大八洲国/大八島国|八つの洲を一括して国化!儀礼を通じて誕生した神聖な日本の国土

大八洲国

 

大八洲国おおやしまぐに/大八島国」とは、日本神話で伝える、「日本」の国土のこと。『日本書紀にほんしょき』では「大八洲国おおやしまぐに」、『古事記こじき』では「大八島国」と伝えます。

コレ、同じ「日本」のことなんですが、

「国」っていう漢字が使われてますが、、

国ではございません。

なぜなら、国民も主権も無い状態だから。

国を構成する三要件「領土、国民、主権」のうち、二要件無し。だから、国です!とは言えない。。。

正確に言うと、まだ日本ではない、まだ国ではない、というニュアンス。

将来的には日本の国土になる土台。国前段の原始日本。

それは例えば、地球が誕生するころ「原始地球」と呼ばれ、火の玉状態だったとされてますが、それと同じような概念です。

国生み神話。伊奘諾尊いざなきのみこと伊奘冉尊いざなみのみことが結婚して産んだと伝える「しま/島」が八つ。一つのまとまりとして「洲国くに/国」と名付けられた。それだけの状態。やはり国では無い。

なので、定義としては、

大八洲国おおやしまぐに/大八島国」とは、
日本神話で伝える、(将来的には)日本の国土になっていく土台のこと。

といった形になります。日本神話の最初の方で誕生するので、ココから神話が様々に展開する中で、国民も誕生するし、統治者(≑主権)も誕生していく訳ですね。

今回は、そんな「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」について徹底的に解説をしていきます。

 

大八洲国/大八島国|八つの洲を一括して国化!儀礼を通じて誕生した神聖な日本の国土

大八洲国/大八島国 誕生の時代背景

まずは、「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」誕生の時代背景をチェック。

ココから「大八洲国おおやしまぐに」誕生に込められた深~い意図・背景を読み解きます。本件『日本書紀にほんしょき』をもとに解説。

大八洲国おおやしまぐに誕生の時代背景。

それは、

  • みちの働きによる誕生(化生かせい)から
  • 男女の性の働きによる誕生(出産)へ
  • 神話的大転換発生のタイミングだった

ってこと。

大転換、つまり天地がひっくり返るくらいの革命的イベント発生中のこと。。。

すでに意味不明の方が出現してるかと思いますので、詳しくはコチラを先にチェック。

●必読→ 『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝 ~聖婚、洲国生み~

みちの働き?何のこっちゃ?はコチラ↓

●必読→ 日本神話的易の概念|二項対立の 根源とその働き によって 宇宙はつくられ 動いている

で、

ポイントは、

みちの働きは自動詞、男女の出産は他動詞、全然違う世界。

勝手に生まれるのと、コイツを生む、っていう根本的違い。

自動詞的自然発生的必然的「化生かせい」方法には失敗はない。予定調和というか、必然しかありません。純男神の誕生も、男女対耦神の誕生も、その順番も、すべては必然。そのように成るべくして成った神々であります。

一方の、他動詞的意図を持って行為に及んでからの偶然的「出産」方法は、思い通りにならない場合あり。出産ってそういうもの。生まれてくる子供の性質や性格やいろんなもの全て含めて親として受けとめていく訳で。全ては偶然。そのように成るかもしれないし成らないかもしれない。

これら二つの世界の違い、
お分かりいただけますでしょうか?

そして、全く別の世界から別の世界への大転換。そのインパクトの大きさも、是非感じていただきたい!

  • みちの働きによる誕生(化生かせい)から
  • 男女の性の働きによる誕生(出産)へ
  • 神話的大転換の中で大八洲国おおやしまぐにが誕生する

この時代背景、

ビッグウェーブ来てる感、、

まずはチェックです。

 

大八洲国/大八島国 誕生経緯に込められた意図

ビッグウェーブ来てるよ。。その上で、

大八洲国おおやしまぐに/大八島国」がどのように誕生したのか?

具体的な経緯を、誕生の枠組みをチェック。その後で現場へ。本件も引き続き『日本書紀にほんしょき』から。

大八洲国おおやしまぐに誕生における最大のポイントは、

儀礼を通じて誕生する

ってこと。

儀礼とは、正式な手続きにのっとった結婚儀礼の事。

コレって、つまり、

結果ではなくプロセスが大事だってことすね。「大八洲国おおやしまぐに」はあくまで結果。重要なのは誕生のプロセス。前置き長くてすみません。

ココでいう手順とは、

  1. 左旋右旋させんうせん
  2. 先唱後和せんしょうこうわ
  3. 身体問答しんたいもんどう
  4. 交合結婚こうごうけっこん

のこと。

そして、ルールとは

尊卑先後そんぴせんごの序」に基づく「陽主導」であること。

これらの手順、ルール、手続きにのっとることで、、、どうなるか?

