軻遇突智(かぐつち)|神話史上初の神殺し&母親殺し!火神「軻遇突智」を日本神話をもとに徹底解説!

軻遇突智

 

「軻遇突智かぐつち」とは、日本神話に登場する火神ひのかみ。

その誕生の瞬間から、
神話史上初の「神殺し&母親殺し」をやってのける猛烈な神として位置づけられてます。

火は神をも殺す力がある、

って事。モーレツです。

『日本書紀にほんしょき』では、「軻遇突智かぐつち」「火産霊ほむすび」と表記。

『古事記こじき』では、「火之夜藝速男神ひのやぎはやをのかみ」・「火之炫毘古神ひのかがびこのかみ」・「火之迦具土神ひのかぐつちのかみ(加具土命)」と表記。

名称はいろいろありますが、非常に強い神威しんいを持つ火神ひのかみ、という性質は共通。

今回は、そんな火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」について日本神話文献をもとに徹底解説していきます。

 

本記事の独自性

  • 日本神話全体の流れや構造を解き明かしながら解説。他には無い分かりやすい記事です
  • 現代語訳のほか原文も掲載。日本神話編纂当時の雰囲気を感じてもらえます
  • 登場する神様や重要ワードへのリンク付き。より深く知りたい方にもオススメです

 

軻遇突智(かぐつち)|神話史上初の神殺し&母親殺し!火神「軻遇突智」を日本神話をもとに徹底解説!

『日本書紀』における「軻遇突智」の登場箇所

まずは、

火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」がどこで登場するのか?

発生場所を確認。正史『日本書紀にほんしょき』からお届けです。あとで『古事記こじき』もね。

『日本書紀にほんしょき』は、本伝とは別に、様々な異伝併載スタイル。

これにともない、「軻遇突智かぐつち」の誕生経緯やアフターについても、複数の伝承が存在。このあたりの事情とか、日本神話の豊かさについてはコチラで↓

で、

実際に、「軻遇突智かぐつち」が登場するのは、第五段。

第五段〔一書2〕で誕生し、第五段の〔一書3〕〔一書4〕〔一書6〕〔一書7〕〔一書8〕と、複数の伝承をまたがって登場。結構重要な位置づけです。

「軻遇突智かぐつち」から見た描かれ方を整理してみるとこんな感じ。

【第五段】

〔一書2〕 軻遇突智誕生、伊奘冉尊殺し、埴山姫はにやまひめを娶って、稚産霊わくむすひを産む
〔一書3〕 火産霊ほむすびとして誕生
〔一書4〕 軻遇突智として誕生
〔一書6〕 軻遇突智として誕生、伊奘冉尊殺し、伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名無し)、血から神化成
〔一書7〕 伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名あり)、血から神化成
〔一書8〕 伊奘諾尊による五段に斬断→神化成(五山祇)、血が石や礫、樹や草を染める

大きく、

  • 〔一書2〕~〔一書4〕が誕生と神殺しの神話
  • 〔一書4〕~〔一書8〕が斬断ざんだんとそこからの神化成かせいの神話

まーいろいろな生まれ方をしてるし、斬断ざんだんされてるし、神を産む元になってるし。

そう、

「軻遇突智かぐつち」にまつわる神話としては、大きく2つで。

  1. 誕生と神殺し(親殺し)
  2. 斬断ざんだんと神の化成かせい

が二大テーマ。

なので、以下、この2つの枠組み、テーマをもとに「軻遇突智かぐつち」とは何か?をお届けしていきます。

 

軻遇突智の誕生経緯

まずは、1つ目。

誕生と神殺し(親殺し)

そう、火神ひのかみは誕生の瞬間に、神話史上初の神殺し(親殺し)をしでかす、とんでもない神。

さっそく現場をチェック。

「軻遇突智かぐつち」初登場は
『日本書紀』巻一(神代上)の第五段〔一書2〕。

その前に、

第五段のテーマは「天下之主者あめしたのしゅしゃ生み(神生かみうみ)」であること、しっかりチェック。

『日本書紀』第五段

神話全体の流れの中で読み解きましょう。

で、

経緯としては、

「尊そん」としての位置づけである「日」と「月」は既に生まれていて、
次いで、「卑ひ」としての位置づけである「蛭児ひるこ」「素戔嗚尊すさのおのみこと」が誕生、最後に「軻遇突智かぐつち」が生まれる流れ。

