「軻遇突智」とは、日本神話に登場する火神。
その誕生の瞬間から、
神話史上初の「神殺し&母親殺し」をやってのける猛烈な神として位置づけられてます。
火は神をも殺す力がある、
って事。モーレツです。
『日本書紀』では、「軻遇突智」「火産霊」と表記。
『古事記』では、「火之夜藝速男神」・「火之炫毘古神」・「火之迦具土神(加具土命)」と表記。
名称はいろいろありますが、非常に強い神威を持つ火神、という性質は共通。
今回は、そんな火神「軻遇突智」について日本神話文献をもとに徹底解説していきます。
- 日本神話全体の流れや構造を解き明かしながら解説。他には無い分かりやすい記事です
- 現代語訳のほか原文も掲載。日本神話編纂当時の雰囲気を感じてもらえます
- 登場する神様や重要ワードへのリンク付き。より深く知りたい方にもオススメです
軻遇突智(かぐつち)|神話史上初の神殺し&母親殺し!火神「軻遇突智」を日本神話をもとに徹底解説!
目次
『日本書紀』における「軻遇突智」の登場箇所
まずは、
火神「軻遇突智」がどこで登場するのか?
発生場所を確認。正史『日本書紀』からお届けです。あとで『古事記』もね。
『日本書紀』は、本伝とは別に、様々な異伝併載スタイル。
これにともない、「軻遇突智」の誕生経緯やアフターについても、複数の伝承が存在。このあたりの事情とか、日本神話の豊かさについてはコチラで↓
で、
実際に、「軻遇突智」が登場するのは、第五段。
第五段〔一書2〕で誕生し、第五段の〔一書3〕〔一書4〕〔一書6〕〔一書7〕〔一書8〕と、複数の伝承をまたがって登場。結構重要な位置づけです。
「軻遇突智」から見た描かれ方を整理してみるとこんな感じ。
【第五段】
〔一書2〕 | 軻遇突智誕生、伊奘冉尊殺し、埴山姫を娶って、稚産霊を産む |
〔一書3〕 | 火産霊として誕生 |
〔一書4〕 | 軻遇突智として誕生 |
〔一書6〕 | 軻遇突智として誕生、伊奘冉尊殺し、伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名無し)、血から神化成 |
〔一書7〕 | 伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名あり)、血から神化成 |
〔一書8〕 | 伊奘諾尊による五段に斬断→神化成(五山祇)、血が石や礫、樹や草を染める |
大きく、
- 〔一書2〕~〔一書4〕が誕生と神殺しの神話
- 〔一書4〕~〔一書8〕が斬断とそこからの神化成の神話
まーいろいろな生まれ方をしてるし、斬断されてるし、神を産む元になってるし。
そう、
「軻遇突智」にまつわる神話としては、大きく2つで。
- 誕生と神殺し(親殺し)
- 斬断と神の化成
が二大テーマ。
なので、以下、この2つの枠組み、テーマをもとに「軻遇突智」とは何か?をお届けしていきます。
軻遇突智の誕生経緯
まずは、1つ目。
誕生と神殺し(親殺し)
そう、火神は誕生の瞬間に、神話史上初の神殺し(親殺し)をしでかす、とんでもない神。
さっそく現場をチェック。
「軻遇突智」初登場は
『日本書紀』巻一(神代上)の第五段〔一書2〕。
その前に、
第五段のテーマは「天下之主者生み(神生み)」であること、しっかりチェック。
神話全体の流れの中で読み解きましょう。
で、
経緯としては、
「尊」としての位置づけである「日」と「月」は既に生まれていて、
次いで、「卑」としての位置づけである「蛭児」「素戔嗚尊」が誕生、最後に「軻遇突智」が生まれる流れ。
ポイントは、
「卑」の連続出産、良くなーい流れがあり、
これは、伊奘冉が火神によって焦かれ終わることでようやく止められるってこと。
