月夜見宮(豊受大神宮別宮)|清々しさとシンプルさを兼ね備えた社殿が美しい!月夜見尊を祭る月夜見宮を日本神話とあわせてご紹介!

 

月夜見宮つきよみのみやは、三重県伊勢市にある神社。

ここは、日本神話を代表する神様である「天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊」のうちの一神、月夜見尊つきよみのみことを祭る神社です。

ポイントは2つで、

  • 日本神話において、天照大神の弟神的立ち位置の月夜見尊つきよみのみことを祭っていること。
  • 伊勢神宮の正宮である豊受大神宮とようけだいじんぐうの別宮として位置づけられていること。

境内は、樹齢数百年のくすのきを始め深い木々に囲まれた静謐な空間が広がっています。

今回は、日本神話における天照との関係が現在の伊勢神宮との関係とリンクしている要チェック神社をご紹介です。

 

月夜見宮(豊受大神宮別宮)|美しさとシンプルさを兼ね備えた社殿がステキ!天照大神の弟的立ち位置の月夜見尊を祭る神社

月夜見宮つきよみのみやのご祭神月夜見尊つくよみのみことはこんな神様。日本神話で伝える月夜見尊つくよみのみこと

まずは、当サイトならではの独自コンテンツ、ご祭神にまつわる日本神話をディープにご紹介。

月夜見宮つきよみのみやのご祭神「月夜見尊つくよみのみこと」を知ることで、参拝に奥行きや深みが出てきます。激しくオススメ。

日本神話は『日本書紀』や『古事記』に伝えてるのですが、『日本書紀』『古事記』では神名が若干違うところあり。まとめると以下。

『日本書紀』 月読尊つくよみのみこと
月夜見尊つくよみのみこと
・第五段〔一書6〕
・第五段〔一書11〕
『古事記』 月読命つくよみのみこと 上巻

『日本書紀』巻第一(神代上)第五段 一書第6 ~人間モデル神登場による新たな展開~

12/11/2020
『日本書紀』第五段一書11

『日本書紀』巻第一(神代上)第五段〔一書11〕 天照大神の天上統治と農業開始

01/11/2021
禊祓と三貴子誕生

『古事記』禊祓と三貴子誕生|原文と現代語訳、分かりやすい解説付き

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月夜見宮つきよみのみやのご祭神「月夜見尊つくよみのみこと」は、『日本書紀』神代上 第五段〔一書11〕に登場する次第。

ということで、以下、少々長いですが、最初の所から現代語訳を抽出します。

 『日本書紀』神代紀 第五段(一書の第十一)「月夜見尊」

ある書はこう伝えている。伊奘諾尊は、三柱みはしらの子それぞれに「天照大神は、高天原を治めよ。月夜見尊は、日と並んで天を治めよ。素戔嗚尊は、海原を治めよ。」と勅任した。

 こうしてすでに天照大神は天上にあり、月夜見尊に対して「葦原中国に保食神うけもちのかみがいると聞く。月夜見尊よ、そこに行き様子をうかがってきなさい。」と言った。

 月夜見尊がその勅命を受けて降り、保食神うけもちのかみのもとに到ると、保食神はさっそく首を巡めぐらし、国に向かえば口から飯を出し、また海に向かえば大小さまざまな魚を口から出し、また山に向かえば大小さまざま獣を口から出した。それらのありとあらゆる品物を備え、数え切れないほどたくさんの机に積み上げて饗応した。この時、月夜見尊は怒りをあらわにして、「なんと汚らわしい、卑しい。口から吐いた物なんかを、敢えて私に喰わせてよいはずはないだろう。」と言い、剣を抜いて打ち殺した。

 そうして後に復命して詳しくこの事を報告した。この時、天照大神は激怒し、「汝は悪い神だ。もう顔など見たくもない。」と言った。こうして、天照大神は月夜見尊と、日と夜と時を隔てて住んだ。

(引用:『日本書紀』巻第一(神代上)第五段〔一書11〕より)