日本神話的な易の考え方

ポイントは、

「卑ひ」の連続出産、良くなーい流れがあり、

これは、伊奘冉いざなみが火神ひのかみによって焦やかれ終わることでようやく止められるってこと。

 ある書はこう伝えている。日と月は既に生まれた。次に蛭児ひるこを産んだ。この子は三年経っても足腰が立たなかった。

 これは初めに、伊奘諾いざなき・伊奘冉尊いざなみのみことが御柱を巡った時に、陰神いんしんが先に喜びの言葉を発したからである。陰陽の原理に背いてしまったのだ。そのせいで今、蛭児ひるこが生まれた。

 次に素戔鳴尊すさのをのみことが生まれた。この神は、神としての性質が悪く、常に哭いて怒りを露あらわにしてばかりいた。それで国の民がたくさん若死にし、青々とした山は枯れた。そのため父母は、「もしお前がこの国を治めたならば、必ず多くの人々を殺し傷つけるだろう。だからお前はここから遠く離れた根国を治めよ」と命じた。

 次に鳥磐櫲樟橡船とりのいはくすぶねを産んだ。この船に蛭児ひるこを乗せ、流れにまかせ棄てた。

 次に、火神 軻遇突智かぐつちを産んだ。しかし、伊奘冉尊はこの時、軻遇突智の火に焼かれ終かむさった。その、まさに臨終する間、倒れ臥し糞尿を垂れ流し、土神 埴山姫はにやまひめと 水神 罔象女みつはのめを 産んだ。

 そこで 軻遇突智かぐつちは埴山姫はにやまひめを娶めとって、稚産霊わくむすひを産んだ。この神の頭の上に、蚕かいこと桑くわが生じた。また、臍へその中に五穀が生じた。

 一書曰。日月既生。次生蛭児。此児年満三歳、脚尚不立。初伊奘諾・伊奘冉尊、巡柱之時。陰神先発喜言。既違陰陽之理。所以今生蛭児。次生素戔鳴尊。此神性悪。常好哭恚。国民多死。青山為枯。故其父母勅曰。仮使汝治此国。必多所残傷。故汝可以馭極遠之根国。次生鳥磐櫲樟橡船。輙以此船載蛭児、順流放棄。次生火神軻遇突智。時伊奘冉尊、為軻遇突智、所焦而終矣。其且終之間。臥生土神埴山姫及水神罔象女。即軻遇突智娶埴山姫、生稚産霊。此神頭上生蚕与桑。臍中生五穀。 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書2〕より)

と、

我らが「軻遇突智かぐつち」誕生のポイントは、

  1. 蛭児ひるこ、素戔嗚すさのおと、卑ひの誕生が続いていた中での誕生だった
  2. 卑ひの連続出産は、母体である伊奘冉いざなみの死によって止められた
  3. 卑ひの流れが止まり、火が土と結婚し出産、「蚕かいこ」と「五穀ごこく」が発生した

の3点。

主な役目としては、

神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、という設定をもとに、

  • 卑ひの連続出産という悪循環を止める
  • 人間の生活必需品 誕生のきっかけをつくる

といった2点に集約されます。

いずれも、
火神ひのかみならではの役目であり、
そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてる感じ。

  • 良くない物事を断ち切る、浄化じょうかする
  • 土と結びつき、蚕かいこ(衣)と五穀ごこく(食)生育の土台をつくる

と。

1つ目の、断ち切るとか浄化じょうかするとかいった役割は、例えば、第九段の火中出産の例でも使用されていきます。

2つ目の、蚕かいこや五穀ごこく誕生経緯は、同じ第五段〔一書11〕へ繋がっていきます。

つまり、

「軻遇突智かぐつち」誕生時の役割は、ココだけの話ではなく、後の伝承につながっていくって事。逆に言うと、ココで設定されてる役割があるからこそ、後の伝承で活きてくるわけですね。

