月夜見宮つきよみのみやは、三重県伊勢市にある神社。

ここは、日本神話を代表する神様である「天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊」のうちの一神、月夜見尊つきよみのみことを祭る神社です。

ポイントは2つで、

  • 日本神話において、天照大神の弟神的立ち位置の月夜見尊つきよみのみことを祭っていること。
  • 伊勢神宮の正宮である豊受大神宮とようけだいじんぐうの別宮として位置づけられていること。

境内は、樹齢数百年のくすのきを始め深い木々に囲まれた静謐な空間が広がっています。

今回は、日本神話における天照との関係が現在の伊勢神宮との関係とリンクしている要チェック神社をご紹介です。

 

月夜見宮(豊受大神宮別宮)|美しさとシンプルさを兼ね備えた社殿がステキ!天照大神の弟的立ち位置の月夜見尊を祭る神社

日本神話で伝えるご祭神誕生経緯

当サイトならではの日本神話をディープにご紹介。まずは神話を理解してリアルな現場をチェック。

日本神話自体は『日本書紀』『古事記』に記載されてます。今回はその中から、正史『日本書紀』から以下ご紹介。

当社のご祭神「月夜見尊つくよみのみこと」は、神社的には「つきよみのみこと」ですが、文献上「つくよみのみこと」で表記。『日本書紀』神代紀 第五段で登場します。

第五段のテーマは、「天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊の誕生」。

ちなみに、第五段は、神代紀において最も異伝が多い段で。本伝とはべつに、全部で11の異伝をもっている難解な箇所であります。コチラ参考に⇒「『日本書紀』と『古事記』の違いに見る「日本神話」の豊かさとか奥ゆかしさとか

そんななか、「つくよみのみこと」も、「月夜見尊」という表記と、「月読尊」という表記の2つが存在します。今回はそのなかで「月夜見尊」バージョンをお届け。

 『日本書紀』神代紀 第五段(一書の第十一)「月夜見尊」

当社のご祭神、「月夜見尊つくよみのみこと」として登場するのは『日本書紀』第五段の一書いっしょ第十一。

少々長いですが、一書の最初の所から現代語訳を抽出します。

一書に伝えていう。伊弉諾尊いざなきのみことは三柱の御子神に命じられて、「天照大神は高天原たかまのはらを治めなさい。月夜見尊つくよみのみことは日と並んで天界の事を治めなさい素戔嗚尊すさのおのみことは青海原を治めなさい」と仰せられた。

こういう次第で天照大神は天上におられて、「葦原中国あしはらのなかつくに保食神うけもちのかみがいると聞いている。汝、月夜見尊つくよみのみことよ、行って見て来なさい」と仰せられた。

月夜見尊つくよみのみことは勅命を受けて降り、早くも保食神うけもちのかみの許にお着きになった。

保食神はそこで、首を廻らして陸に向うと、口から飯を出し、また海に向うと、ひれの広い大きな魚やひれの狭い小さな魚も口から出した。また、山に向うと毛のごわごわした獣や毛の軟らかい鳥を口から出した。その種々の物をすっかり備えて、多くの机に積み上げて饗応してさしあげた。

この時、月夜見尊は怒って顔を真っ赤にして、「けがらわしいことだ。卑しいことだ。どうして口から吐き出した物で、私にご馳走ができると思っているのか。」と仰せられて、たちまち剣を抜いて打ち殺してしまわれた。それから後、復命して詳しくその事を申しあげられた。

すると天照大神は立腹されること甚だしく、「お前は悪い神だ。もはや顔も見たくない」と仰せられて月夜見尊と昼夜の距離を隔てて、離れてお住みになった。

『日本書紀』第五段(一書の第十一)

尚、この後続いて、この死んだ保食神の体からは五穀と稲が取れます。とくに稲の獲得は非常に重要。さらに、口の中には繭があって、養蚕の道が開かれることになります。

 ポイントは、

  1. 伊弉諾尊が三貴神をつうじて統治領域の明確化を行なった事。日の世界、夜の世界、そして青海原。
  2. 昼と夜の誕生起源を伝えていること。保食神を打ち殺した月夜見尊に天照大神は激怒、これにより夜と距離を隔てた。
  3. 一方、打ち殺された保食神からは、五穀と稲が取れ、そして養蚕の道が開かれた事。これは、現在でも宮中において天皇が田を耕し皇后が養蚕により絹をつくっている根拠になっています。