『日本書紀』第五段一書11

『日本書紀』巻第一(神代上)第五段〔一書11〕 天照大神の天上統治と農業開始

01/11/2021

ということで。

 ポイントは、

  1. 伊奘諾尊が三貴子(天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊)に、統治領域を任命。
  2. この時点では、月夜見尊は、日(天照大神)と並んで天を治めていた。
  3. その後、天照大神の指令により、地上の様子を見に行った月夜見尊は、保食神うけもちのかみの対応に激怒。その場で打ち殺してしまう。。
  4. そんな月夜見尊に天照大神が激怒。「汝は悪い神だ。もう顔など見たくもない。」と言い、日と夜というかたちで時を隔てた。
  5. これにより、昼と夜が分かれた。昼夜の発生起源譚にもなってる。

ということで。

なんとも、、、日本らしいお話です。。?? ツッコミどころ満載の我らが「月夜見尊つくよみのみこと」。。

お姉ちゃんに行ってこいと言われて降りて行った地上で、口から吐き出した無礼にキレてぶち殺してしまった月夜見尊って、、、でもそれは確かに、天上の神(月夜見尊)と地上の神(保食神)では格が違う訳で、分からないこともない部分もあり、、、で、それはそれで報告したら、お姉ちゃんにめっちゃキレられて、距離を置かれるようになってしまった月夜見尊って、、、

いずれにしても、上記、5つのポイントは月夜見宮つきよみのみやを参拝される際にはしっかりチェック。

ちなみに、、このお姉ちゃんにキレられたことによる距離感は、月夜見宮つきよみのみやが、内宮ではなく、外宮の別宮扱いになっていることと関係があるのかもしれません。。距離感が。。もう一つの月読尊を祭る月読宮は内宮の別宮扱い。第五段一書六には、お姉ちゃんとの争いエピソードはありません。。

そんな想像も広がっていきます。

伊勢市には同じご祭神をまつる「月讀宮」があります。こちら別伝もご紹介しているので合わせてチェックされてください⇒「月讀宮(皇大神宮別宮)|簡素明澄にして清純な四宮が並列する独特なスタイル!厄除け、心身浄化、開運招福、安産・子授けご利益で信仰を集める宮では参拝順番にご注意を。

こちらもご参考に。

月読宮と月夜見宮

日本神話を知ると、神社に奥行きがでてきますよねー。

 

月夜見宮の創建経緯

月夜見宮

月夜見宮@伊勢市

日本神話をもとにご祭神誕生経緯をゲットしたところで、当社の創建経緯をチェックです。

詳細は不明。ただ、800年~900年ごろには、豊受宮の所管社の筆頭的立ち位置にありました。その後、後鳥羽天皇代(1183~98年)や、土御門つちみかど天皇代(1198~1210年)には、勅使派遣もあるなど、皇室の信仰を篤くあつめます。

で、この土御門代の、承元4年(1210年)に、別宮に加えられました。鎌倉時代のことですね。

尚、後ほどご紹介しますが、古くは正殿が2区あり、月夜見尊つきよみのみことと月夜見尊荒御魂あらみたまを別々の殿舎にお祭りしていたのですが、応永26年(1419年)の火事により月夜見宮つきよみのみや等が消失、その後、再興されるには至らず、現在も1つの殿舎に祭られております。

 

月夜見宮の場所

さて、日本神話と創建経緯をゲットしてモリモリになったところで、実際にリアルな現場をチェックです。

月夜見宮は、三重県伊勢市にあります。

ココは、その昔、大河原または西河原と呼ばれていて、農耕と深いつながりのある神社として信仰を集めてきたそうで。

農耕と深いつながりということで、

それは、もともと川の近くだったという立地もさることながら、神話ファンとしては、月夜見尊つきよみのみことが月=暦(昔は太陰暦)と関連する神であること、あるいは、後でご紹介する五穀誕生のきっかけを作った神であることが関係しているのかも、と思いたい。。。日本神話をゲットされた読者の皆さんもお分かりいただけるはず!