このほか、

誕生にかかわる伝承として3つ、さらっとご紹介。

伊奘冉尊は火産霊ほむすびを産む時に、子のために焼かれ神退かむさった。(伊奘冉尊生火産霊時。為子所焦而神退矣。)〔一書3〕

伊奘冉尊は火神 軻遇突智かぐつちを産もうとした時に、その火の熱に悶絶懊悩した。それにより嘔吐した。これが神に化成した。(伊奘冉尊且生火神軻遇突智之時。悶熱懊悩。因為吐。此化為神。)〔一書4〕

その火神ひのかみの軻遇突智かぐつちが生まれるに至って、その母の伊奘冉尊は焦やかれ、化去かむさった。〔一書6〕

いずれも、

誕生の瞬間に、神話史上初の神殺し(親殺し)をしでかす神として描かれています。

まとめます。

火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」誕生時のポイント

日本神話史上初の神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、、、という設定をもとに、

  • 卑ひの連続出産という悪循環を止める
  • 人間の生活必需品誕生のきっかけをつくる

といった2点に集約される。

いずれも、火神ひのかみならではの役目であり、そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてる。

  • 良くない物事を断ち切る、浄化じょうかする
  • 土と結びつき、蚕かいこ(衣)と五穀ごこく(食)生育の土台をつくる

ココで設定された役割は、後段へつながっていく。

 

軻遇突智の斬断と神の化成

誕生経緯から、火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」の位置づけをチェックしてきましたが、

次は、2つ目のテーマ。

斬断ざんだんと神の化成かせい

コレ、

簡単に言うと、「猛烈な神からは、猛烈な神が誕生する」という内容です。

『日本書紀にほんしょき』第五段〔一書6〕からお届け。

話の流れ的には、先ほどの火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」誕生の続き。

愛する妻を殺された旦那が、息子に復讐するの巻。

そして、親父に斬殺ざんさつされてしまう息子の巻。、。と、神様世界は結構スゴイ、、、、

 遂に、(伊奘諾尊いざなきのみことは)帯びていた十握剣とつかのつるぎを抜き、軻遇突智かぐつちを三段に斬きった。それぞれ化してその各部分が神と成った。また剣の刃から滴したたる血は、天安河辺あまのやすのかはらにある五百箇磐石いほついはむらと成った。これが経津主神ふつぬしのかみの祖おやである。また、剣の鐔つばから滴る血がほとばしって神と成った。名付けて甕速日神みかはやひのかみと言う。次に熯速日神ひのはやひのかみ。その甕速日神は武甕槌神たけみかづちのかみの祖おやである。(または、甕速日命みかはやひのかみ、次に熯速日命ひのはやひのみこと、次に武甕槌神たけみかづちのかみと言う。)また、剣の先から滴る血がほとばしって神と成った。名付けて磐裂神いはさくのかみと言う。次に根裂神ねさくのかみ。次に磐筒男命いはつつのをのみこと。(一説には磐筒男命いはつつのをのみことと磐筒女命いはつつのめのみことと言う。)また、剣の柄つかから滴る血がほとばしって神と成った。名付けて闇龗くらおかみと言う。次に闇山祇くらやまつみ。次に闇罔象くらみつは。

 遂抜所帶十握劒 斬軻遇突智爲三段 此各化成神也 復劒刃垂血 是爲天安河邊所在五百箇磐石也 即此經津主神之祖矣 復劒鐔垂血 激越爲神 號曰甕速日神 次熯速日神 其甕速日神 是武甕槌神之祖也 亦曰甕速日命 次熯速日命 次武甕槌神 復劒鋒垂血 激越爲神 號曰磐裂神 次根裂神 次磐筒男命 一云 磐筒男命及磐筒女命 復劒頭垂血 激越爲神 號曰闇龗 次闇山祇 次闇罔象 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書6〕より)

と。

ポイントは3つ。

  • 火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」を斬断ざんだんすることで神が化成かせい。①斬断ざんだんした体の各部から+②斬断ざんだんした剣つるぎから滴したたる血から。
  • ①:〔一書6〕では「軻遇突智かぐつちを三段に斬きった。それぞれ化してその各部分が神と成った。」とは言うものの、具体的な神名しんめいは無し。(次の伝承〔一書7〕で具体的に伝えます)
  • ②:剣つるぎの刃や鐔つば、先から滴したたる火神ひのかみの血から神が化成かせいする。これは具体的な神名しんめいアリ。