 

お姉ちゃんに行ってこいと言われて降りて行った地上で、口から吐き出した無礼にキレてぶち殺してしまった月夜見尊って、、、でもそれは確かに、天上の神(月夜見尊)と地上の神(保食神)では格が違う訳で、分からないこともない部分もあり、、、で、それはそれで報告したら、お姉ちゃんにめっちゃキレられて、距離を置かれるようになってしまった月夜見尊って、、、

ツッコミどころ満載ですが、いずれにしても、上記、3つの重要ポイントはこの月夜見宮つきよみのみやを参拝される際には是非、チェックです。

このお姉ちゃんにキレられたことによる距離感は、月夜見宮つきよみのみやが外宮の別宮扱いになっていることと関係があるのかもしれません。もう一つの月読尊を祭る月読宮は内宮の別宮扱いですしね。第五段一書六には、お姉ちゃんとの争いエピソードはありませんし。。

そんな想像も広がっていきます。

伊勢市には同じご祭神をまつる「月讀宮」があります。こちら別伝もご紹介しているので合わせてチェックされてください⇒「月讀宮(皇大神宮別宮)|簡素明澄にして清純な四宮が並列する独特なスタイル!厄除け、心身浄化、開運招福、安産・子授けご利益で信仰を集める宮では参拝順番にご注意を。

ということで、まとめてみると、、、

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日本神話を知ると、神社に奥行きがでてきますよねー。

 

月夜見宮の創建経緯

月夜見宮@伊勢市

日本神話をもとにご祭神誕生経緯をゲットしたところで、当社の創建経緯をチェックです。

詳細は不明。ただ、800年~900年ごろには、豊受宮の所管社の筆頭的立ち位置にありました。その後、後鳥羽天皇代(1183~98年)や、土御門つちみかど天皇代(1198~1210年)には、勅使派遣もあるなど、皇室の信仰を篤くあつめます。

で、この土御門代の、承元4年(1210年)に、別宮に加えられました。鎌倉時代のことですね。

尚、後ほどご紹介しますが、古くは正殿が2区あり、月夜見尊つきよみのみことと月夜見尊荒御魂あらみたまを別々の殿舎にお祭りしていたのですが、応永26年(1419年)の火事により月夜見宮つきよみのみや等が消失、その後、再興されるには至らず、現在も1つの殿舎に祭られております。

 

月夜見宮の場所

さて、日本神話と創建経緯をゲットしてモリモリになったところで、実際にリアルな現場をチェックです。

月夜見宮は、三重県伊勢市にあります。

ココは、その昔、大河原または西河原と呼ばれていて、農耕と深いつながりのある神社として信仰を集めてきたそうです。

農耕と深いつながりということで、

それは、もともと川の近くだったという立地もさることながら、神話ファンとしては、月夜見尊つきよみのみことが月=暦(昔は太陰暦)と関連する神であること、あるいは、後でご紹介する五穀誕生のきっかけを作った神であることが関係しているのかも、と思いたい。。。日本神話をゲットされた読者の皆さんもお分かりいただけるはず!

月夜見宮つきよみのみや自体は、伊勢神宮と深い関係にあるので、先に神宮系列の概要をご紹介。

伊勢神宮は、皇大神宮こうたいじんぐう内宮ないくう)」豊受大神宮とようけだいじんぐう外宮げくう)」の2つの「正宮しょうぐう」を中心として、14か所の別宮、109か所の摂社・末社・所管社、計125の宮社の総称。スゴイですよね。125社もある神宮系列ということで、、、

当社はその中でも、中心的な2つの正宮しょうぐうの一つ豊受大神宮とようけだいじんぐう(外宮)」の「別宮べつぐう

「別宮」とは、正宮(本宮)に次ぐ重要なお宮のこと。

古くは、天皇の勅書ちょくしょによって「宮号きゅうごう」を宣下された神社だけが「宮」の名前を持つことができました。現在も、年間行事や式年遷宮は正宮に準じて行われているという次第。

