あまてらすおおかみによる「命令+保証」の意味を持たせた絶対命令。コレが即位そくい(統治とうち)の根拠!

だって、最高神さいこうしんたる天照大神あまてらすおおかみが命令して、しかも保証してんだから。。。その正統性たるや、絶対的なものですよね。一同正座!姿勢を伸ばして拝聴!

ということで、まず、そもそも論である、なんで天皇が統治とうちすんの?について

血統と経緯についての神話でした。

次!

 

-② 統治とうちを証明するものは?何をもって天皇(統治者とうちしゃ)とするのか?

即位そくい(統治とうち)の理由が明確になったら次は、その証明であります。

この証明、神世界の価値観を踏襲し、グッズ(レガリア)で証明することになっております。

それが、

三種の神器じんぎ

コチラも、天孫降臨てんそんこうりんに際し、天照大神あまてらすおおかみから授さずかった宝物たからもので。先ほどの神勅しんちょくと同じシーン。

天照大神は、天津彦彦火瓊瓊杵尊あまつひこひこほのににぎのみことに八坂瓊曲玉やさかにのまがたまと八咫鏡やたのかがみ、草薙劒くさなぎのつるぎの三種宝物みくさのたからを授さずけた。 (『日本書紀』神代下第九段〔一書1〕より一部抜粋)

と。

天照大神あまてらすおおかみ自みずから、直々に、「三種宝物みくさのたからもの」を授さずけた訳ですね。

以後、ににぎ②→やまさち③→ふきあえず④→神武じんむ⑤、と引き継がれ、以降の天皇も代々これを引き継いでる訳です。

現代の「剣璽等承継けんじとうしょうけいの儀」で三種の神器じんぎが出てくる理由がコレ。スゴイよね、、、最高神さいこうしんからいただいた宝物たからもの、、、

ポイントは、昔から伝わってる伝統工芸品を受け継ぎました、ではなく、
天皇として日本を統治とうちする根拠、それを証明する品を受け継いでる、ってこと。コレ、めちゃんこ重要。

だからこそ、平安へいあん時代以降つい最近まで、神格化され「剣璽渡御けんじとぎょ」、つまり、剣璽けんじが自みずから渡ってくる、という儀式名で、そういうもの(神)として位置づけられてた訳。コレも激しくチェック。

次!

 

-③ で、「三種宝物みくさのたからもの」ってどっから来たのよ?

って、ことになりますよね。ご安心ください。すべて、神話に紐づけられてますから。以下ご紹介。

「三種宝物みくさのたからもの」ですが、意味分解すると、(玉+鏡)+剣、の2つから成ります。

なので、以下、2つの神話をご紹介。

1つめ。

「八坂瓊曲玉」「八咫鏡」は天石窟神事に紐付け

「三種宝物みくさのたからもの」のうち、「八坂瓊曲玉やさかにのまがたま」「八咫鏡やたのかがみ」は、

天照大神あまてらすおおかみが岩戸に引きこもり世界が闇に包まれてしまう、という「天石窟あまのいわや神事」に根拠あり!

経緯は以下。

(素戔嗚尊すさのおのみことが暴れん坊将軍っぷりを発揮。これにより、天照大神あまてらすおおかみが天石窟あまのいわやに幽居、世界は常闇とこやみで昼夜の別がなくなってしまう。。。)

そこで、諸神もろがみは天児屋命あまのこやねのみことを直々に指名。天照大神あまてらすおおかみを石窟から出すための祝詞のりとを唱えさせます。

ポイントは、中臣なかとみのご先祖とされる天児屋命あまのこやねのみことの活躍っぷりと、その祝詞のりとの素晴らしさ。

  日神ひのかみが天石窟あまのいはやにとじ籠もるに及んで、諸神は中臣連なかとみのむらじの遠祖とほつおやである興台産霊こごとむすひの児の天児屋命あまのこやねのみことを遣わして祈らせた。

 そこで天児屋命は、天香山あまのかぐやまの真坂木まさかきを根ごと掘り出し、その上の枝には、鏡作かがみつくりの遠祖である天抜戸あまのぬかとの児の石凝戸辺いしこりとべが作った八咫鏡やたのかがみを掛け、中の枝には、玉作たまつくりの遠祖である伊奘諾尊いざなきのみことの児の天明玉あまのあかるたまが作った八坂瓊曲玉やさかにのまがたまを掛け、下の枝には、粟国あはのくにの忌部いみべの遠祖である天日鷲あまのひわしが作った木綿ゆふを掛け、そうして忌部の首おびとの遠祖である太玉命ふとたまのみことにこの真坂木まさかきを手に取り持たせ、壮大で重厚に(日神を)賛美する称辞たたえごとを祈り申し上げた。