ということで、

②について、整理してみましょう。

どこから・なにから? どんな神が? それって、、、
剣つるぎの刃から滴したたる血 五百箇磐石いほついはむら 経津主神ふつぬしのかみの祖おやです
剣つるぎの鐔つばから滴る血がほとばしって、、、 甕速日神みかはやひのかみ。
次に、熯速日神ひのはやひのかみ。
武甕槌神たけみかづちのかみの祖おやです
ー
剣つるぎの先から滴る血がほとばしって、、、 磐裂神いはさくのかみ
次に、根裂神ねさくのかみ
次に、磐筒男命いはつつのをのみこと
ー
ー
ー
剣つるぎの柄つかから滴る血がほとばしって、、、
闇龗くらおかみ
次に、闇山祇くらやまつみ
次に、闇罔象くらみつは
ー
ー
ー

と。

で、ポイントは、一番右「それって、、、」の欄。

「経津主神ふつぬしのかみの祖おやです」「武甕槌神たけみかづちのかみの祖おやです」

と。つまり、

  • 五百箇磐石いほついはむらは、経津主神ふつぬしのかみの祖おや
  • 甕速日神みかはやひのかみは、武甕槌神たけみかづちのかみの祖おや

で、ココでの重要事項は、誕生した磐石や神以上に、それらを祖おやとして持つ神であります。

それが

経津主神ふつぬしのかみ と 武甕槌神たけみかづちのかみ。。。

こ、コレは、、、、

そう

国譲くにゆずり神話!

国譲くにゆずり神話で活躍する二神にしんをココで伝えてる。

国譲くにゆずり神話、、、

葦原中国あしはらのなかつくに(地上世界)平定した大己貴命おおなむち。そのめちゃくちゃ強大な神に対して、高天原たかあまのはら側は国を譲ゆずれと迫る、、、コレ、大己貴命おおなむちと同等か、それ以上の、よほど強力な神威しんいをもった神でないと無理でしょ。。。の巻。

そこで、登場するのが、
経津主神ふつぬしのかみ と 武甕槌神たけみかづちのかみ。

この「経武ふつたけコンビ」が、高天原たかあまのはら側の代表として、そして、「ネゴシエーター(交渉人)」として派遣される訳です。

つまり、

この「経武ふつたけコンビ」は、大己貴命おおなむちと同等か、それ以上の強力な神威しんいをもった神として位置づけられてる、って事ですよね。

それもこれも、すべて、「火神ひのかみの血から、その血がほとばしるところから誕生した磐石や神を祖おやにもつ」から、てこと。

この背景設定はしっかりチェックされてください。

これは別の言い方をすると、

猛烈な神からは、
猛烈な神が誕生する。

てことでもあって、

後の展開で登場する抜き差しならぬシーンにむけた前フリ、布石として、ココ〔一書6〕が位置づけられてるんですね。

非常に緻密に練られた神話構造。古代日本人の創意工夫、構想力がスゴすぎて震える。。。

火

恐るべし。。。

その他の伝承、〔一書7〕〔一書8〕は以下のとおり。

斬断ざんだんした体の各部+斬断ざんだんした剣つるぎから滴したたる血

という枠組みをもとに差違化展開。

 ある書はこう伝えている。伊奘諾尊は剣つるぎを抜き軻遇突智かぐつちを斬り、三つに刻んだ。その内の一つは雷神いかづちのかみとなった。もう一つは大山祇神おおやまつみのかみと成り、一つは高龗たかおかみと成った。

 また別の言い伝えではこう伝えている。軻遇突智を斬った時に、その血がほとばしり、天八十河中あまのやそのかはらにあった五百箇磐石いほついはむらを染めた。それによって神が化成した。名付けて磐裂神いはさくのかみと言う。次に根裂神ねさくのかみ、次に磐筒男神いはつつのをのかみ、次に磐筒女神いはつつのめのかみ、そして経津主神ふつぬしのかみ。 

一書曰。伊奘諾尊。抜剣斬軻遇突智、為三段。其一段是為雷神。一段是為大山祇神。一段是為高龗。又曰。斬軻遇突智時。其血激越、染於天八十河中所在五百箇磐石。而因化成神。号曰磐裂神。次根裂神。児磐筒男神。次磐筒女神。児経津主神。 (『日本書紀』巻一(神代上)第五段〔一書7〕より)

