「外宮(豊受大神宮)」は三重県伊勢市にある神社。
ココ、天照大御神のお食事を司る御饌都神である「豊受大御神」をお祭りしております。
今から約1500年以上も昔から、伊勢神宮「天照大神」の他、別宮の神々に食事を供えるお祭りが続けられているという、激しく奥ゆかしい神社です。
外宮境内は、深い森に覆われていて神秘的な空気が漂っています。
今回は、伊勢神宮の台所的神社「外宮」を、日本神話的マメ知識とあわせてご紹介します。
外宮(豊受大神宮)|伊勢神宮の台所!天照大神の食事を司る豊受大御神は衣食住や産業の守り神としても篤い崇敬をあつめています(実は丹波国出身)。
目次
外宮(豊受大神宮)の参拝方法6つのポイント
外宮(豊受大神宮)参拝にあたっては、外宮→内宮で参拝するのが良しとされていて、実は順番があったりします。
これ、神宮での祭典がベースになっていて。神宮祭典は「外宮先祭」と言われ、まず外宮で祭儀が行われる「ならわし」。祭典の順序にならい、参拝も外宮から内宮の順にお参りする順番という訳です。
①順番は、外宮から内宮へ参拝する
参拝は内宮とセットで、外宮から参拝。どっちかだけだと「片詣り」と言われあんまりよろしくないとされてます。。
②外宮は左側通行。真ん中は神様の通り道。
内宮は右側通行です。いずれも、真ん中は神様の通り道とされるので避けましょう。
③外宮鳥居の前では一礼を。
外宮神域に入る手前に最初の鳥居があります。入る時、出るときいずれも一礼します。
④まずは正宮にお詣り。その後、別宮をめぐる。
外宮の祭神である豊受大御神が祀られている御正宮から先に。他の3つの宮は正宮参拝のあとで。
⑤御正宮では報告と感謝を。
正宮では今までの事を報告し、感謝の念を届けます。個人的なお願いや祈りは「第一の別宮」である「多賀宮」でしましょう。
⑥「二拝、二拍手、一拝」
二拝は、最敬礼を二回。最敬礼なので深めの礼を。二拍手は手を二度打つこと。最後に一拝で最敬礼で締めます。
これだけ押さえておけば大丈夫!
ま、あんまり形にとらわれる必要もなく、、、やはり気持ちが大事だとは思います。が、ひとつひとつの作法には意味があるわけで、これはこれで大事にするのもよろしいかと。
また、御正宮では報告と感謝とし、個人的なお願いは「第一の別宮」で、とされてますが、コレ、第一別宮にはご祭神の荒御魂が祀られているから。
「荒御魂」とは、神様の魂のことで、格別なご神威を現すマインドと表出(あるいは働き)のことを言います。なので、お願いごとをする際には、格別なご神威を現される方でしたほうが成就する確率が上がるという次第。
個人的には「感謝先行・利益後続」の優先順位はどんな場面でも大事だ、と思ったりします。
いずれにしても、上記6つのポイントを押さえておけば大丈夫!あとは気持ちですね。
外宮(豊受大神宮)の場所
外宮は伊勢市の中心部、高倉山を背にして鎮座。
JRと近鉄の伊勢市駅の、JR側の出口から徒歩10分程度。
「外宮前」バス停で降りるバス利用もありますが、伊勢市駅から歩いていける距離なのでお時間があれば散策かねて是非。
外宮へ向かう途中、右手には月夜見宮もありますので、こちらチェックされてください。
▲地図右手。外宮駐車場がある北御門(裏参道入り口)から、方角的には北へ「神路通り」と呼ばれる細い道が月夜見宮まで続いています。
▲「神路通り」ビュー。この道は、神様=月夜見尊が外宮へ通う道とされ、真中を歩くことなどを遠慮する習慣があったりします。多分、外宮にご飯を食べに行くのダロウ。是非チェックされてください。
さて、
外宮(豊受大神宮)について。
コチラ、伊勢神宮系列の中心的な宮として位置づけられております。
伊勢神宮というと、1つの神社というイメージがあるかと思いますが、実はそうではありません。
実は、「本社」である「皇大神宮(内宮)」と「豊受大神宮(外宮)」の2つの「正宮」を中心として、14か所の別宮、109か所の摂社・末社・所管社、計125の宮社の総称です。
スゴイですよね。125社もある神宮系列の総称が「伊勢神宮」だったなんて。