 時に、日神はこれを聞いて「このごろ人が何度も石窟いはやから出るように誓願するが、いまだこんなにも麗美うるはしい言葉はなかった。」と言い、そこで磐戸いはとを細めに開けて外を窺うかがった。

 この時、天手力雄あまのたちからをが磐戸の側かたわらにひかえていたので、ただちに磐戸を引き開けると、日神の光が世界の隅々まで満ちた。 (『日本書紀』神代上第七段〔一書3〕)

(天照大神あまてらすおおかみや、八十万神やおよろずのかみ々や、天鈿女命あまのうづめのみことの神がかり演舞は、第七段〔本伝〕を中心としたお話)

ポイントは、

神事で、しかも、世界に光を取り戻すめっちゃ重要な儀式における「祭具さいぐ」として、玉と鏡が位置づけられてる、って事。

世界に光を取り戻した時に使われた祭具さいぐ

これを天皇が継承けいしょうする、、、

光を取り戻したんですよ!そのおかげで今があるんですよ!象徴としての意味、そして、その玉鏡パワー、超絶間違いなしでしょ

次!

 

「草薙剣」は八岐大蛇やまたのおろち退治に紐付け

「三種宝物みくさのたからもの」のうち、残りの「草薙剣くさなぎのつるぎ」は、

素戔嗚尊すさのおのみことが地上世界の「悪」の権化「八岐大蛇やまたのおろち」を退治する、という「八岐大蛇やまたのおろち退治」に根拠あり!

経緯は以下。
八つの丘、八つの谷の間に巨大な蛇体を這はいわたらせ、毎年娘を呑み込みにやってくる八岐大蛇やまたのおろち。地上世界の悪の象徴であります。

この超巨大な大蛇を、素戔嗚尊すさのおのみことは、超強力な酒で眠らせ、寝ているスキに十握剣とつかのつるぎで寸断。刻んで刻んで尾に至ると、剣の刃が欠けた。ので割さいて見ると、「草薙剣くさなぎのつるぎ」発見。すぐに神剣しんけんとして天神あまつかみに献上けんじょうします。コレが根拠!

 酒を得ると、八岐の頭をそれぞれ酒桶に突っ込んで飲み、酔って睡ねてしまった。この時を見はからって、素戔嗚尊は帯おびていた十握剣とつかのつるぎを抜き、細かくその大蛇を斬り刻んだ。尾に至ったところで、その剣の刃が少し欠けた。そこでその尾を切り裂いて見ると、中に一振りの剣があった。これが、いわゆる草薙剣くさなぎのつるぎである。 ー中略ー 素戔嗚尊は「是は神剣あやしきけんである。私がどうしてあえて自分のものとして置こうか。(いや、置いておくことはできない)」と言い、そこで天神あまつかみに献上したのである。 (『日本書紀』神代上第八段・本伝)

と。

ポイントは、

  • 地上世界の悪の権化を退治し、その体の中から出てきた神剣しんけんであること
  • 素戔嗚尊すさのおのみことは、天神あまつかみに献上けんじょうしている=天と地の主従関係を象徴する神剣しんけんであること

の2点。

モノスゴイ剣なんです。「草薙剣くさなぎのつるぎ」。地上における悪の権化を退治し、その中から獲得された剣。

当然、悪い奴がいたら速攻で斬段可能。超絶パワー間違いなし!

あと、天神あまつかみに献上けんじょうしている=天と地の主従関係を結ぶときに使用された神剣しんけんであることもチェックです。

ということで、

まとめると

  • 「三種宝物みくさのたからもの」を分解すると、玉+鏡、剣、の2セットから成る。
  • 玉+鏡は、地上世界に光を取り戻す曰いわく付き。剣は、地上世界の悪を退治する曰いわく付き。いずれも、統治者とうちしゃとして持つべき属性を網羅した、もんげー宝物たからもの。

以上の2点。しっかりチェックです。

そんな宝物たからものをもってる訳で、天皇。勝てる訳がない。スーパーパワーがココに!