そして、もう一つ。

 ある書はこう伝えている。伊奘諾尊は軻遇突智命を斬り、五つにばらした。これがそれぞれ五つの山祇やまつみに化成した。一つは首で大山祇おほやまつみと成った。二つは身体で中山祇なかやまつみと成った。三つは手で麓山祇はやまつみと成った。四つは腰で正勝山祇まさか やまつみと成った。五つは足で䨄山祇しぎやまつみと成った。

 この時、斬った血がほとばしり流れ、石や礫、樹や草を染めた。これが草木や砂礫がそれ自体に火を含み燃えるようになった由縁である。

一書曰。伊奘諾尊斬軻遇突智命、為五段。此各化成五山祇。一則首、化為大山祇。二則身中、化為中山祇。三則手、化為麓山祇。四則腰、化為正勝山祇。五則足、化為䨄山祇。是時斬血激灑、染於石礫樹草。此草木・沙石自含火之縁也。(『日本書紀』巻第一(神代上)第五段〔一書8〕より)

〔一書7〕は、3段に斬きる。〔一書8〕は5段に斬きる、、、

いいのか?こんなんで。。

このあたりを整理してまとめてみる。

  〔一書6〕 〔一書7〕 〔一書8〕
斬断した体の各部分 3段
ー不明ー
3段
雷神、大山祇神、高龗
5段
首:大山祇。身中:中山祇。手:麓山祇。腰:正勝山祇。足:䨄山祇。
斬断した血 五百箇磐石、甕速日神、熯速日神、磐裂神、根裂神、磐筒男命、闇龗、闇山祇、闇罔象 磐裂神、根裂神、磐筒男神、磐筒女神、経津主神。 染於石礫樹草。此草木・沙石自含火之縁也

なんか、、、

山とか磐いわとかが多いよね。全体的に。火と山、火と磐いわ、、、つまり、、、

火山

とか

溶岩

とか!

このあたり、火山や地震が多い日本列島ならではの結びつき方をしてるのかも知れませんね。ロマン発生地帯でもあります。

詳細は各段の解説エントリをチェック。

まとめます。

火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」段斬と神の化成かせいのポイント

火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」を斬断ざんだんすることで様々な神が化成かせいする。

  1. 斬断ざんだんした体の各部から
  2. 斬断ざんだんした剣つるぎから滴したたる血から

火神ひのかみに設定されてる猛烈な神威しんいを根拠・背景として、同じく猛烈な神々が化成かせい。

特に重要なのは、国譲くにゆずり神話で活躍する「経津主神ふつぬしのかみ 」「 武甕槌神たけみかづちのかみ」。この二神にしんのもつ神威しんいの根拠が火神ひのかみにあること、しっかりチェック。

猛烈な神からは、猛烈な神が誕生する

てことで、ここで誕生した神を祖おやとして持つ子孫らが国譲くにゆずりで活躍する流れにつながっていく。

 

軻遇突智の祭られている代表的な神社

花窟神社(三重県熊野市)

花窟神社 (25)

「花窟はなのいわや神社じんじゃ」は三重みえ県熊野くまの市にある神社。『日本書紀にほんしょき』第五段〔一書5〕の伝承地でもあり、境内けいだいには、「軻遇突智かぐつち」と向かい合わせになるように「伊奘冉尊いざなみのみこと」も祀まつられてます。

必読:花窟神社|伊奘冉尊の鎮魂祭祀の場!高さ45mの巨岩が必要な理由を日本神話からご紹介!!

愛宕あたご神社(京都府京都市)

全国に約900社ある愛宕神社あたごじんじゃの総本社ぞうほんじゃ。御祭神ごさいじんは、『日本書紀にほんしょき』第五段〔一書2〕関連の神様がた。若宮わかみやには「軻遇突智かぐつち」も祀まつられてます。火伏ひぶせ・防火の神様として知られ「火迺要慎ひのようじん」と書かれた「火伏札ひぶせふだ」は京都きょうとの一般家庭の台所とか飲食店の厨房とかに貼られてます。

愛宕神社(東京都港区)