それは、その結婚自体が正当なものになる、そしてなにより、結婚によって生まれてくる子(つまり日本の国土)の正当性が担保される、ってこと。そらそうだ、そのへんでテキトーにヤッてデキちゃいました。。では正当性もクソもないだろう。

きちんとした手続き、手順を踏むことで、そりゃスゴイねと、分かってるじゃないかと。評価をいただける訳です。誰に?世界に。神でさえ従うべき手順、ルールがあるし、それを支える原理があるんだと。ますますよく分かってるじゃないかと。

正当性の他にも伝えたいこととは、、、

産んだ子「大八洲国おおやしまぐに」は神聖な洲国くにだよ

ってこと。神聖な洲国くに。尊い洲国くに。それでこそ日本の土台たるに相応ふさわしい。

大八洲国おおやしまぐにの神聖化

それは、

日本の神聖化と同じであって、そのための仕掛けや設定になってるってことですね。

繰り返しになりますが、神聖化の根拠はズバリ、

ことわり」にのっとること。

生む当事者、当事者による生む行為、そのプロセス、すべてをことわりのっとらせる。誕生させたヤツらもスゴイ、誕生させた方法もスゴイ、マジヤバイぜスゲーぜ我らが「大八洲国おおやしまぐに」!

と。

そういうところへ着地させたい。そのための理論、ロジックがこれでもかと、てんこ盛り。創意工夫の大盛り丼。

まずはこの、一番のポイントをしっかりチェックされてください。

 

大八洲国の誕生現場 『日本書紀』『古事記』より

ということで早速、現場からお届け。

大八洲国おおやしまぐにについては、『日本書紀にほんしょき』と『古事記こじき』の2つの書に伝えてます。

両書の違いについてはコチラ

『日本書紀』についてはコチラ。

ということで、まずは日本の正史、『日本書紀にほんしょき』からお届け。

こちら、全部で⑥パターンの大八洲国おおやしまぐに像アリ。

って、

多すぎだろ

国土誕生神話を6個も持ってる、

そんな国、どこにも無いし。。、。、。多彩にも程がある!

ということで参りましょう。まずは本伝伝承から。本伝は国生みの基本、原型です。ポイントをしっかりチェック。その上で、異伝を確認していきましょう。

国生みの基本(原型)『日本書紀』第四段<本伝>

 (伊奘諾尊と伊奘冉尊は)産む時になって、まず淡路洲あはぢのしまえなとしたが、それはこころに不快なものであった。そのため「淡路洲あはぢのしま」と名付けた。こうして大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしまを産んだ。次に伊予二名洲いよのふたなのしまを産んだ。次に筑紫洲つくしのしまを産んだ。そして億歧洲おきのしま佐渡洲さどのしまを双児で産んだ。次に越洲こしのくにを産んだ。次に大洲おほしまを産んだ。そして吉備子洲きびのこしまを産んだ。これにより、はじめて八洲を総称する国の「大八洲国おほやしまぐに」の名が起こった。

 及至産時、先以淡路洲為胞。意所不快。故、名之曰淡路洲。廼生大日本豊秋津洲。次生伊予二名洲。次生筑紫洲。次双生億岐洲与佐度洲。次生越洲。次生大洲。次生吉備子洲。由是、始起大八洲国之号焉。 (『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝より一部「注」は削除)

●詳細はコチラ→ 『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝 ~聖婚、洲国生み~

さーこれから産むよ-!というときになって、淡路洲あわじのしまが既にあったんで、それをえな(膜)とした。それで出てくる胎児(ここではしまのこと)を膜で包もうとした(?)。ところが、そのえなとした淡路洲あわじのしま、二神とも、これ気持ち悪くてヤダー!ってなる。本文「不快」の言葉。胎盤の膜だから? 淡い感じでふわーっとしてズルズルした感じが気持ち悪かったんだろう? うん、多分そうだろう、でも、結局生んだ。えな(膜)も捨てたって書いてないし。気持ち悪いけどえな(膜)を使って出産したんです。それで誕生したのが大八洲国おおやしまぐに

で、

その「大八洲国おおやしまぐに」のポイントは4つ。

  • 陽神おかみ左旋させん運動踏襲。基本、左回りで生んでいく
  • 最後に8つのしまを「まとめて」大八洲国おおやしまぐにとする
  • 大八洲国おおやしまぐにの「八」は「多数」あるいは聖数を表す
  • しまと嶋の使い分け。しまは国として一括される大きさを持つ