ある書はこう伝えている。日と月は既に生まれた。次に蛭児を産んだ。この子は三年経っても足腰が立たなかった。
これは初めに、伊奘諾・伊奘冉尊が御柱を巡った時に、陰神が先に喜びの言葉を発したからである。陰陽の原理に背いてしまったのだ。そのせいで今、蛭児が生まれた。
次に素戔鳴尊が生まれた。この神は、神としての性質が悪く、常に哭いて怒りを露にしてばかりいた。それで国の民がたくさん若死にし、青々とした山は枯れた。そのため父母は、「もしお前がこの国を治めたならば、必ず多くの人々を殺し傷つけるだろう。だからお前はここから遠く離れた根国を治めよ」と命じた。
次に鳥磐櫲樟橡船を産んだ。この船に蛭児を乗せ、流れにまかせ棄てた。
次に、火神 軻遇突智を産んだ。しかし、伊奘冉尊はこの時、軻遇突智の火に焼かれ終った。その、まさに臨終する間、倒れ臥し糞尿を垂れ流し、土神 埴山姫と 水神 罔象女を 産んだ。
そこで 軻遇突智は埴山姫を娶って、稚産霊を産んだ。この神の頭の上に、蚕と桑が生じた。また、臍の中に五穀が生じた。
一書曰。日月既生。次生蛭児。此児年満三歳、脚尚不立。初伊奘諾・伊奘冉尊、巡柱之時。陰神先発喜言。既違陰陽之理。所以今生蛭児。次生素戔鳴尊。此神性悪。常好哭恚。国民多死。青山為枯。故其父母勅曰。仮使汝治此国。必多所残傷。故汝可以馭極遠之根国。次生鳥磐櫲樟橡船。輙以此船載蛭児、順流放棄。次生火神軻遇突智。時伊奘冉尊、為軻遇突智、所焦而終矣。其且終之間。臥生土神埴山姫及水神罔象女。即軻遇突智娶埴山姫、生稚産霊。此神頭上生蚕与桑。臍中生五穀。 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書2〕より)
と、
我らが「軻遇突智」誕生のポイントは、
- 蛭児、素戔嗚と、卑の誕生が続いていた中での誕生だった
- 卑の連続出産は、母体である伊奘冉の死によって止められた
- 卑の流れが止まり、火が土と結婚し出産、「蚕」と「五穀」が発生した
の3点。
主な役目としては、
神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、という設定をもとに、
- 卑の連続出産という悪循環を止める
- 人間の生活必需品 誕生のきっかけをつくる
といった2点に集約されます。
いずれも、
火神ならではの役目であり、
そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてる感じ。
- 良くない物事を断ち切る、浄化する
- 土と結びつき、蚕(衣)と五穀(食)生育の土台をつくる
と。
1つ目の、断ち切るとか浄化するとかいった役割は、例えば、第九段の火中出産の例でも使用されていきます。
2つ目の、蚕や五穀誕生経緯は、同じ第五段〔一書11〕へ繋がっていきます。
つまり、
「軻遇突智」誕生時の役割は、ココだけの話ではなく、後の伝承につながっていくって事。逆に言うと、ココで設定されてる役割があるからこそ、後の伝承で活きてくるわけですね。
このほか、
誕生にかかわる伝承として3つ、さらっとご紹介。
伊奘冉尊は火産霊を産む時に、子のために焼かれ神退った。(伊奘冉尊生火産霊時。為子所焦而神退矣。)〔一書3〕
伊奘冉尊は火神 軻遇突智を産もうとした時に、その火の熱に悶絶懊悩した。それにより嘔吐した。これが神に化成した。(伊奘冉尊且生火神軻遇突智之時。悶熱懊悩。因為吐。此化為神。)〔一書4〕
その火神の軻遇突智が生まれるに至って、その母の伊奘冉尊は焦かれ、化去った。〔一書6〕
いずれも、
誕生の瞬間に、神話史上初の神殺し(親殺し)をしでかす神として描かれています。
まとめます。