で、一応、

神話的な流れを最後に補足しておくと、

要は、

『日本書紀にほんしょき』の

  • 第七段で、神事を通じて玉と鏡を提示
  • 第八段で、退治を通じて剣を提示
  • 第九段で、天孫降臨てんそんこうりん時に天照大神あまてらすおおかみから神勅しんちょくと合わせて下賜かし

という流れになってる。

全ては、天皇即位そくいにおける正統証明のために。

遡ること、天孫降臨てんそんこうりん時の神勅しんちょく+宝物たからものに由来。さらに出どころを辿たどると、光を取り戻す神話や、地上世界の悪を退治する神話に由来するスーパートレジャー、

て事ですね。

練りに練られた神話と歴史、儀式との繋つながり。その構想力、発想力、、、古代こだい日本人の叡智ってホントスゴイ。現代に生きる私たちも負けずに頑張らないと!

追加で。

-④ なんで中臣なかとみ、忌部いんべがご指名で活躍してるの?

について。

お気づきになられましたでしょうか?

先ほどご紹介した天石窟あまのいわや神話

天児屋命あまのこやねのみこと、活躍しすぎでしょ。。。

中臣なかとみの遠祖とおつおや、つまり、中臣なかとみのご先祖様である天児屋命あまのこやねのみことが全体を統括してるような印象。。。(本伝は思兼神おもいかねのかみ)

しかも、ココが重要、

天児屋命あまのこやねのみことの称辞たたえごと。

本文では、壮大で重厚な祝詞のりとだったと伝えてます。

これを聞いた天照大神あまてらすおおかみは気分高揚⤴、籠っていたはずなのに嬉しくなって外を窺ってしまい、、、結果、外に出されてしまう始末。。。

なんてスゴい祝詞のりとなんだっ

いや、なんてスゴイ祝詞のりとを奏上そうじょうするんだ天児屋命あまのこやねのみことっ

ちょいちょい登場する「忌部いんべ」と合わせて、超重要祭祀さいしの場面で活躍なう。

しかも、覚えてらっしゃるでしょうか、

即位そくいの原型が形作られた時代の法律「飛鳥浄御原令あすかきよみはらりょう」で規定されていた文言にも。

即位—— 凡およそ践祚日せんそのひには、中臣なかとみ、天神てんじんの寿詞よごと奏せよ。忌部いむべ、神璽しんじの鏡剣かがみたち 上たてまつれ。(神祇令践祚条じんぎりょうせんそじょう)

とありました。

やっぱり中臣なかとみ、忌部いんべが大活躍。

コレは、、、一体。。。(゜Д゜)

本件、語りだすと膨大な量になるので、詳細は別エントリで。ココでは簡単に。

要は、

中臣なかとみ、忌部いんべ氏は、
ともに「祭祀さいしを司っていた超重要氏族」だった、って事。

古代こだいにおいては、即位そくい関連儀礼ぎれいって祭祀さいし的な色彩が濃かったって事で。そらそうだ。神の時代から継承けいしょうされてるし。つながってるし。

これは、現代においては特に大嘗祭だいじょうさいで受け継がれてる伝統で。おかげでいろいろ物議を醸してしまうのですが。。。汗

ま、とにかく、徹底的に中臣なかとみ&忌部いんべ推し。

こうした古代こだいでの設定が、例えば、中臣なかとみによる天神てんじんの寿詞よごと奏上そうじょうの儀であり、それが引き継がれ、形を変え、現代の即位そくい式の「即位礼正殿そくいれいせいでんの儀」における内閣総理大臣ないかくそうりだいじんの寿詞よごとに繋つながっていくわけです。

総理大臣そうりだいじんの寿詞よごとはちょっと無理目か。、天児屋命あまのこやねのみことのような祝詞のりとは奏上そうじょうできないし。。。?

ということで、

以上が、践祚せんそ、即位そくい式における日本神話との繋つながりでした。

まだまだ続く!