うん、やっぱ結果じゃなくてプロセスだ。これまで散々語ってきたプロセスを経て誕生した「大八洲国おおやしまぐに」自体に語るポイントはあんま無い感、、、汗

まず1つめ。

  • 陽神の左旋運動踏襲。基本、左回りで生んでいく

一応、伊奘諾尊(陽神)と伊奘冉尊(陰神)による柱巡みはしらめぐり儀礼の直後で。子であるしまの生み方も陽神おかみ左旋させん運動を踏襲します。左優位の考え方。

『日本書紀』柱巡り

からの、、、

と。生み方にも原則的なルールがある。(あくまで現場目線で)左回りで産んでいく訳です。

聖なる洲国くにの誕生ですから当然、陽神おかみ主導の左旋させんを利用。これもチェック。

  • 最後に8つの洲を「まとめて」大八洲国とする

以下一覧。

大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしま 本州
伊予二名洲いよのふたなのしま 四国
筑紫洲つくしのしま 九州
億歧洲おきのしま 隠岐島
佐渡洲さどのしま 佐渡
越洲こしのしま 北陸道
大洲おほしま 周防国大島(山口県屋代島)
吉備子洲きびのこしま 備前児島半島(岡山県)

バラバラに生んだ「大日本豊秋津洲おおやまととよあきづしま」以下の八洲を、最後にをまとめて「大八洲国おおやしまぐに」と号する訳です。

最初から大八洲国おおやしまぐにを生んだのではなく、生んだ結果が八つのしまだったから大八洲国おおやしまぐに。ちょっとしたニュアンスの違いかもしれませんが、大事です。神聖な手続きを踏んで生まれましたから、生まれ方や数にも神聖さが表出される訳で。

これ、国名の起源説話。

  • 大八洲国の「八」は「多数」あるいは聖数を表す

そんな「八」という数字。これは多数あるいは聖数を表します。

神代紀に散見する例を他に。
八雷やくさのいかづち八色雷公やくさのいかづち)」「八十万神やそよろづのかみ」「八箇少女やたりのをとめ」「八丘八谷やをやたに」「八十木種やそこだね」「八日八夜やかやよ」「八重雲やへくも」「百不足之八十隈ももたらずやそくまで」、またあるいは「八咫鏡やたのかがみ」「八坂瓊曲玉やさかにのまがたま」など、

いずれも、「八」にちなむ例は「大八洲国おおやしまぐに」より後に登場。ココからスタート、これが起点になってるってことですね。

ちなみに、これまでの流れも再確認。

純男神三代(3)→男女神四代(4)→神世七代(7)→大八洲国(8)

といった設定で、第一段から広がりをもった数字の設定、その線上にあります。

  • 洲と嶋の使い分け。洲は国として一括される大きさを持つ

しまと嶋について。

  • しま・・・「大八洲国おおやしまぐに」として、つまり国として一括される大きさをもつ
  • 嶋・・・小島くらいの大きさ、しおの泡がり固まってできたもの

大事なのは、

明確に使い分けをしてるってこと。意図的です。やっぱ将来的に日本の国土になる訳ですから、ある程度の大きさを持つ島を「しま」として位置づけるわけですね。

ということで、

  • 陽神おかみ左旋させん運動踏襲。基本、左回りで生んでいく
  • 最後に8つのしまを「まとめて」大八洲国おおやしまぐにとする
  • 大八洲国おおやしまぐにの「八」は「多数」あるいは聖数を表す
  • しまと嶋の使い分け。しまは国として一括される大きさを持つ

以上がまずは基本形でした。

続いて、

差違化変形パターンの一書群をチェックしていきます。差違化の狙いは、多彩で豊かな日本を打ち出していくことなので、1つ1つの細かいところを何でやねん?と突っ込んでもあんまり有効な答えは返ってきません。。

まずは、一書1。続いて一書6~9を一括してお届けします。

『日本書紀』第四段<一書 第一>

 このあと、同じ宮に共に住み、子を産んだ。その子を大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしまと名付けた。次に淡路洲あはぢのしま。次に伊予二名洲いよのふたなのしま。次に筑紫洲つくしのしま。次に億歧三子洲おきのみつごのしま。次に佐渡洲さどのしま。次に越洲こしのしま。次に吉備子洲きびのこしま。これにより、この八洲やしま大八洲国おほやしまのくにと言う。

