ストレス解消に日本神話が効果的!?神レベルのストレス解消法「言興」

 

日本の原点「日本神話」から学ぼう!

「ストレス社会に生きている」と言われる私たち。

普通に生活をしていても、ストレスを感じない日はありませんよね。ストレスは、どうしても溜まってしまうもの。

「ストレスを溜めてしまう」とは「良くない気を溜めてしまう」のと同じ。神話の世界では、それは「穢れ(けがれ)」の一種として扱われます。

けがれ」は祓う必要があるのですが、何かと忙しい私たちに、わざわざ神社に行ってお祓いをしてもらう余裕はありません。

できればこの場でなんとかしたいというのが正直なところ。

であれば、お祓いをしてくれる神社がお祭りしている神様たちから「直接」学びましょう。題材は「日本神話」を活用します。

実は「日本神話」はいろいろなことを教えてくれます。

本エントリで紹介する方法を実践すれば、きっとストレスは解消されていくはず。なぜなら、神話の神様たちが実践している事だから。それって既に神レベル。

以下、実際の事例を通して、その効果と解消法をご紹介していきます♪

題して「神レベルのストレス解消法」。今回は「言興(ことあげ)」を取り上げます。

 

ストレス解消に日本神話が効果的!? 神レベルのストレス解消法

効果事例1.伊奘諾尊が行った言興

『日本書紀』第五段 一書第六 より。

事例として取り上げる神様は「伊奘諾尊(いさなのみこと♂)」です。

伊奘諾尊いざなきのみことが「言興ことあげ」を行うまでの経緯を先に。しばしお付き合いください。

伊奘諾尊いざなきのみことは、火神を生んで死去した伊奘冉尊いざなみのみことを追って黄泉よみの国へ行きますが、大人の事情により絶縁。この世界に帰還します。

②黄泉の国で穢れまくってしまった伊奘諾尊いざなきのみことは、穢れを祓い去るため、筑紫の日向の「橘の樟原たちばなのあはぎはら」で身を濯ぎます。

つまり、最愛の妻との「絶縁」、さらに「死の穢れの付着」という強いストレスを抱えたわけです。

 

ここで伊奘諾尊いざなきのみことが取った行動が、「言興ことあげ(ことあげ)」です。

私たち人間レベルで言うと、

「お風呂入って綺麗にしよ、でもお風呂入る前に言興ことあげしとこ」という感じでしょうか。

 ※ちなみに、お風呂はダメです。お風呂は、水が溜まってしまっているのでダメ。穢れは祓いきれません。ご注意を。ここでは体を綺麗にする感覚を言いたいだけです。詳しくは別の機会に。

言興ことあげして曰はく「上瀬は是れはなはだ疾し。下瀬は是れはなはだ弱し」とのたまひ、すなはち中瀬に濯ぎたまふ。

訳:言興ことあげして、「上の瀬はながれがとても速い。下の瀬は流れがとてもゆるい」と仰せられ、そこで中の瀬ですすがれた。

そこで9柱の神様を生みます。

世の中に災厄をもたらす神神と、その災厄をなおす神神。さらに、「住吉大神」。最後に「天照大神」、「月読尊」「素戔嗚尊」です。

ここでのポイントは、

言興ことあげをして、すすいで、神様を生んだ」というところ。

特に、高天原を統治する天照大神を生んだのは重要です。後程ふれます。

 

効果事例2.大己貴神が行った言興

『日本書紀』第八段 一書第六 より

2つ目の事例として取り上げる神様は、「大己貴神おおあなむちのかみ」です。

同様に、大己貴神おおあなむちのかみ言興ことあげを行うまでの経緯を先に。

①始め、大己貴神おおあなむちのかみ(大国主命)は少彦名命と協力して国造りをしていました。

②ところが、少彦名命は常世の国へ行ってしまい、以後、大己貴神おおあなむちのかみは自力で国造りを進めることに。

つまり、国造りの協力者を失うという強いストレスを抱えたわけです。

 

ここで大己貴神おおあなむちのかみが取った行動が、おなじく「言興ことあげ(ことあげ)」です。

言興ことあげして、「~中略~ 今この国を理むるは、唯吾一身のみなり。其れ吾と共に天下を理むべき者、蓋し有りや」とのたまふ。

訳:言興ことあげをして、「今、この国を統治するのは私一人だ。いったい私と一緒に天下を治める者がいるだろうか?」とおっしゃった。

すると、神々しい光が海を照らし浮いてくる神様が登場。

これこそまさに、大己貴神おおあなむちのかみの魂であり、大物主神です。奈良県にある大神神社で有名ですね。

ここでのポイントは、

言興ことあげをして、自分の魂を見出した」というところ。

自分の「魂」こそが協力者であり、決して一人ではない事を悟ります。

見事にストレスが解消されています。

 