日本神話史上初の神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、、、という設定をもとに、
- 卑の連続出産という悪循環を止める
- 人間の生活必需品誕生のきっかけをつくる
といった2点に集約される。
いずれも、火神ならではの役目であり、そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてる。
- 良くない物事を断ち切る、浄化する
- 土と結びつき、蚕(衣)と五穀(食)生育の土台をつくる
ココで設定された役割は、後段へつながっていく。
軻遇突智の斬断と神の化成
誕生経緯から、火神「軻遇突智」の位置づけをチェックしてきましたが、
次は、2つ目のテーマ。
斬断と神の化成
コレ、
簡単に言うと、「猛烈な神からは、猛烈な神が誕生する」という内容です。
『日本書紀』第五段〔一書6〕からお届け。
話の流れ的には、先ほどの火神「軻遇突智」誕生の続き。
愛する妻を殺された旦那が、息子に復讐するの巻。
そして、親父に斬殺されてしまう息子の巻。、。と、神様世界は結構スゴイ、、、、
遂に、(伊奘諾尊は)帯びていた十握剣を抜き、軻遇突智を三段に斬った。それぞれ化してその各部分が神と成った。また剣の刃から滴る血は、天安河辺にある五百箇磐石と成った。これが経津主神の祖である。また、剣の鐔から滴る血がほとばしって神と成った。名付けて甕速日神と言う。次に熯速日神。その甕速日神は武甕槌神の祖である。(または、甕速日命、次に熯速日命、次に武甕槌神と言う。)また、剣の先から滴る血がほとばしって神と成った。名付けて磐裂神と言う。次に根裂神。次に磐筒男命。(一説には磐筒男命と磐筒女命と言う。)また、剣の柄から滴る血がほとばしって神と成った。名付けて闇龗と言う。次に闇山祇。次に闇罔象。
遂抜所帶十握劒 斬軻遇突智爲三段 此各化成神也 復劒刃垂血 是爲天安河邊所在五百箇磐石也 即此經津主神之祖矣 復劒鐔垂血 激越爲神 號曰甕速日神 次熯速日神 其甕速日神 是武甕槌神之祖也 亦曰甕速日命 次熯速日命 次武甕槌神 復劒鋒垂血 激越爲神 號曰磐裂神 次根裂神 次磐筒男命 一云 磐筒男命及磐筒女命 復劒頭垂血 激越爲神 號曰闇龗 次闇山祇 次闇罔象 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書6〕より)
と。
ポイントは3つ。
- 火神「軻遇突智」を斬断することで神が化成。①斬断した体の各部から+②斬断した剣から滴る血から。
- ①:〔一書6〕では「軻遇突智を三段に斬った。それぞれ化してその各部分が神と成った。」とは言うものの、具体的な神名は無し。(次の伝承〔一書7〕で具体的に伝えます)
- ②:剣の刃や鐔、先から滴る火神の血から神が化成する。これは具体的な神名アリ。
ということで、
②について、整理してみましょう。
どこから・なにから? | どんな神が? | それって、、、 |
剣の刃から滴る血 | 五百箇磐石 | 経津主神の祖です |
剣の鐔から滴る血がほとばしって、、、 | 甕速日神。 次に、熯速日神。 |
武甕槌神の祖です ー |
剣の先から滴る血がほとばしって、、、 | 磐裂神 次に、根裂神 次に、磐筒男命 |
ー ー ー |
剣の柄から滴る血がほとばしって、、、 |
闇龗 次に、闇山祇 次に、闇罔象 |
ー ー ー |
と。
で、ポイントは、一番右「それって、、、」の欄。
「経津主神の祖です」「武甕槌神の祖です」
と。つまり、
- 五百箇磐石は、経津主神の祖
- 甕速日神は、武甕槌神の祖
で、ココでの重要事項は、誕生した磐石や神以上に、それらを祖として持つ神であります。
それが
経津主神 と 武甕槌神。。。
こ、コレは、、、、
そう
国譲り神話!
