広島県廿日市市の厳島(宮島)にある厳島神社。
全国に約500社ある厳島神社の総本社であり、ユネスコの「世界文化遺産」にも登録されてます。
古くは「伊都岐島神社」とも言われ、創建から今日まで1500年近くの歴史をもつ神社であります。
今回、神武東征神話で登場する安芸の埃宮を求めて広島に来た折、立ち寄った内容をご報告。いやー、毎度のことながらホントに素晴らしい神社でした!
厳島神社|神話的には浄化と運気アップご利益ながら現在は海上交通安全の御神威で信仰を集める神社は独創的な配置と粋を極めた寝殿造りが美しい日本屈指の名社!
目次
日本神話の3女神誕生経緯
まずは、当サイトならではの日本神話をディープにお届け。まずは神話を理解してリアルな現場をチェックです。
「厳島神社」のご祭神は「三柱の神」。生まれ順に、
- 長女「田心姫命」
- 次女「湍津姫命」
- 三女「市杵島姫命」
で、3姉妹の誕生経緯は、日本神話で伝えられてます。
日本神話は『日本書紀』『古事記』に記載されてる神話。コチラ参考に⇒「『日本書紀』と『古事記』の違いに見る「日本神話」の豊かさとか奥ゆかしさとか」
その中で、今回は日本の正史『日本書紀』からご紹介。3姉妹は「第六段の本伝」で登場。第六段のテーマは「素戔嗚尊と天照大神の誓約」であります。
経緯として、
- 前段の第五段で、伊奘諾尊(♂)が「天照、月夜見、素戔嗚」の3貴神を生みますが、素戔嗚だけは母(伊奘冉尊(♀))のいる「根の国」に行きたいと言いだす。怒った伊奘冉は素戔嗚を追放する。
- 第六段本伝で、素戔嗚は「根の国」に行く前に、高天原にいる姉の天照に会いに行く。すると、大海原ははげしく揺れ動き、山や岳は鳴り轟く。
- これを見た天照は「弟が高天原を奪おうとしている」と武装して待ち構えた。
- これに対して素戔嗚は、「私に邪心はありません、姉上が激怒しているとは思いもよらなかった。」と答える。
- これに対して天照は「そうならば潔白を証明しろ」と迫る。これに対して素戔嗚は「一緒に誓約(の儀式)を行いましょう」と持ち掛ける。
と、いった流れ。
ま、ツッコミどころ満載の展開ですが、以下そこからの部分を抽出します。素戔嗚が天照に誓約するところから。
素戔嗚「誓約の最中で必ず御子を生むことにしましょう。もし私の生む子が女ならば、邪心があるとお思いください。もし男ならば潔白な心であるとお思いください」と仰せられた。
そこで天照大神は、素妻鳴尊の十握剣を求め取られて、三つに打ち折り、天真名井にすすいでがりがりと噛み砕き、吹き棄てる息の狭霧で生んだ神を、名付けて「田心姫」と申す。次に「湍津姫」。次に「市杵島姫」。合せて三柱の女神である。
~中略 この後、素戔嗚尊は、天照の装飾品を使って5柱の男神を生み、潔白を証明。それに対して天照は、自分の装飾品で生まれた子なので男神は自分の子とします。そのうえで、、、 ~
天照「その十握剣は、素妻鳴尊のものだ。だからこの三柱の女神はすべてお前の子である。」と仰せられ、すぐに素妻鳴尊にお授けになった。この女神たちは筑紫の胸肩君らが祭る神である。
『日本書紀』第六段本伝
以上、少々長くなりましたが3女神誕生の経緯です。
尚、「筑紫の胸肩」とは、筑前国宗像郡の豪族で、宗像大社を奉斎しておりました。
まとめると、