 

②大嘗祭だいじょうさいに関連する日本神話

ここからは「大嘗祭だいじょうさい」に関連する日本神話を解説。

「大嘗祭だいじょうさい」を本当に理解しようとしたら、背景にある、古代こだい日本人が「稲」に対して持っていた並々ならぬ想いや信仰しんこうを理解する必要があります。

ココでは、その部分を日本神話からご紹介。

まず、

日本の美称として「豊葦原千五百秋瑞穂之地とよあしはらのちいほあきのみずほのち」という言葉があります。

「葦原あしはら」には稲が生育。つまり、豊かな葦原あしはら=豊かな稲がみのる場所。「千五百ちいほ」とは稲の収穫がめちゃめちゃたくさん、そんな秋。ウットリ(*´ェ`*) 秋=1年の収穫の時でもあるので、千五百とかけて、めっちゃ長い間、年という意味も。「瑞穂みずほ」はみずみずしい稲穂。

まとめると、

豊かな葦の茂る原でめっちゃ大量になんなら永遠に稲穂が収穫できるみずみずしくすばらしい地、の意味。

まースゴイ。これでもかってくらい予祝よしゅく感満載のワードで。

最初に登場するのは、『日本書紀にほんしょき』第四段〔一書1〕

天神あまつかみが伊奘諾尊いざなきのみこと・伊奘冉尊いざなみのみことに言った。「豊かな葦原あしはらの永久とわににたくさんの稲穂の実る地がある。」(原文:天神謂伊奘諾尊・伊奘冉尊曰、有豊葦原千五百秋瑞穂之地。) (『日本書紀』巻一(神代上)第四段〔一書1〕)

と。

至高なる存在、天神あまつかみによって予祝よしゅくされた、豊かな秋の実りが約束された地、

それが日本なんですね。

このほか、日本の建国神話である神武じんむ東征とうせい神話では、

「秋津洲あきづしま」という日本の美称が登場。

必読:論功行賞と国見|エピローグ!論功行賞を行い、国見をして五穀豊饒の国「秋津洲(あきづしま)」を望み見た件|分かる!神武東征神話 No.26

東征とうせいを成就させた神武じんむ天皇が、国見くにみをするシーンがあるのですが、ココで、「国状くにのさま」をはるかに望みみて

「蜻蛉あきづが交尾している形のようだ」(原文:猶如蜻蛉之臀呫焉)

と伝えます。

「蜻蛉あきづ」=トンボであり、トンボと言えば、水田に飛んでいる秋の実りを象徴する虫ですよね。

トンボが交尾して飛ぶ=たくさんのトンボが連なり飛ぶ=豊かな稲の実りがある

という事で、

ココにも「稲」を通じた豊かな日本を称える、あるいは予祝よしゅくする思想がある訳です。

神代じんだいで天神あまつかみが予祝よしゅくした「豊葦原千五百秋瑞穂之地とよあしはらのちいほあきのみずほのち」は、神武じんむ天皇の東征とうせいと建国によって「秋津洲あきづしま」として結実した。とも言えて、

稲に寄せた古代こだい日本人の格別な想いを、その信仰しんこうをまずチェックされてください。

そのうえで大嘗祭だいじょうさいを見てみると、、、

特別に造営される「大嘗宮だいじょうきゅう」の中心となる社殿しゃでんが「悠紀殿ゆきでん」と「主基殿すきでん」で。

ここに、「悠紀国ゆきこく」「主基国すきこく」の田んぼから収穫された特別な「稲」が奉納ほうのうされる形式になってるのも頷うなずけますよね。

国家・国民安寧あんねいの土台となる食

その中心的位置づけとして、象徴として「稲」が設定されていて、そうした伝統を、新嘗祭しんじょうさい、大嘗祭だいじょうさいは引き継いでいる訳です。

ちなみに、、、

「大嘗祭だいじょうさい」または「大嘗おおなえ」という言葉は、日本神話では出てきません。

神話に「代替だいがわり」なんて無いので、大嘗祭だいじょうさいのベースとなる「新嘗にいなえ」に関わる神話がメイン、なので、まずは新嘗祭しんじょうさいに関連する日本神話をチェックいただき、そのうえで大嘗祭だいじょうさいの起源神話をチェック。

まずは、新嘗祭しんじょうさい。

  • 五穀ごこく、特に稲の起源(そもそも論)
  • 稲が地上世界にもたらされた経緯

それぞれの「神話的出どころ、根拠」はコチラで↓

必読:新嘗祭とは?五穀豊穣を感謝し神と共食する「新嘗祭」。その起源は日本神話にあり!