国譲り神話で活躍する二神をココで伝えてる。
国譲り神話、、、
葦原中国(地上世界)平定した大己貴命。そのめちゃくちゃ強大な神に対して、高天原側は国を譲れと迫る、、、コレ、大己貴命と同等か、それ以上の、よほど強力な神威をもった神でないと無理でしょ。。。の巻。
そこで、登場するのが、
経津主神 と 武甕槌神。
この「経武コンビ」が、高天原側の代表として、そして、「ネゴシエーター(交渉人)」として派遣される訳です。
つまり、
この「経武コンビ」は、大己貴命と同等か、それ以上の強力な神威をもった神として位置づけられてる、って事ですよね。
それもこれも、すべて、「火神の血から、その血がほとばしるところから誕生した磐石や神を祖にもつ」から、てこと。
この背景設定はしっかりチェックされてください。
これは別の言い方をすると、
猛烈な神からは、
猛烈な神が誕生する。
てことでもあって、
後の展開で登場する抜き差しならぬシーンにむけた前フリ、布石として、ココ〔一書6〕が位置づけられてるんですね。
非常に緻密に練られた神話構造。古代日本人の創意工夫、構想力がスゴすぎて震える。。。
火
恐るべし。。。
その他の伝承、〔一書7〕〔一書8〕は以下のとおり。
斬断した体の各部+斬断した剣から滴る血
という枠組みをもとに差違化展開。
ある書はこう伝えている。伊奘諾尊は剣を抜き軻遇突智を斬り、三つに刻んだ。その内の一つは雷神となった。もう一つは大山祇神と成り、一つは高龗と成った。
また別の言い伝えではこう伝えている。軻遇突智を斬った時に、その血がほとばしり、天八十河中にあった五百箇磐石を染めた。それによって神が化成した。名付けて磐裂神と言う。次に根裂神、次に磐筒男神、次に磐筒女神、そして経津主神。
一書曰。伊奘諾尊。抜剣斬軻遇突智、為三段。其一段是為雷神。一段是為大山祇神。一段是為高龗。又曰。斬軻遇突智時。其血激越、染於天八十河中所在五百箇磐石。而因化成神。号曰磐裂神。次根裂神。児磐筒男神。次磐筒女神。児経津主神。 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書7〕より)
そして、もう一つ。
ある書はこう伝えている。伊奘諾尊は軻遇突智命を斬り、五つにばらした。これがそれぞれ五つの山祇に化成した。一つは首で大山祇と成った。二つは身体で中山祇と成った。三つは手で麓山祇と成った。四つは腰で正勝山祇と成った。五つは足で䨄山祇と成った。
この時、斬った血がほとばしり流れ、石や礫、樹や草を染めた。これが草木や砂礫がそれ自体に火を含み燃えるようになった由縁である。
一書曰。伊奘諾尊斬軻遇突智命、為五段。此各化成五山祇。一則首、化為大山祇。二則身中、化為中山祇。三則手、化為麓山祇。四則腰、化為正勝山祇。五則足、化為䨄山祇。是時斬血激灑、染於石礫樹草。此草木・沙石自含火之縁也。(『日本書紀』巻第一(神代上)第五段〔一書8〕より)
〔一書7〕は、3段に斬る。〔一書8〕は5段に斬る、、、
いいのか?こんなんで。。
このあたりを整理してまとめてみる。
〔一書6〕 | 〔一書7〕 | 〔一書8〕 | |
斬断した体の各部分 | 3段 ー不明ー |
3段 雷神、大山祇神、高龗 |
5段 首:大山祇。身中:中山祇。手:麓山祇。腰:正勝山祇。足:䨄山祇。 |
斬断した血 | 五百箇磐石、甕速日神、熯速日神、磐裂神、根裂神、磐筒男命、闇龗、闇山祇、闇罔象 | 磐裂神、根裂神、磐筒男神、磐筒女神、経津主神。 | 染於石礫樹草。此草木・沙石自含火之縁也 |
なんか、、、
山とか磐とかが多いよね。全体的に。火と山、火と磐、、、つまり、、、
火山
とか
溶岩
とか!
このあたり、火山や地震が多い日本列島ならではの結びつき方をしてるのかも知れませんね。ロマン発生地帯でもあります。
詳細は各段の解説エントリをチェック。
まとめます。
火神「軻遇突智」を斬断することで様々な神が化成する。
- 斬断した体の各部から
- 斬断した剣から滴る血から
火神に設定されてる猛烈な神威を根拠・背景として、同じく猛烈な神々が化成。
特に重要なのは、国譲り神話で活躍する「経津主神 」「 武甕槌神」。この二神のもつ神威の根拠が火神にあること、しっかりチェック。
猛烈な神からは、猛烈な神が誕生する
てことで、ここで誕生した神を祖として持つ子孫らが国譲りで活躍する流れにつながっていく。
軻遇突智の祭られている代表的な神社
花窟神社(三重県熊野市)
「花窟神社」は三重県熊野市にある神社。『日本書紀』第五段〔一書5〕の伝承地でもあり、境内には、「軻遇突智」と向かい合わせになるように「伊奘冉尊」も祀られてます。
必読:花窟神社|伊奘冉尊の鎮魂祭祀の場!高さ45mの巨岩が必要な理由を日本神話からご紹介!!