東京とうきょう都心ど真ん中。森ビルがそびえるすぐそば、愛宕山あたごやまの山頂に鎮座ちんざ。御祭神ごさいじんは「火産霊ほむすび」。京都きょうとの愛宕神社あたごじんじゃが総本社そうほんじゃ。 防火・防災に霊験のある神社として知られます。「出世の階段」が有名ですね。

秋葉山本宮秋葉神社(静岡県浜松市)

秋葉山本宮秋葉神社

静岡しずおか県浜松はままつ市の赤石山脈あかいしさんみゃくの南端。標高866mの秋葉山あきはさんの山頂付近にある神社です。祭神さいじんは「火之迦具土大神ひのかぐつちのおおかみ」。日本全国に約400社あるとされる秋葉神社あきはじんじゃの起源になった神社です。

火男火売ほのおほのめ神社(大分県別府市)

火男火売神社

別府べっぷ市にある鶴見岳つるみだけの山頂にある上宮かみのみや(奥宮おくみや)、中腹付近の中宮なかのみや、麓ふもと付近の下宮しものみやの3宮体制。御祭神ごさいじんは、「火之加具土命ほのかぐつちのみこと」、「火焼速女命ひやきはやめのみこと」他。つまり、「軻遇突智かぐつち」が男神と女神に分化。神体山しんたいさんの鶴見岳つるみだけの山頂2つを、男女二柱ふたはしらの神として神格化したものだそうです。

 

まとめ

「軻遇突智かぐつち」とは、日本神話に登場する火神ひのかみ。

その誕生の瞬間から、
神話史上初の「神殺し&母親殺し」をやってのける猛烈な神として位置づけられてます。

火は神をも殺す力がある、

ということで、ほんとモーレツ、、

「軻遇突智かぐつち」が登場するのは、『日本書紀にほんしょき』第五段。第五段の〔一書3〕〔一書4〕〔一書6〕〔一書7〕〔一書8〕と、複数の伝承をまたがって登場。結構重要な位置づけ。

【第五段】

〔一書2〕 軻遇突智誕生、伊奘冉尊殺し、埴山姫はにやまひめを娶って、稚産霊わくむすひを産む
〔一書3〕 火産霊ほむすびとして誕生
〔一書4〕 軻遇突智として誕生
〔一書6〕 軻遇突智として誕生、伊奘冉尊殺し、伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名無し)、血から神化成
〔一書7〕 伊奘諾尊による三段に斬断→神化成(神名あり)、血から神化成
〔一書8〕 伊奘諾尊による五段に斬断→神化成(五山祇)、血が石や礫、樹や草を染める

大きく、

  • 〔一書2〕~〔一書4〕が誕生と神殺しの神話
  • 〔一書4〕~〔一書8〕が斬断ざんだんとそこからの神化成かせいの神話

といった形で整理できます。

「軻遇突智かぐつち」にまつわる神話としては、大きく2つ。

  1. 誕生と神殺し(親殺し)
  2. 斬断ざんだんと神の化成かせい

1つめの、誕生と神殺しにおける「軻遇突智かぐつち」は

日本神話史上初の神殺し&親殺しをやってのける猛烈な神、、、という設定をもとに、

  • 卑ひの連続出産という悪循環を止める
  • 人間の生活必需品誕生のきっかけをつくる

といった2点に集約されます。

火神ひのかみならではの役目で、そこには古代日本人の世界観や精神性が表れてます。

  • 良くない物事を断ち切る、浄化じょうかする
  • 土と結びつき、蚕かいこ(衣)と五穀ごこく(食)生育の土台をつくる

2つ目は、

火神ひのかみ「軻遇突智かぐつち」を斬断ざんだんすることで様々な神が化成かせいする。

  1. 斬断ざんだんした体の各部から
  2. 斬断ざんだんした剣つるぎから滴したたる血から

火神ひのかみに設定されてる猛烈な神威しんいを根拠・背景として、同じく猛烈な神々が化成かせい。

特に重要なのは、国譲くにゆずり神話で活躍する「経津主神ふつぬしのかみ 」「 武甕槌神たけみかづちのかみ」。この二神にしんのもつ神威しんいの根拠が火神ひのかみにあること、しっかりチェック。

 

コチラも是非!日本神話の流れに沿って分かりやすくまとめてます!

日本神話の神様一覧|『古事記』をもとに日本神話に登場し活躍する神様を一覧にしてまとめ!

 



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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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