ココ外宮は、その中でも、2つしかない正宮の一つとして位置づけられている超重要な神社です。
主な社殿は、御正宮、多賀宮、土宮、風宮の4つの宮。そして、神楽殿とか勾玉池とかが見どころでしょうか。
樹齢数百年の楠を始め、深い木々に囲まれた神域は、市街地と思えない静かで穏やかな佇まいです。
▲こちら、駐車場から最寄りの「北御門」入口のビュー。左側通行で参りましょう。橋を渡れば御神域であります。
昔は、こちらが正面口でした。
明治時代に伊勢市駅ができたことで、現在の表参道が正面口になった経緯があります。
外宮(豊受大神宮)の創建経緯
雄略天皇代(西暦450年前後との説)、天照大御神が天皇の夢に現れてお告げをしたところから。曰はく、
一所にのみ坐せば甚苦し。大御饌も安く聞食ささず坐すが故に、丹波国の比治の真名井に坐す我が御饌都神、等由気大神を、我許もが。。。(『止由気宮儀式帳』より)
との事で、、
要は、一か所にいると息苦しい、ご飯も十分食べれてないから、丹波の国の料理上手な神を呼んでくれ、と。天照大御神はグルメだったんでしょう。
夢から覚めた雄略は、等由気大神を丹波国から呼んで、山田原(現在の伊勢市より広い地域の名前)に宮を建て、祭祀を始めたそうです。
2点。
ココで登場する「等由気大神」は、食物の神である「登由宇氣神」「豊受大神」と同じ神とみなされています。
「登由宇氣神」自体は『古事記』の天孫降臨で登場。「次に登由宇氣神、此は外宮の度相に坐す神である。」と伝え、神代で外宮のご祭神として伝えられてる次第。
そして、この神が丹波から迎えられた理由について。
実は、丹波・丹後地方(京都府の北部、日本海に面した一帯)は、豊受大神を祀る神社が多く、豊受信仰が盛んであった地域とされてるんです。
例えば、外宮へ遷座したと伝える「比治の真名井」は、現在の「比治麻奈為神社(比沼麻奈為神社)」であり、丹波・丹後地方の中心である丹波郡に鎮座しています。
また、
- 『摂津国風土記』逸文は、稲椋山を炊事場としていた豊宇可乃売神が、後に、丹波国の比遅の麻奈韋に遷ったと伝えている
- 『丹後国風土記』逸文は、竹野郡の奈具神社の祭神、豊宇加能売命が、元は比治の麻奈井に降ってきた天女であったと伝えている
などなど、
いずれも、丹後地方は、豊受大神の信仰が盛んで、なんなら、4世紀前後の大和政権が丹後地方の政治集団と強い結びつきを持っていたことにより、雄略天皇代(西暦450年前後との説)の伝承に登場した経緯があるようです。ま、このあたり、歴史と神話と民間伝承がさまざまに交錯する超絶ロマン地帯ということで、、、ま、それはさておき、特に重要なのは、
これを契機に「日別朝夕大御饌祭」が創祀されたこと。
このお祭りは、朝と夕の二度、天照大御神や別宮の神々に食事を供えること。台所を司る料理番として、連綿と続けられているという訳です。ここ外宮的に激しく重要なのでしっかりチェック。
▲こちら、伊勢神宮公式より。激しく奥ゆかしい世界です。
外宮(豊受大神宮)の境内
ココからは、外宮(豊受大神宮)の境内の様子をご紹介。
▲外宮「御厩」。神様の乗り物とされる神馬がいる場所です。
神馬は、毎月1日、11日、21日の8時頃に正宮にお参りするそうです。先ほどの、月夜見宮とのつながりから、月夜見宮からやってきた月夜見尊も、ここで馬を降りるのかもしれませんね。
▲外宮の御神域に入るとぐっと深い木々に囲まれ、別世界のような空気に包まれます。とても静謐な風。
▲写真右手、右に入る道がありますが、この先が外宮「忌火屋殿」です。
神に供える「大御饌」をはじめ、もろもろの祭典の朝夕の神饌を御調理する「台所」。特別におこした清浄な火である「忌火」を使うので忌火屋殿と呼ばれてます。
ある意味、外宮の中心的施設!
写真撮り忘れました(涙)が、ココは外宮必須のチェックポイントとして押さえておいてください。
忌火屋殿の前庭は、「祓所」とよばれ、祭典の前に神饌と神職を祓い清めます。ココ、外宮では、「火」が清めとして使われている訳で。これは結構重要なポイントですよね。
「忌火」は、こんなところ☟でも使われます。
外宮=伊勢神宮の台所的神社ですから!