然後、同宮共住、而生児。号大日本豊秋津洲。次淡路洲。次伊予二名洲。次筑紫洲。次億岐三子洲。次佐度洲。次越洲。次吉備子洲。由此、謂之大八洲国矣。瑞、此云弥図。妍哉、此云阿那而恵夜。可愛、此云哀。太占、此云布刀磨爾。 (『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 一書1より)

一応、第四段本伝との違いを見るため一覧でまとめてみます。

  第四段本伝 第四段一書1
大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしま 本州 大日本豊秋津洲 本州
伊予二名洲いよのふたなのしま 四国 淡路洲 淡路島
筑紫洲つくしのしま 九州 伊予二名洲 四国
億歧洲おきのしま 隠岐島 筑紫洲 九州
佐渡洲さどのしま 佐渡 億歧三子洲おきのみつごのしま 隠岐島
越洲こしのしま 北陸道 佐渡洲 佐渡
大洲おほしま 周防国大島(山口県屋代島) 越洲 北陸道
吉備子洲きびのこしま 備前児島半島(岡山県) 吉備子洲 備前児島半島(岡山県)

〔一書1〕でも、本伝同様、
陽神おかみ左旋させんを引き継いで、原則、左回りに生んでいってますね。

あとは、本伝の「大洲おおしま」差し替え「淡路洲あわじのしま」挿入の巻。本伝では出産用の膜として使っていた「淡路洲あわじのしま」が、大八洲国おおやしまぐにのほうに組み込まれてます。

感じてください。この多彩さを。奥ゆかしさを。。。

日本書紀にほんしょき』第四段<一書 第六、七、八、九>

次に、一書第6~9はセットでお届け。

第6の冒頭「二柱の神は交合して夫婦となった。」を踏まえ、第7以降どの一書も夫婦前提で書き出してます。本伝にもとづく伝承。差違化。

ポイントは、えなの使用くらいかと。。。ここでは、

  • 淡路洲あわじのしま淡洲あわのしま
  • 磤馭慮嶋おのごろしま

が、「えな(膜)」として使用され出産。それぞれが、何でそれなのか?はあまり意味が無く、差違化の結果として理解。どれもこれも断片的な伝承で、ふーんって感じっす。

<一書 第六>

 ある書はこう伝えている。二柱の神は交合して夫婦となった。まず淡路洲あはぢのしま淡洲あはのしまえなとして、大日本豊秋津洲おほやまととよあきづしまを生んだ。次に伊予洲いよのしま、次に筑紫洲つくしのしま、そして億歧洲おきのしま佐渡洲さどのしまとを双児で生んだ。次に越洲こしのしま、次に大洲おほしま、そして子洲こしま

一書曰、二神合爲夫婦、先以淡路洲・淡洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次伊豫洲。次筑紫洲。次雙生億岐洲與佐度洲。次越洲。次大洲。次子洲。

 

<一書 第七>

 ある書はこう伝えている。まず淡路洲を生んだ。次に大日本豊秋津洲、次に伊予二名洲いよのふたなのしま、次に億岐洲、次に佐渡洲、次に筑紫洲、次に壱岐洲いきのしま、次に対馬洲つしま

一書曰、先生淡路洲。次大日本豐秋津洲。次伊豫二名洲。次億岐洲。次佐度洲。次筑紫洲。次壹岐洲。次對馬洲。

 

<一書 第八>

 ある書はこう伝えている。磤馭慮嶋をえなとして、淡路洲を生んだ。次に大日本豊秋津洲。次に伊予二名洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲きびのこしま。次に億歧洲と佐渡洲を双児で生んだ。次に越洲。

一書曰、以磤馭慮嶋爲胞、生淡路洲。次大日本豐秋津洲。次伊豫二名洲。次筑紫洲。次吉備子洲。次雙生億岐洲与佐度洲。次越洲。

 

<一書 第九>

 ある書はこう伝えている。淡路洲を胞として、大日本豊秋津洲を生んだ。次に淡洲。次に伊予二名洲。次に億歧三子洲おきのみつごのしま。次に佐渡洲。次に筑紫洲。次に吉備子洲。次に大洲。

一書曰、以淡路洲爲胞、生大日本豐秋津洲。次淡洲。次伊豫二名洲。次億岐三子洲。次佐度洲。次筑紫洲。次吉備子洲。次大洲。

一覧として以下。

一書6 一書7 一書8 一書9
大日本豊秋津洲 淡路洲 淡路洲 大日本豊秋津洲
伊予洲 大日本豊秋津洲 大日本豊秋津洲 淡洲
筑紫洲 伊予二名洲 伊予二名洲 伊予二名洲
億歧洲 億岐洲 筑紫洲 億歧三子洲
佐渡洲 佐渡洲 吉備子洲 佐渡洲
越洲 筑紫洲 億歧洲 筑紫洲
大洲 壱岐洲 佐渡洲 吉備子洲
子洲 対馬洲 越洲 大洲