言興ことあげ」とは「言葉を興すこと」

日本神話をもとに、2つの事例を見てきました。

伊奘諾尊いざなきのみことは神々を生みましたし、大己貴神おおあなむちのかみは自分の魂(大三輪神)を見出しましたね

ここで、「言興」を定義してみましょう。

「言興」とは、その言葉通り「言葉をおこすこと」

つまり、「自分の考えや意志などを明確に言葉に出して、声を大きくして言い立てること」です。

ポイントは2つ。

①「言興ことあげ」とは、そもそも「言霊ことだま」に基づいた呪術行為です

言霊ことだまとは、言葉に内在する霊力の事。言葉にするとそれが現実になる、あるいは、言葉にすることで何かしらの「力」を持つようになる、という事です。何かしらの「力」とは、良い結果を導く力と悪い結果を導く力、両方含まれます。

それは何が「決めて」になるかというと、自分の精神状態です。気持ち的に前向きで何かを求めている中であればそれは良い結果を導く力として働きます。ところが、気持ち的に後ろ向きで不平・不満しかない場合は悪い結果を導きます。

②「言興」とは、あくまで、「(理性的に)言い立てる事」であって、「(感情的に)言いまくる事」ではありません

伊奘諾尊も大己貴神も感情に任せて言興を行ったわけではありません。言いまくることは決して言興にはならないので、注意してください。

以上が、実際の事例をもとにした、「神様的ストレスが溜まってしまったときに行う祓いの儀式」です。

これにより、

それまで溜まっていたストレスが解消され、伊奘諾尊は神々を生みましたし、大己貴神は自分の魂(大三輪神)を見出したのです。

言興により、新しい何かを生んだり、発見したりする

とても効果のある解消法なのです。

一般的にはストレスは解消して終わりのようですが、神話的解消法はそうではありません。

神様たちは、そこから何か新しい特別なものを生み出しています。ここがとても重要なポイントです。

 

「言興」の具体的な実践方法

では、具体的にどうすればいいのかを説明していきます。

理想は、上記2つの事例の通り、どこか広い場所で大声で行う事ですが、それが難しい場合はノートに書きだす方法でも大丈夫です。

いずれにしても大切なのは、

①言霊の力を信じる事。自分の言葉が何かしらの力を持つことを理解しましょう。

これは本当の話です。例えば、身近な例でいうと、私たちの「名前」です。名前も言霊であり、私たちの意識や行動、人生に大きな影響を与えています。

②自分の言葉に自覚的になる事。その言葉を発する自分の感情や精神状態を確認しましょう。

プラスの状態にあるかどうか、ポイントはココです。

もしかすると、現時点で感情や精神状態はマイナスかもしれません。それはそれで大丈夫です。上記①②をまず認識してもらうことだけでも一歩踏み出していると言えるのですから。

実際にやってみる事で少しずつ変わっていくこともよくあります。

 

広い場所で行う場合

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できる限り大きな声で、ストレスの中身や自分の感じている事、あるいは自分が抱え込んでいる事を言葉にして発してください。大きな声で行いましょう。

繰り返しになりますが、言いまくる訳ではないので、あくまで自分の気持ちや感情を冷静に見つめながら、大きな声で言い立ててください。

 

大きな声を出せない場合

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ノートに書き込んでいきましょう。内容は上記と同じです。自分の気持ちや感情を冷静に見つめながら、ストレスの中身を書きだしていきましょう。とにかく全部出し切ることが重要です。

 

最終的に目指すこと

神様の事例とおり、言興により自分の本当の気持ちに気づいたり、整理されることがゴールです。

あるいは、新しい何か、例えば本当にやりたい事を発見したりする事です。

一回で終わらない、または、言興の効果が一回で現れない場合もあります。

神様であれば1回で完結できるかもしれませんが、私たち人間は1回で終わるのはむしろラッキーなことかもしれません。

かく言う私自身も、3回目でようやく 新しい何かを生み出す・発見する境地にたどり着きました。友人は、10回以上行って見つけたという人もいます。人それぞれです。焦らずに進めてください。

 

ぜひ、一度試してみてくださいね。

日本神話で登場する神様の知恵を借りて皆さんのストレスが解消される事を祈ってます。

 

まとめ

神レベルのストレス解消法「言興」

 

日本神話をもとに、神レベルのストレス解消法「言興」をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

「ストレスを溜めてしまう」とは「良くない気を溜めてしまう」のと同じ。神話の世界では、それは「穢れ(けがれ)」の一種として扱われます。

けがれ」は祓う必要があり、「言興」は神様の時代から行われてきたストレス解消の方法です。

大切なのは、神様たちは、ストレスの解消のみならず、言興によって新しいもの(神様等)を生みだしています。

言興は言霊の力を借りて言い立てること。だからこそ、その言葉を使う自分の状態に自覚的になりましょう。

皆様のストレスが少しでも解消され、生活がちょっぴり前向きになれたらと思います。是非お試しくださいね。

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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