- 素戔嗚は自らの潔白を証明するために天照との「誓約の儀式」に臨んだ。
- それによって、天照は「素戔嗚の剣」で女神を生み、素戔嗚は「天照の装飾品」で男神を生んだ。
- こうして素戔嗚の潔白は証明され、男神は「天照の子」として天上に、女神は「素戔嗚の子」として地上におくことになる。
ということです。
このシーン、なかなか解釈が難しいところがあります。「で、何?」って感じですし。何が言いたいのかよくわからないですよね。
ただ、以下、原理原則に基づいて解釈するとその内容が見えてきます。
まず、
最初に理解すべき原理原則は以下の通りです。
- 素戔嗚尊(男)が勝つ。男を生む。潔白を証明する。
- 生んだ子のうち、男は天上。女は地上に降ろす。
- これらは全て「尊卑先後の序」という原理原則に基づくシナリオ。
ということ。「尊卑先後の序」についてはコチラで⇒「天の道は単独で変化する。だから純粋な男神となった件|日本神話が伝える天地開闢」
つまり、日本神話解釈的には、「尊卑先後の序」に基づく「男優先のロジック」での展開という訳で。このシーンは「誓約」という儀式を通じて原理原則に基づく神々の誕生経緯を伝えているという事です。
それがあったうえで、
- 天照大神は女神を生む。素戔嗚尊は男神を生む。
- 女神は素戔嗚の子とし「葦原中つ国」の辺境に降ろす、男神は天照の子とし「天上」に置く。
そして、
地上に降ろされた女神たちは、その後、地元の有力豪族の祖神として航海や航路安全祈願の神として信仰を集めるようになっていくという次第。
尚、素戔嗚尊が生んだ男神5柱の内、例えば「天穂日命」は、出雲国の国造家の祖先神として位置づけられ。出雲大社に鎮まる大国主の「祭主」としてお仕えをすることになります。ちなみに、現在の出雲大社宮司は天穂日命以来、第84代目の直系の末裔だそうです。スゴ。。。こ、こんなつながりが。。。汗
⇒「出雲大社|幽冥界を司る大国主を祀る!想像を絶する威容を誇っていた国譲りの交換条件である「天日隅宮」をはじめ出雲大社の見どころを全部まとめてご紹介!」
ま、そんな背景を踏まえて参拝いただけると奥行きがでてきていい感じかと思います。神話における位置づけと、その後の応用展開、ロマンはどこまでも広がっていきますよね。
厳島神社への道
「厳島神社」には、フェリーで厳島(宮島)へ行き、そこから徒歩で5分ちょっとで到着します。
参考としてコチラ!是非。
で、宮島でフェリーを降りてからはこんな感じ。
▲世界遺産「厳島神社」の記念碑。ちなみに、厳島は「安芸の宮島」とも呼ばれ「日本三景」の1つ。
そして、宮島の鹿。。。
う、そ、その瞳。。。一気に持っていかれました。。。カワイ過ぎる!
鹿を振りきって先に進むと、、、お土産やさんやら食べ物屋さんやら旅館が立ち並びます。流石、一大観光地宮島。
▲左に行くとお土産屋がならぶかまびすしい道が、このまま真っ直ぐ行くと日本三景の景色が広がる海沿いの松林が。
個人的には、お土産とかは後回し。まずは真っ直ぐ進んで、宮島の美しさを堪能しつつ「厳島神社」をめざしましょう。
▲この弓なりの美しい曲線を描く海岸。美しい!海岸に沿って奥、「厳島神社」の鳥居が見えます!
海岸沿いを歩いていくと、、、
やって参りました。この辺から厳島神社感が出てきます。
▲「厳島神社」で有名な水上大鳥居!
