天地開闢。それは混沌としていたが、事象が芽生えようとする兆しを含んでいた。|日本神話が伝える天地開闢 No.2

 

日本の正史である『日本書紀』をもとに、

日本神話が伝えるメッセージを読み解きます。

 第2回目は「天地開闢(てんちかいびゃく)」の続き。『日本書紀』第一段の内容を、複数回に分けてお届けしています。

 

天地開闢。それは混沌としていたが、事象が芽生えようとする兆しを含んでいた。

の続き。

渾沌こんとんにして鶏子とりのこの如く、溟涬めいけいにしてきざしを含めり。

意味

・「渾沌」は「混沌」と同じ意味で、物の未分化な状態の意。

・「溟」「涬」は同義。大河の水の奥深い意から、ほの暗く物の区別ができない様。

・「牙」は「芽」と同じで「兆し」の意。

訳出:

「その様子は混沌こんとんとして、まるでとりの卵のようであり、ほの暗くぼんやりとして、事象が芽生えようとする兆しを内に含んでいた。」

コチラ、古代日本人による「天地開闢」の表現に、彼らの想像力、その感性が表れてます。「鶏子とりのこ=鶏の卵」に例えているのがオモシロいですね。

注目は、その「状態」です。

「混沌としている、けれど事象が芽生えようとする「兆し」を内に含んでいる。」

と表現している所。

つまり、

単に混沌としている訳ではなく、予定されているもの、「兆し」があるということ

 

理科の話。

受精卵も同様で、一見ただの卵ですが、

実は、中では「どの部分が、将来  頭になる、翅になる・・」など、「分化」する部分が決まっている、つまりプログラムされているという事でした。

卵

▲卵にライトを当ててみた

懐かしすぎて、、、((((;゚Д゚)))ガクブル

今でこそ、科学の力で明らかになってきたことを、天地開闢の表現として使用していることは注目に値すると言えますね。

追って説明していきますが、

この「兆したところ」から天と地に展開していく、という流れになります。

そして最初の神様である「国常立尊(くにのとこたちのみこと)」が化成するところへ続きます。

 

渾沌こんとんにして鶏子とりのこの如く、溟涬めいけいにしてきざしを含めり。」

「混沌にして鶏子(とりのこ)のごとく、溟涬(めいけい)にして牙(きざし)を含めり。」

是非、覚えておきたい言葉ですし、イメージですね。

 

まとめ

「渾沌にして鶏子の如く、溟涬にして牙を含めり。」

  • 日本神話では、天地開闢の状態を卵に例えて表現しています。
  • 混沌としているけれど、その中に様々な事象が発生する兆しを持っている状態。
  • この兆しから、天と地に分かれ、神様が生まれていく流れを組んでいます。

 

続きはコチラ!

『日本書紀』天地開闢まとめはコチラ!

『日本書紀』第一段

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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