御塩殿神社は三重県伊勢市にある神社。
神社とは言いつつ、伊勢神宮の御料地として神宮に奉納する「堅塩」を作る工場的なスポット。
御料地とは、神宮の神事に使われる神饌などを調進する施設のこと。
境内は、生い茂る木々が古代からの神聖な空気をかもしだしていて、とても神秘的な風。
今回は、2000年以上の歴史を持つ、伊勢神宮の製塩工場兼神社をご紹介します。
御塩殿神社|伊勢神宮の御料地!神宮に奉納する「堅塩」を古代の製法で2000年以上作り続けているという激しく奥ゆかしい神社
御塩殿神社の場所
三重県伊勢市二見町荘にあります。
地名が特徴的。「町」で終わればいいのに最後に「荘」がついてます。これは、平安時代に伊勢神宮によって開拓された「二見庄」が由来。とにもかくにも神宮との関係が強いスポットです。
ココは簡単に言うと「製塩工場」であり、別途、五十鈴川河口付近に「塩田」の御塩浜があります。
▲昔は、伊勢市二見町から伊勢市大湊町にかけての伊勢湾沿岸では「製塩」が盛んでしたが、瀬戸内海を中心に入浜式塩田が広まってからは衰退。この一帯の塩田は「御塩浜」だけになったそうです。
お時間があれば、2か所同時にチェックされてください。
周辺マップはコチラ。
理想的フローは、伊勢神宮参拝の前に、古式にのっとり、まずは③の二見興玉神社で禊を行ない、②を経て①をチェックし、左の伊勢神宮へ。
二見興玉神社については、コチラで☟
そう考えてみると、この周辺は「お清めスポット」として位置づけることもできますね。
- 古式「浜参宮」にのっとり禊を行なって身を清める神社
- 神宮においてもお祭り前のお清めとして使われる塩をつくる神社
日常の穢れはそんなに簡単に取れるものじゃない!?とすれば、、、
二見興玉神社で身を清めるだけでなく、ココ御塩殿神社でも塩パワーによって徹底的に浄化してしまいましょう。
御塩殿神社の境内
入口はこんな感じで、海の近くの杜にあります。
正面から見ると、、、
▲ほんと、素朴な感じで、、「神社」と思って入ると肩透かしをくらいます。
▲境内は、うっそうと生い茂る木々で空気がひんやり。何もない分、神聖な空気が漂っています。
創建経緯
由緒は定かではありません。ただし、伊勢神宮の歴史とともにあったことは確かで、神領地での製塩を脈々と受け継いできた経緯。伊勢神宮のはじまりが垂仁天皇代になるので、諸説ありますが、紀元前後からあったものと推定されます。
ココ、もともと神宮の神領としてあったのが、歴史の中で没収されたり取り戻したりをいくつか繰り返して現在に至ります。
特に、明治維新において、新政府による「上知令」によって、全国の寺社から境内を除く全ての領地が没収されてしまいます。これにより、神領制度が廃止され、御塩浜も没収の憂き目に。。。
それに対して、明治10年(1877年)には神宮が土地を購入し、神領として取り戻した経緯アリ。
それから20年後の明治30年(1897年)にようやく御塩浜と御塩殿神社での御塩調進が再開されたそうで。良かった良かった。このときから、旧神領の住民が作業を奉仕する伝統が受け継がれるようになったそうです。
たかが塩、されど塩。神社、そして神事には不可欠なアイテムですから、神宮としても安定的な調達方法の確立は重要事項だったのだと思います。
ご祭神
- 御塩殿鎮守神
毎年10月5日に御塩殿祭が行なわれ、より良い堅塩がより多く得られるように祈りを捧げます。また、製塩に携わる作業者の安全もお祈りされるそうです。
ところで、ご祭神は「塩土翁」であったとする説もあり。塩土翁と言えば!神武東征神話で登場。
詳しくはコチラで⇒「東征発議と旅立ち|東征の動機とか意義とか建国の決意とかをアツく語った件|分かる!神武東征神話No.2」
「塩土翁」は、東征神話では知恵者として登場します。神武に大和の地のことを教え、東征を決意させた御仁であります。結構重要な神様です。
さて、境内をご紹介。塩田の作業風景はコチラで確認いただくとして、
要は「製塩工場」ですから、当然、「仕入れて、作って、保管して、仕上げる」といった基本機能が備わっております。
まず、仕入れの場所。
御塩汲入所
御塩浜から運ばれた高濃度の塩水である「鹹水」を保管する倉庫。
建物は非常に特徴的で、地面に沈んでしまってる感じがしますが、コレ「天地根元造」と呼ばれる建築様式だそうです。
そして、作る場所。
御塩焼所
鹹水を鉄鍋で煮込んで、粗塩をつくる施設。御塩汲入所と同じ天地根元造。鹹水を煮詰める作業は8月に行なわれます。
そして、作った塩を一時保管する場所。
御塩御倉
焼所でつくられた粗塩を保管する倉庫。
で、最後に、仕上げる場所。
御塩殿
粗塩を焼き固め「堅塩」をつくる施設。鳥居がありますが社殿ではありません。
8月に作られた粗塩を毎年12月と3月の2回にわけて焼き固めるそうです。年間約300個ほどつくるとか。
三角錐の土器の型に粗塩を入れ、舞錐で起こした火である忌火を使って御塩殿内で焼き固めた堅塩を「御塩」と呼びます。
「忌火」とは「清浄な火」のこと。火鑽りで熾し神事につかう特別な火。木と木をすり合わせて発火する「舞錐式発火法」が伊勢神宮スタイル。
一つひとつが古式奥ゆかしい伝統が引き継がれている訳ですね。
境内の奥を抜けると、
そこは、、、
美しい海! 海水浴場にもなっております。
ちなみに、
ココ、御塩殿神社以外にも、神宮の御料地は、絹布を調進する神服織機殿神社と、麻布を調進する神麻続機殿神社の2つの機殿があります。コチラも是非チェックされてください。
まとめ
御塩殿神社
三重県伊勢市にある神社。
神社とは言いつつ、伊勢神宮の御料地として神宮に奉納する「堅塩」を作る本格的製塩工場。
境内は、生い茂る木々が古代からの神聖な空気をかもしだしていて、とても神秘的な風がただよっています。
神宮創建のときからずっと、2000年以上の歴史を持つ製塩工場。伊勢参拝時には是非チェックされてください。
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住所:三重県伊勢市二見町荘2019
JR東海参宮線二見浦駅から徒歩15分ほど。
伊勢神宮はコチラで詳しく☟
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