そして、大嘗祭だいじょうさいの起源とされる神話についてですが、

むしろ、天皇が天照大神あまてらすおおかみや天神あまつかみをお祭りするようになった経緯、という方が正確で。

大嘗祭だいじょうさいも祭祀さいしであり、天照大神あまてらすおおかみや天神あまつかみをお祭りすることには変わりないので、ココでご紹介。

それが、

日本の建国神話である「神武じんむ東征とうせい神話」。

必読:神武東征神話を丸ごと解説!ルートと地図でたどる日本最古の英雄譚。シリーズ形式で分かりやすくまとめ!

この壮大な神話の最後の箇所、
東征とうせいを果たし、日本を建国、初代天皇として即位そくいしたところで、神武じんむ天皇がこれまでのことを振り返って総括そうかつするシーンがあります。

そこで東征とうせいの途上でいただいた神助しんじょ(天照あまてらすの救援、天神あまつかみの支援)に対する孝行こうこうを宣言し実行します。

四年春月の二十二日、(天皇は)勅みことのりして仰せられた。「我が皇祖の御霊みたまが天から降くだりご覧になって、我が身を照らし助けてくださった。今、すでに諸々の賊を平定し、天下は何事もなく統治されている。そこで天神あまつかみを郊祀まつって、大孝たいこうの志を申しあげよう。」そこで、斎場(靈畤まつりのにわ)を鳥見山とみのやまに設けて、その地を名付けて上小野うえつおのの榛原はりはら・下小野したつおのの榛原はりはらといい、もって皇祖である天神を祭られた。 (『日本書紀』巻三〔神代紀〕より一部抜粋)

日本神話版御恩ごおんと奉公ほうこう。。。

「我が皇祖の御霊みたまが天から降くだりご覧になって、我が身を照らし助けてくださった。」とは、東征とうせい過程でのこれら神助しんじょたち。

天神あまつかみそのものではありませんが、こちらも天の支援ということで。

『日本書紀』神武紀

日本の建国は、神武じんむ天皇というリーダー一人のチカラで成し遂げられた訳じゃない。そこには、優秀な部下の貢献や、天照あまてらすや天神あまつかみの支援があって。皆様の貢献や支援をいただいてようやく建国を果たすことができました。ありがとう。

で、

「そこで天神あまつかみを郊祀まつって、大孝たいこうの志を申しあげよう。」(天神あまつかみを郊祀こうしし、用もちて大孝たいこうを申もうすべし。(原文:可以郊祀天神、用申大孝者也。)とは、

「郊祀こうし=郊外で天を祭る儀礼ぎれい」による「大孝たいこう(最大の孝行こうこう)」の実践。

『日本書紀』 巻第三(神武紀)

具体的には、

靈畤まつりのにわを鳥見山とみのやまに立てて天神あまつかみを祭る

というもの。

靈畤まつりのにわとは、斎場ゆにわのこと。鳥見山とみのやまに、お祭り用の祭壇を立て皇祖である天神あまつかみを祀った。

コレが大嘗祭だいじょうさいの起源とされてます。実際、奈良なら県桜井さくらい市には「鳥見山とみやま」があり「等彌神社とみじんじゃ」があり、そのことが謳うたわれてる。

必読:等彌(とみ)神社|大嘗祭発祥の地!鳥見山霊畤を背後に鎮座する等彌神社は日本神話的超絶パワースポット!

ポイントは、この祭祀さいしが

「恩おん」に対する「孝こう」としてお祭りした

という事。「孝こう」とは親孝行こうこうの「孝こう」。

これはまさに、

「即位そくいした天皇のありかた」を物語っている

て事であって。

神武じんむ天皇が即位そくいし孝こうを実践したように、即位そくいにあたっては新嘗にいなえ、あらため大嘗おおなえの場で、五穀豊穣ごこくほうじょう、国民国家の安寧あんねいとあわせて、皇祖である天神あまつかみへのお祭りを実践する、という形。

天皇が祭祀さいしを継承けいしょうしている根拠がココにあり。

激しく重要事項であります。

 