月夜見宮つきよみのみや自体は、伊勢神宮と深い関係にあるので、先に神宮系列の概要をご紹介。

伊勢神宮は、皇大神宮こうたいじんぐう内宮ないくう)」豊受大神宮とようけだいじんぐう外宮げくう)」の2つの「正宮しょうぐう」を中心として、14か所の別宮、109か所の摂社・末社・所管社、計125の宮社の総称。スゴイですよね。125社もある神宮系列ということで、、、

当社はその中でも、中心的な2つの正宮しょうぐうの一つ豊受大神宮とようけだいじんぐう(外宮)」の「別宮べつぐう

「別宮」とは、正宮(本宮)に次ぐ重要なお宮のこと。

古くは、天皇の勅書ちょくしょによって「宮号きゅうごう」を宣下された神社だけが「宮」の名前を持つことができました。現在も、年間行事や式年遷宮は正宮に準じて行われているという次第。

結構重要な神社ですね。

伊勢神宮近辺には重要な神社が点在しているので、神宮参拝の際には是非チェックしていただければと思います。

 

月夜見宮

▲JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」から徒歩約10~15分ほどで到着。

 

外宮との関係が重要で。外宮の北御門(裏参道入り口)から北へ「神路かみじ通り」と呼ばれる細い道を300m程の位置。

月夜見宮への道

▲「神路かみじ通り」は「神様が通う道」とされ、月夜見尊つきよみのみことが外宮の神様(豊受大神)のもとへ行くときに通る道。

夜、月夜見尊つきよみのみことは宮の石垣の一つに杖をあてて白馬に変え、その馬に乗って外宮へ行かれるそうです。

なので、夜、この道を通る人は神様に出逢わないよう畏れつつしみ、道の真ん中を歩くことを避けたとのこと。現在でも、真ん中は通らないように端を歩いていく風習あり。

 

月夜見宮の境内

月夜見宮

▲境内入口。朝参拝させていただきましたが、神職さんが掃き清めてらっしゃいました。

 

月夜見宮

 

小道を抜けると、、、

月夜見宮

キタ━(゚∀゚)━! 月夜見宮つきよみのみや! 美しい!そしてシンプル! この無駄がない感じ、とてもいいですね。

 

月夜見宮

▲左手が一区画空いておりますが、ここが次の式年遷宮のときに社殿が建つ場所です。

 

月夜見宮

月夜見宮

ご祭神:

  • 月夜見尊つきよみのみこと
  • 月夜見尊荒御魂つきよみのみことのあらみたま

荒御魂あらみたま」とは、神様の魂のことで、穏やかなマインドと表出を「和御魂にぎみたま」というのに対し、格別なご神威を表すマインドと表出(あるいは働き)のことを言います。

参考として、月夜見宮つきよみのみやは、上記ご祭神を一つの社殿にお祭りしていますが、同じく、伊勢市にある「月読宮つきよみのみや」では月読尊と荒御魂をそれぞれ別の社殿にお祀りしています。

 

お稲荷さん

月夜見宮

月夜見宮つきよみのみやの左奥にいらっしゃいます。落雷によって折れたという楠。支え木が懸命に支えてる感じです。

 

月夜見宮

大木のうろの部分、焼け焦げてますが、これは落雷ではなく焼夷弾により焼かれたことが原因とのこと。

 

高河原神社

月夜見宮

月夜見宮つきよみのみやの右奥に鎮座する外宮の摂社。

 

月夜見宮

境内の三方を取り囲む堀は「宮川」の支流の名残とのことで、川の岸段の上あたり、ちょうど神社が立っている付近を「高河原」と言い、その守護神をお祭りしてます。

 

おまけ!

月夜見宮の御神木

楠の巨木があちこちに。深い森の中に神聖な空気が漂っています。

 

まとめ

月夜見宮

三重県伊勢市にある神社。

ここは、日本神話を代表する神様である3貴神(天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊)のうちの一神、月夜見尊を祭る神社です。

日本神話において、天照大神の弟神的立ち位置の月夜見尊を祭っていること。

伊勢神宮の正宮である豊受大神宮の別宮として位置づけられていること。

つまり、日本神話における天照との関係が現在の伊勢神宮との関係とリンクしている神社です。

当神社を参拝される際には、是非、日本神話をもっていかれてください。参拝時の深みが違ってくるはずです。

 

場所:三重県伊勢市宮後1丁目3番19号

  • JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」から徒歩約10~15分。
  • 外宮北御門口から神路通り経由で徒歩約5分。
  • 三重交通「新道バス停」下車徒歩約3分、伊勢市おかげバス「月夜見宮前バス停」下車すぐ。

駐車場は鳥居前等にパーキングメーターであります。台数が少ないので、外宮の駐車場を活用されてください。

 

月夜見宮つきよみのみやのご祭神「月夜見尊つくよみのみこと(月読尊)」が登場する日本神話はコチラ!

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他