常世国とは、海上遥か彼方にある理想郷。
日本神話に登場する異界の一つで、不老長寿を象徴。日本神話的には、多分、現在の三重県熊野灘のはるか向こう。
今回は、そんな「常世の国」について日本神話視点でお届けいたします。
常世の国とは?海上遥か彼方にある理想郷!日本神話的「常世國」を徹底解説!
常世国とは?
「常世國」とはどんなところか?
比較的、具体的に記述されているのが、『日本書紀』垂仁天皇条。このお方、第11代の天皇で140歳まで生きたとか生きなかったとか。。
晩年、天皇は田道間守に、常世國に行って「非時香菓」をとってくるように命じます。
「非時香菓」とは「橘」のこと、つまりミカン。「不老長寿の実」として位置づけられていたようです。
- 天皇は知っていた。常世國があることを。
- そこには不老長寿の実である「非時香菓」がある。
- これを食べる事で永遠の命を。。。???
といった感じで、歴史の記述ながら、かなり神ってます。
その伝承現場がコチラ。
『日本書紀』巻六 垂仁天皇条
九十年の春二月の庚子の朔、天皇、田道間守に命せて、常世國に遣して、非時香菓を求めしむ。香菓、此をば箇倶能未と云ふ。今橘と謂ふは是なり。
九十九年秋七月の戊午の朔、天皇、纏向宮に崩りましぬ、時に年百四十歲。
冬十二月の癸卯の朔壬子に、菅原伏見の陵に葬りまつる。
明年の春三月の辛未の朔 壬午に 田道間守 常世國より至れり。則ち賚る物なるは、非時香菓八竿八縵。田道間守、是に、泣き悲歎きて曰す、「命を天朝に受りて、遠く、絶域に往り、萬里浪を蹈みて、遥に弱水を度る。是の常世國は、神仙の秘區、俗の臻らむ所に非ず。是を以て、往來ふ間に、自づからに十年に經りぬ。豈期ひきや、獨峻き瀾を凌ぎて、更本土に向むといふことを。然るに、聖帝の神靈に頼りて、僅に還り來ることを得たり。今天皇既に崩りましぬ、復命すこと得ず。臣生けりといえども、亦何の益かあらむ。」乃ち天皇之陵に向りて、叫び哭きて自ら死れり。群臣聞きて皆淚を流す。田道間守は、三宅連の始祖なり。
九十年春二月庚子朔、天皇命田道間守、遣常世國、令求非時香菓。香菓、此云箇倶能未。今謂橘是也。
九十九年秋七月戊午朔、天皇崩於纏向宮、時年百卌歲。冬十二月癸卯朔壬子、葬於菅原伏見陵。
明年春三月辛未朔壬午、田道間守至自常世國、則齎物也、非時香菓八竿八縵焉。田道間守、於是、泣悲歎之曰「受命天朝、遠往絶域、萬里蹈浪、遙度弱水。是常世國、則神仙祕區、俗非所臻。是以、往來之間、自經十年、豈期、獨凌峻瀾、更向本土乎。然、頼聖帝之神靈、僅得還來。今天皇既崩、不得復命、臣雖生之、亦何益矣。」乃向天皇之陵、叫哭而自死之、群臣聞皆流淚也。田道間守、是三宅連之始祖也。![]()
ということで。「常世國」のことが比較的詳しく記述されてる箇所でした。
先にポイントとなる語句解説を。
常世の国から持って帰ってきた「非時香菓八竿八縵」について。
これは、非時香菓が「八竿八縵」なので、たくさんの竿、つまり串刺し団子のような感じで串に刺した形のもの、&たくさんの縵、つまり干し柿のような感じでミカンを縄で括り付けた形のもの。
つまり、「ミカンをたくさんの串に刺した形のもの&たくさんのミカンを縄で括り付けた形のもの」のようです。常世の国の名産品???
常世の国へ渡るときに通る「弱水」について。
これは、鳥の毛すら浮いてしまうくらい比重がめちゃくちゃ軽い特別ゾーンのこと。漢籍『玄中記』には「崑崙には弱水があり、鳥の毛すら載せられない(有崑崙之弱水、鴻毛不能載)」と伝えます。フツーでは渡れない超特殊ゾーンであります。
さて、
この伝承から言えるのは以下。
- 田道間守を常世國へ派遣して「非時香菓」を求めさせた。
- 10年後、ようやく帰還。その時、持って帰ってきたのは、非時香菓八竿八縵。
- 常世國は海上の絶域にあり、多くの波を越え、さらに遥な弱水を渡る。
- しかも、神仙の「秘區」であって、フツーの人が行けるような場所じゃない
- 往復で10年かかる、遠いだけかもしれんけど、もしかすると流れる時間速度も違うかも
ロマンだよね。
スゲーロマンだ。まずはこの世界観をしっかりチェック。
日本神話における常世國とは?
常世の国のイメージをチェックしたところで、
ココからは、実際に日本神話で登場する「常世國」をご紹介。ココから神話世界でどのような設定になっていたかを読み解きます。
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