ということで、

大嘗祭だいじょうさいに関する、文献的に追いかけられる神話関連のお話は以上です。

簡単にまとめておくと、

  • 天上世界で確立した、植え→育て→実り→お祭りする、というサイクルをもとに、地上世界でも同じ事を行っている。何なら、宮中きゅうちゅうでは今も受け継がれていて、天皇自みずから田んぼを営んでいる。
  • 地上世界にもたらされた稲は、元を辿たどれば天照大神あまてらすおおかみの「斎庭ゆにわの穂ほ」に由来。神聖な稲、人民の食となり、人民を活かす食べ物。
  • こうした「稲」への格別な想いや信仰しんこうは、日本の美称である「豊葦原千五百秋瑞穂之地とよあしはらのちいほあきのみずほのち」や「秋津洲あきづしま」といった言葉に表れている。
  • 大嘗祭だいじょうさいでの祭祀さいし、もっと言うと、天皇が祭祀さいしを行う理由は、建国の過程における「神助しんじょ(恩おん)」に対する「孝こう」の実践として。以後現代まで継承けいしょうされている超重要事項であります。

以上の4点、是非チェックされてください。

最後に、おまけとして、、、って、まだあるの?これで最後だから!

 

③天皇の宮中きゅうちゅう祭祀さいしに関連する日本神話

御代替みよがわり儀礼ぎれいでちょいちょい登場する「宮中三殿きゅうちゅうさんでん」という言葉。節目節目で、天皇皇后は「宮中三殿きゅうちゅうさんでん」への奉告ほうこくや祭祀さいしを欠かしません。

これ、なんで?

というお話。これもまた、日本神話に根拠あり!

まず、宮中三殿きゅうちゅうさんでんって何?

てところを簡単に。

「宮中三殿きゅうちゅうさんでん」とは、皇居こうきょにある、「賢所かしこどころ」「皇霊殿こうれいでん」「神殿しんでん」の3つの殿舎でんしゃの総称。現在は、吹上御苑ふきあげぎょえんの東南にあります。

賢所かしこどころ:皇祖神こうそしん「天照大神あまてらすおおかみ」を祀まつる殿舎でんしゃ。天照あまてらすの御霊代みたましろである神鏡しんきょうが奉斎ほうさいされてます。(八咫鏡やたのかがみの複製、実物は伊勢神宮いせじんぐうの内宮ないくうに)

皇霊殿こうれいでん:歴代天皇および皇族の霊を祀まつる。明治めいじ以降に創建されたもの。

神殿しんでん:天神地祇てんじんちぎを祀まつる。こちらも明治めいじ以降のお話。

で、

日本神話的に直接つながるのは「賢所かしこどころ」。天照あまてらすの御霊代みたましろである神鏡しんきょうを祀まつってる点。

コレ、天照大神あまてらすの神勅しんちょくによるものだったりします。これまた天孫降臨てんそんこうりん伝承から。

 この時、天照大神は御手に宝鏡たからのかがみを持ち、それを天忍穂耳尊あまのおしほみみのみことに授けて祝福して、「我が御子みこよ、この宝鏡たからのかがみをご覧になることは、私を見るのと同じに考えよ。この鏡と床とを同じくし、殿を同じくして、お祭り申し上げる鏡とせよ」と仰せられた。 (『日本書紀』神代下第九段・一書第二)

※実際は、このあと天から降臨するときになって、忍穂耳尊おしほみみのみことの子、火瓊瓊杵尊ほのににぎのみことが生まれます。これにより、忍穂耳尊おしほみみのみことに代わって火瓊瓊杵尊ほのににぎのみことが降臨する展開に。

コレ、神話界隈では有名な

「天照大神あまてらすおおかみによる宝鏡ほうきょう授与および同床斎祀どうしょうさいしの神勅しんちょく」と呼ばれるものです。

要は、

降臨こうりんするに際して、天照大神あまてらすおおかみが直々に勅ちょくを下し、宝鏡ほうきょうを授さずけて、この鏡を見るときには私(天照あまてらす)を視るようにせよ、そして、寝る場所、住む場所を同じにして、いつもお祭りせよと。仰った訳です。