▲見えてきました!奥にあるのが「厳島神社」!この奥まった湾は、有浦
▲ここが入口です。手水舎で手を清めてから受付へ。
「厳島神社」昇殿初穂料(拝観料)
- 大人(18歳以上):300円
- 高校生以上:200円
- 小中学生(6歳以上):100円
開門時間:6:30~18:00
創建経緯
社伝曰く、
厳島は古来より島全体が神としての信仰があり、自然崇拝、山岳信仰がベースにありました。神社の創建自体は、推古天皇元年(593年)に、地方の有力者であった佐伯鞍職が社殿造営の神託を受け創建したのがはじまり。それから約500年後の仁安3年(1168年)、当時の太政大臣・平清盛によって寝殿造りとか華やかに造営されたのが現在の社殿の礎。(神社説明文より)
自然崇拝を土台に、地元豪族の佐伯殿が創建、平清盛による貿易海上交通の繁栄と安全を祈願して発展した、という感じですね。
厳島神社概要
- 安芸国一宮。厳島(宮島)の北東部、弥山(標高535m)の北に鎮座。
- 平家の信仰が有名で、平清盛により現在の海上に立つ大規模な社殿として整備される。
- 社殿は、本殿・拝殿・回廊など6棟が国宝に、14棟が重要文化財に指定。他、平家の納めた平家納経等、国宝・重要文化財の工芸品も多数。
- 厳島神社の平舞台(国宝:附指定)は日本三舞台の1つに数えられるほか、海上に立つ高さ16mの大鳥居(重要文化財)は日本三大鳥居の1つ。
もう、この時点でてんこ盛りすぎ。流石でございます。
「厳島神社」の御祭神と御利益
3柱の神(宗像三女神と同じ)。
- 市杵島姫命
- 田心姫命
- 湍津姫命
御姫様なんですよね。厳島神社の美しさとリンクして想像が広がります。
御利益:本来は、浄化と運気アップ。現在は、海の神様(?)ということで、 海上交通安全、交通安全。
神話的には、天照大神(姉)と素戔嗚尊(弟)の誓約で誕生した神様たちです。潔白とか誓いの証明とかそういう感じであって海の神ではありません。。
厳島神社の主要な社殿
本社社殿
奥の本殿と手前の拝殿の間を幣殿でつないで全体を1棟とする形式。拝殿の手前には祓殿、祓殿のさらに手前(海側)には「高舞台」と呼ばれる高欄付の舞台。ここで夏になると舞楽の奉納などに使用されます。
高舞台&平舞台
写真手前が、高舞台。その周辺の屋根がない板敷の部分が「平舞台」。平舞台の一番海側は桟橋状に細く突き出ていて、この部分が「火焼先」。その延長線上に大鳥居が見えます。
▲土日祝祭日ともなると、時間帯によりますが、火焼先に行列発生。。。
客神社
御祭神:
- 天忍穂耳命
- 天穂日命
- 活津彦根命
- 天津彦根命
- 熊野樟日命
まろうどじんじゃ。入口すぐ。東廻廊の途中。西を正面として建ってます。客神社も本社と同様に本殿・幣殿・拝殿・祓殿から成りますが、社殿の規模は本社より小さめ。
鏡の池
潮が引いたときに見える小さな鏡のような池。清水が湧いているようです。手鏡みたいに見えるので「鏡の池」と呼ばれてます。
反橋
天皇派遣の勅使が参拝の際に渡ったと伝えられるところから、別名「勅使橋」とも言われるそうです。
大鳥居
▲この日、参拝時は満ち潮のときで、足元には行けませんでした。潮が引いているときは足元までいくことができます。
境内の沖合約200mの地に立ってます。明治8年(1875年)の再建で、平清盛の造営時から8代目!
棟の高さ16.6メートル、柱間10.9メートルの、大型の木造鳥居ですね。鳥居はこの土台の上に自重で立ってます。島木と笠木は「箱状の構造」で、内部には石が詰まってます。その重みによって大鳥居は自立しているわけです。奈良の春日大社・敦賀の気比神宮の大鳥居とともに「日本三大鳥居」。
能舞台
その他
ほんと、美しい線形と朱色が記憶に残る神社でした!何度行っても心にぐっとくる神社です!
まとめ
厳島神社
広島県廿日市市の厳島(宮島)にある厳島神社。
古くは「伊都岐島神社」とも言われ、創建から今日まで1500年近くの歴史をもつ神社。ユネスコの世界文化遺産にも登録されてます。
御祭神は、宗像三女神と同じ、市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の3柱。お姫様の神。厳島神社の美しさとリンクして想像が広がります。
敷地は海という大胆で独創的な配置構成と、寝殿造りの粋を極めた建築美が美しい日本屈指の名社です。
一生に一度は訪れたい神社としてオススメです!
安芸国三社と言えば、厳島神社の他にコチラ!
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