高天原|広大な「天の原」という天空から一段と高い領域。神神の行為によって、世界を統治する至尊神の君臨する場所として位置づけています。

 

日本神話に登場するいろいろな言葉、語句を解説します。今回は『古事記』を中心に「高天たかあまのはら」です。

実は、『古事記』のみならず『日本書紀』においても、「高天たかあまのはら原」がどういう場所か具体的な記述はありません。

何も伝えないまま、『古事記』では造化三神が「高天原」に成りまし、のちに、天照大御神あまてらすおおかみが統治することになる、といった感じ。

なので、「高天たかあまのはら」については、神神の行為や他の用例を通じて解釈していくことになります。

 

高天の原|広大な「天の原」という天空から一段と高い領域。神神の行為によって、世界を統治する至尊神の君臨する場所として位置づけています。

今回は大きく2つのポイントについてお届けします。

1つ目。

「高天の原」と「葦原中国」とは一体的につながっている。

先ほど触れた通り、

『古事記』冒頭では、造化三神ぞうかさんしんが「高天の原」に成りまし、のちに、「天照大御神あまてらすおおかみ」が統治することになります。

詳細はコチラで☟

『古事記』本文より「天地開闢」の語訳とポイント|天に五柱の別天つ神、地に七代の神々出現。神名を連ねる手法で天地初発を物語る。

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そして、この「高天の原」に来訪した「須佐之男命すさのおのみこと」の乱暴な行為によって、天照大御神が「天の石屋いわや」に隠れてしまうと、「高天の原みな暗く、葦原中国あしはらのなつくにことごとくくらし」と伝えます。

ココから言えるのは、「高天の原」と「葦原中国」とは一体的につながっているということ。

そして、

だからこそ、天照大御神の統治が「高天の原」のみならず世界の隅々に及んでいるというロジックになる訳です。

ある意味、神神の行為によって、高天の原を、世界を統治する至尊の神の君臨する場所として、明確に位置づけている、とも言えますね。

まずココをチェック。

2つ目。

「天原」という広大な天空の広がりをもとに、それより一段と高い領域として設定。

実際、「高天の原」がどこかと言えば、「天の原の、さらに高い場所・領域」ということになります。

あまはら」については、実は『万葉集』に例があります。

いくつか抽出します。

天の原 降り放け見れば 天の川 霧立ちわたる 君は来ぬらし 

天原  振放見者  天漢  霧立渡  公者来良志 (2068番)

 

天の原 雲なき よひにぬばたまの 宵度よわたる月の 入らまく惜しも

天原  雲無夕尓  烏玉乃  宵度月乃  入巻ね毛(1712番)

 

天の原 富士の柴山 この暗の 時ゆつりなば 逢はずかもあらむ 

安麻乃波良 不自能之婆夜麻 己能久礼能 等伎由都利奈波 阿波受可母安良牟(3355番)

 

古代では、「原(はら)」は「広く平らなところ」、「野(の)」は「山裾のゆるい傾斜地」をそれぞれ指していました。

なので、「天の野」といった例は無く、「天の原」が天空の広大な広がりを表す言葉として使われているわけです。

尚、

「地上」の「原(はら)」には川が流れ、こうしたところにしばしば都を造営しています。

『万葉集』には、久迩(京都府相楽郡加茂町から木津町山城町にまたがる地域)の新京を讃めた長歌があります。

(前略) あなあはれ 布当ふたぎ、 いと貴大宮たふとおほみやところ、 うべしこそ我が大君は、 君ながら 聞かしたまひて、 さす竹の大宮 ここと定めけらしも(1050番)

広大な原に木津川が流れる場所、まさに都造営にふさわしい場所だったのでしょう。

尚、この「久迩京」は、天平16年2月、難波遷都に伴い、未完成のまま荒墟こうきょと化します。

これを悲傷した長歌と反歌もあります。

三香みか 久迩の都は、 山高み川の瀬清み、 住みよしと 我れは思へど、 古ふりにし里にしあれば(長歌、1059番)

 

三香の、久迩の都は 荒れにけり 大宮人おほみやびとの うつろひぬれば(反歌 1060番)

 

話を戻します。

要は、都造営にふさわしい広大な「原(はら)」を、天空に想定したのが「天の原」という訳で、その広がりやイメージをつかむことが重要です。

そこに「高」をつけているので、「高い」「天の原」。

つまり、「天の原」という広大な天空の広がりをもとに、それより一段と高い領域として設定しているのです。

そしてそこは、まさに世界を統治する至尊神が都を造営して統治するに相応しい場所な訳です。

ちなみに、「高天の原」には「安の河」も流れていますし、八百万神やほろよづかみが集い神事も行います。

いわば、古代人の理想的な世界像をぎゅっと凝縮した場、それが「高天の原」。とも言えますね。

以上の2点を是非チェックされてください。

 

まとめ

「高天の原」

「高天の原」と「葦原中国」とは一体的につながっていて、それゆえに、天照大御神の統治が高天の原のみならず世界の隅々に及んでいるという話。

実際の場所的なところは、「天の原の、さらに高い場所・領域」。

「天の原」という広大な天空の広がりをもとに、それより一段と高い領域として、都(=世界の主者が住む場所)を造営して統治するに相応しい場所として位置づけています。

 

天地開闢まとめはコチラで!

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さるたひこ

こんにちは、さるたひこです!読んでいただきありがとうございます。「日本神話をこよなく愛するナビゲーター」として日本神話関連情報、題して「日本神話がおもしろい!」を発信していきます。どうぞよろしくお願いします。ちなみに、ネーミングは、天孫降臨の折、瓊瓊杵尊を道案内した国津神「猿田彦命」にあやからせていただいてます。ただ、神様の名前をそのまま使うのは畏れ多いので「さるたびこ」の「び」を「ひ」に変えております。