これを根拠として、現代では賢所かしこどころで、天照あまてらすの御霊代みたましろである神鏡しんきょうを奉斎ほうさいしているという次第。

あわせてチェックされてください。

ということで、御代替みよがわりにおける日本神話との関連でした。

改めて、神話から続く歴史と伝統を今に引き継いでいる日本ってスゴイ。ホント。奥ゆかしさ度合がヤバい。。

最後の最後に、これまでの内容を総括そうかつ。

御代替みよがわりにおける、日本神話との関連とその意義について。

一言で言うと、

即位そくいと神話は相即不離。即位そくいなくして神話なし、神話なくして即位そくいなし。

って感じです。

御代替みよがわりに伴う一連の諸儀礼しょぎれい、行事は日本神話を根拠とします。天照大神あまてらすおおかみを中心とする神話、ならびにその事蹟じせきに関連づけ、その位くらいに即つく者(皇太子こうたいし、後嗣こうし)を天照大神あまてらすおおかみをはじめ神神やその世界につなげ、神聖化、権威化、正統化をはかった。

単なる歴史書としてではなく、神話は即位そくいを根拠づけ、その由縁、起源伝承として成り立ちます。そういう側面があるってこと。

この世界の統治者とうちしゃ(葦原中国あしはらのなかつくにの主、王きみ)を誕生させるものがたり、そこに、即位そくい儀礼ぎれいが神話に要請したつながりの本質があるんですね。

ただ、、個人的には、そういったことに対して政治的にどうのというより、古代こだい日本人の構想力とか想像性の豊かさ、みたいなところに光をあて、そこから学びをいただくのがいいと思います。

 

まとめ

「御代替みよがわわり」とは、天皇の代が替わること。

天皇が、日本という国や、国の統治者とうちしゃとしての地位を受け継ぎ、その天皇としての地位にある期間のことを「代」といい、その「代」が替わる、から「御代替みよがわり」。

もう少しかみ砕いて言うと、

受け継いできた天皇としての地位を、その時間を、次の天皇へ渡してつないでいくこと。

今でこそ、

皇位こういを継承けいしょうするための「儀式」みたいなイメージがありますが、

その一番重要なテーマは

「正統性」と「継承けいしょう」にあり。

皇位こういに相応ふさわしい人に渡してつないでいく。

天皇家の場合、それを日本神話から、つまり、神の時代の出来事とつなげ、組み立てることで、誰もが納得するような仕組みを創り上げてきた経緯あり。コレ、世界オンリーワン。圧倒的。

背景としては、天皇中心の国家体制づくりがあって、

儀礼ぎれいの原型づくりと合わせて、律令りつりょう(法律)の中にも根拠が埋め込まれ、さらに歴史書の中にも神話としての埋め込みがされていった経緯あり。

即位そくい儀礼ぎれい、律令りつりょう整備、歴史書編纂へんさん

この3つのプロジェクトを関連させながら、国の仕組みとして形づくっていった訳です。

古代こだい日本人の構想力とか想像性の豊かさが、ほんとスゴい。

実際、継承けいしょうするためには、いろんな事が必要になってくる訳で。

私たちも、例えば、家を受け継ぐ、といった場合には、

  • 受け継ぐ正統性を示さないといけません、
  • 受け継ぐモノを特定しないといけません、
  • 受け継ぐ背景や歴史、理由を明確にしないといけません、

などなど、、

実は、自分たちにも身近な話でもあって、

天皇家では、国とつながってるので大事おおごとになってますが、そもそもは、家とか、家督かとくとか、そういったものをどうやって継承けいしょうしていくか、という話で。

日本という国ではこうしてるけど、自分たちはこうしてる、といった感じで自分に引きつけて考えてみると、「御代替みよがわり」という壮大な継承けいしょう儀式が身近に感じられると思います。

 

 

参考文献

訓讀註釋儀式践祚大嘗祭儀(皇學館大学神道研究所編、思文閣出版)、日本古代即位儀礼史の研究(加茂正典、思文閣出版)、大嘗祭の研究(皇學館大学神道研究所編、皇學館大学出版部)、大禮と朝儀 付有職故実に関する講話(出雲路通次郎、臨川書店)、日本の祭祀(祭祀学会編、星野輝興先生遺著刊行会)、平安朝儀式書成立史の研究(所功、国書刊行会)、復刻版 卽位禮と大嘗祭(三浦周行、神社新報社)、律令制祭祀論考(菊地康明編、塙書房)、古代祭祀の史的研究(岡田精司、塙書房)、古代伝承と宮廷祭祀(松前健、塙書房)、続大嘗祭の研究(皇學館大学神道研究所編、皇學館大学出版部)、古事記研究(大嘗祭の構造)(西郷信綱、未来社)、記紀神話と王権の祭り(水林彪、岩波書店)

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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