結構重要な神社ですね。

伊勢神宮近辺には重要な神社が点在しているので、神宮参拝の際には是非チェックしていただければと思います。

 

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▲JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」から徒歩約10~15分ほどで到着。

外宮との関係が重要で。外宮の北御門(裏参道入り口)から北へ「神路かみじ通り」と呼ばれる細い道を300m程の位置。

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▲「神路かみじ通り」は「神様が通う道」とされ、月夜見尊つきよみのみことが外宮の神様(豊受大神)のもとへ行くときに通る道。

夜、月夜見尊つきよみのみことは宮の石垣の一つに杖をあてて白馬に変え、その馬に乗って外宮へ行かれるそうです。

なので、夜、この道を通る人は神様に出逢わないよう畏れつつしみ、道の真ん中を歩くことを避けたとのこと。現在でも、真ん中は通らないように端を歩いていく風習あり。

 

月夜見宮の境内

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▲境内入口。朝参拝させていただきましたが、神職さんが掃き清めてらっしゃいました。

 

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小道を抜けると、、、

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キタ━(゚∀゚)━! 月夜見宮つきよみのみや! 美しい!そしてシンプル! この無駄がない感じ、とてもいいですね。

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▲左手が一区画空いておりますが、ここが次の式年遷宮のときに社殿が建つ場所です。

 

月夜見宮

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ご祭神:

  • 月夜見尊つきよみのみこと
  • 月夜見尊荒御魂つきよみのみことのあらみたま

荒御魂あらみたま」とは、神様の魂のことで、穏やかなマインドと表出を「和御魂にぎみたま」というのに対し、格別なご神威を表すマインドと表出(あるいは働き)のことを言います。

参考として、月夜見宮つきよみのみやは、上記ご祭神を一つの社殿にお祭りしていますが、同じく、伊勢市にある「月読宮つきよみのみや」では月読尊と荒御魂をそれぞれ別の社殿にお祀りしています。

 

お稲荷さん

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月夜見宮つきよみのみやの左奥にいらっしゃいます。落雷によって折れたという楠。支え木が懸命に支えてる感じです。

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大木のうろの部分、焼け焦げてますが、これは落雷ではなく焼夷弾により焼かれたことが原因とのこと。

 

高河原神社

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月夜見宮つきよみのみやの右奥に鎮座する外宮の摂社。

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境内の三方を取り囲む堀は「宮川」の支流の名残とのことで、川の岸段の上あたり、ちょうど神社が立っている付近を「高河原」と言い、その守護神をお祭りしてます。

 

おまけ!

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楠の巨木があちこちに。深い森の中に神聖な空気が漂っています。

 

まとめ

月夜見宮

三重県伊勢市にある神社。

ここは、日本神話を代表する神様である3貴神(天照大神、月夜見尊、素戔嗚尊)のうちの一神、月夜見尊を祭る神社です。

日本神話において、天照大神の弟神的立ち位置の月夜見尊を祭っていること。

伊勢神宮の正宮である豊受大神宮の別宮として位置づけられていること。

つまり、日本神話における天照との関係が現在の伊勢神宮との関係とリンクしている神社です。

当神社を参拝される際には、是非、日本神話をもっていかれてください。参拝時の深みが違ってくるはずです。

 

三重県伊勢市宮後1丁目3番19号

場所:三重県伊勢市宮後1丁目3番19号

  • JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」から徒歩約10~15分。
  • 外宮北御門口から神路通り経由で徒歩約5分。
  • 三重交通「新道バス停」下車徒歩約3分、伊勢市おかげバス「月夜見宮前バス停」下車すぐ。

駐車場は鳥居前等にパーキングメーターであります。台数が少ないので、外宮の駐車場を活用されてください。

 

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こんにちは、さるたひこです!読んでいただきありがとうございます。「日本神話をこよなく愛するナビゲーター」として日本神話関連情報、題して「日本神話がおもしろい!」を発信していきます。どうぞよろしくお願いします。ちなみに、ネーミングは、天孫降臨の折、瓊瓊杵尊を道案内した国津神「猿田彦命」にあやからせていただいてます。ただ、神様の名前をそのまま使うのは畏れ多いので「さるたびこ」の「び」を「ひ」に変えております。