愛宕神社(京都府京都市)
全国に約900社ある愛宕神社の総本社。御祭神は、『日本書紀』第五段〔一書2〕関連の神様がた。若宮には「軻遇突智」も祀られてます。火伏せ・防火の神様として知られ「火迺要慎」と書かれた「火伏札」は京都の一般家庭の台所とか飲食店の厨房とかに貼られてます。
愛宕神社(東京都港区)
東京都心ど真ん中。森ビルがそびえるすぐそば、愛宕山の山頂に鎮座。御祭神は「火産霊」。京都の愛宕神社が総本社。 防火・防災に霊験のある神社として知られます。「出世の階段」が有名ですね。
秋葉山本宮秋葉神社(静岡県浜松市)
静岡県浜松市の赤石山脈の南端。標高866mの秋葉山の山頂付近にある神社です。祭神は「火之迦具土大神」。日本全国に約400社あるとされる秋葉神社の起源になった神社です。
火男火売神社(大分県別府市)
別府市にある鶴見岳の山頂にある上宮(奥宮)、中腹付近の中宮、麓付近の下宮の3宮体制。御祭神は、「火之加具土命」、「火焼速女命」他。つまり、「軻遇突智」が男神と女神に分化。神体山の鶴見岳の山頂2つを、男女二柱の神として神格化したものだそうです。
まとめ
「軻遇突智」とは、日本神話に登場する火神。
その誕生の瞬間から、
神話史上初の「神殺し&母親殺し」をやってのける猛烈な神として位置づけられてます。
火は神をも殺す力がある、
ということで、ほんとモーレツ、、
「軻遇突智」が登場するのは、『日本書紀』第五段。第五段の〔一書3〕〔一書4〕〔一書6〕〔一書7〕〔一書8〕と、複数の伝承をまたがって登場。結構重要な位置づけ。
【第五段】
〔一書2〕 | 軻遇突智誕生、伊奘冉尊殺し、埴山姫を娶って、稚産霊を産む |
〔一書3〕 | 火産霊として誕生 |
〔一書4〕 | 軻遇突智として誕生 |
〔一書6〕 | 軻遇突智として誕生、伊奘冉尊殺し、伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名無し)、血から神化成 |
〔一書7〕 | 伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名あり)、血から神化成 |
〔一書8〕 | 伊奘諾尊による五段に斬断→神化成(五山祇)、血が石や礫、樹や草を染める |
大きく、
- 〔一書2〕~〔一書4〕が誕生と神殺しの神話
- 〔一書4〕~〔一書8〕が斬断とそこからの神化成の神話
といった形で整理できます。
「軻遇突智」にまつわる神話としては、大きく2つ。
- 誕生と神殺し(親殺し)
- 斬断と神の化成
1つめの、誕生と神殺しにおける「軻遇突智」は
日本神話史上初の神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、、、という設定をもとに、
- 卑の連続出産という悪循環を止める
- 人間の生活必需品誕生のきっかけをつくる
といった2点に集約されます。
火神ならではの役目で、そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてます。
- 良くない物事を断ち切る、浄化する
- 土と結びつき、蚕(衣)と五穀(食)生育の土台をつくる
2つ目は、
火神「軻遇突智」を斬断することで様々な神が化成する。
- 斬断した体の各部から
- 斬断した剣から滴る血から
火神に設定されてる猛烈な神威を根拠・背景として、同じく猛烈な神々が化成。
特に重要なのは、国譲り神話で活躍する「経津主神 」「 武甕槌神」。この二神のもつ神威の根拠が火神にあること、しっかりチェック。
コチラも是非!日本神話の流れに沿って分かりやすくまとめてます!
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