台所で使う「火」は超重要ということで。
さて、
奥を右手に曲がると、御正宮が見えてきます。
▲広大な御正宮の敷地。伊勢神宮(内宮)と同じく、式年遷宮が行われていますので、左右の敷地を定期的に引っ越しされる訳ですね。
▲外宮「古殿地」。元の社殿が建っていた場所であり、次の遷宮予定地。とにかく広い!中央には「心御柱」を納めるための覆屋が見えます。
「心御柱」とは、正宮中央の床下の柱のこと。神聖なものとされてるので、覆屋でお守りしている次第。
深い木々と抜けるような空間がとても神聖な雰囲気を醸し出しています。
すぐ左手が現在の外宮社殿です。
▲「古殿地」の目の前にある「三ツ石」三個の石を重ねた石積み。この前では、現・「古殿地」を正面に、御装束神宝や式年遷宮の川原大祓(奉仕員を祓い清める儀式)が行われます。
御正宮
御祭神:豊受大御神
衣食住、産業の守り神として信仰を集めています。
正面の白い布は、 絹でできた純白のとばり。建築様式は、「唯一神明造」という日本古来の様式。コレ、檜の素木を用いて「高床式の穀倉」の形式から発展したものといわれてます。流石、こういうところまで台所推しな訳ですね。
以下、その他のメインの3つの宮もご紹介。
多賀宮
「多賀宮」は、伊勢神宮系列の「別宮」の中で、最も格式が高いとされるお宮です。
約100段の石段を上った檜尾山の上にあります。
- ご祭神:豊受大御神の荒御魂
最初にご説明した通り、「荒御魂」とは、神様の魂のことで、格別なご神威を表すマインドと表出(あるいは働き)のことを言います。一方、穏やかなマインドと表出を「和御魂」と言います。
新しいことを始めるときにお参りするのが吉。
土宮
「土宮」は御正宮から多賀宮に向かう途中、右手にあります。
ご祭神:大土御祖神
古くから土地を守って来た神様です。堤防の守護神として平安時代に末社から「別宮」に昇格。
風宮
「風宮」は、土宮の正面反対側、御正宮から多賀宮に向かう途中、左手にあります。
ご祭神:級長津彦命と級長戸辺命
農作物を育むのに大事な、雨と風を司る神様を祭ります。
ちなみに、、、鎌倉時代の2度の元冦のときに「神風」を起こして日本を守ったとされる神様です。。。内宮にも同じ御祭神の「風日祈宮」あり。
以上、伊勢神宮のお料理番としてのご祭神を祭る宮と、ご祭神の荒御魂をまつる宮がセット。その他、土と風を祭る神社がある訳で。神様の料理を作るには土と風が欠かせない要素として位置づけられているのかもしれませんね。それはそれで素敵な世界観です。
おまけ!
▲樹齢何年になるのでしょうか。とても立派な木が至る所に。ほんと素敵な空気です。
まとめ
外宮(豊受大神宮)
三重県伊勢市にある神社。
ココ、天照大御神のお食事を司る御饌都神である、豊受大御神をお祭りしております。
今から約1500年以上も昔から、伊勢神宮の天照大神他、別宮の神々に食事を供えるお祭りが続けられているという、激しく奥ゆかしい神社。
個人的には、創建経緯がめっちゃオモシロい!天照大御神が天皇の夢に現れてお告げをした内容が、「一か所にいると息苦しい、ご飯も十分食べれてないから、丹波の国の料理上手な神を呼んでくれ、、、」というもの。多分、天照大御神は相当グルメだったんでしょうね。で、わざわざ丹波国から料理神を呼んだという経緯。サイコーです!
天照大御神の料理番ですので、内宮の祭儀に先だって料理番の神にお食事を奉るところから、「外宮先祭」という順番が作られたのも興味深いものがあります。そして、祭典の順序にならい、参拝も外宮から内宮の順にお参りするのがならわしになってる訳で。
伊勢ご参拝の際は必須の参拝スポットです。清々しい空気を是非堪能されてください。
外宮住所:三重県伊勢市豊川町279
アクセス:近鉄・JR伊勢市駅から徒歩約7分・近鉄宇治山田駅から徒歩10分
参拝時間: 1~4月5:00~18:00、5~8月5:00~19:00、9月5:00~18:00、10~12月5:00~17:00
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