※大日本豊秋津洲(本州)、伊予洲(四国)、筑紫洲(九州)、億歧洲(隠岐の島)、佐渡洲(佐渡島)、大洲(周防国大島/山口県屋代島か)、子洲・吉備子洲(備前国/岡山県の児島半島)、壱岐洲、対馬洲、越洲(北陸道一帯)

と、やっぱ1つ1つに対して、なんでコレは入っててコレは入ってないの?と問うてもあんまり意味が無い。。。狙いは、差違化による「多彩で奥ゆかしいジャパーン創出」なので。そういうものとして理解。

ただ、中でも特徴的なのはやっぱり、えなの使用かと。言いたいんじゃない?本伝でも伝えてるし。一書でも2箇所で伝えてますしね。神様独特の出産方法であります。

続けて『古事記こじき』バージョンです。

『古事記』上巻

日本書紀にほんしょき』が「大八洲国おおやしまぐに」という名前だったのが、『古事記こじき』では「大八島国おおやしまくに」へ。

まずは本文をチェック。

 このように言ひ終わって御合みあひして(結婚して)、生んだ子は、淡道之穗之狹別嶋あはぢのほのさわけのしま。次に伊豫之二名嶋いよのふたなのしまを生んだ。此の嶋は、身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る。伊豫国いよのくに愛比売えひめといい、讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこといい、粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめといい、土左国とさのくに建依別たけよりわけという。次に隠伎之三子嶋おきのみつごのしまを生んだ。亦の名は天之忍許呂別あめのおしころわけ。次に筑紫嶋を生んだ。此の嶋も亦、身一つにして顔が四つ有る。顔毎に名が有る。筑紫国は白日別しらひわけといい、豊国とよのくに豊日別とよひわけといい、肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけといい、熊曾国くまそのくに建日別たけひわけという。次に伊岐嶋いきのしまを生んだ。またの名は天比登都柱あめひとつばしらという。次に津嶋を生んだ。亦の名は天之狹手依比売あめのさでよりひめという。次に佐度嶋さどのしまを生んだ。次に大倭豊秋津嶋おほやまととよあきづしまを生んだ。亦の名は天御虚空豊秋津根別あまつみそらとよあきづねわけという。ゆえに、此の八嶋やしまを先に生んだことに因って、大八嶋国おほやしまくにという。(『古事記』上巻より一部抜粋)

●詳細解説コチラ→ 『古事記』国生み原文と現代語訳と解説|伊邪那岐命と伊邪那美命の聖婚と大八嶋国誕生の物語

で、

こちら一覧化。

淡道之穗之狹別島あはぢのほのさわけのしま   淡路島
伊豫之二名島いよのふたなのしま 身一つにして顔が四つ
伊豫国いよのくに愛比売えひめ
讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこ
粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめ
土左国とさのくに建依別たけよりわけ
四国
-愛媛
-香川
-徳島
-高知
隠伎之三子島おきのみつごのしま 天之忍許呂別あめのおしころわけ 隠岐の島
※島根県八束郡美保関から隠岐の島へ向かうときの視覚に基づく。島の前にある西ノ島の焼火山、西にある知夫島、東にある中ノ島。
筑紫島 身一つにして顔が四つ
筑紫国は白日別しらひわけ
豊国とよのくに豊日別とよひわけ
肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけ
熊曾国くまそのくに建日別たけひわけ
九州
-福岡
-大分
-熊本
-鹿児島
伊岐島いきのしま 天比登都柱あめひとつばしら 壱岐島
津島 天之狹手依比売あめのさでよりひめ 対馬
佐度島さどのしま   佐渡島
大倭豊秋津島おほやまととよあきづしま 天御虚空豊秋津根別あまつみそらとよあきづねわけ 本州

古事記こじき』は、生んだ島に神名をつけることで人格化してますよね。特徴として、男と女の名(比古ひこ比売ひめ等)、四国は穀物系、九州はお日様系、といった感じ。

ポイントは、

神名付与の人格化。

生まれた大八島国おおやしまくにが、伊邪那岐いざなき伊邪那美いざなみの子供であること、血縁関係にあること、生まれた島々が血脈によるつながりをもっていることを、『日本書紀にほんしょき』以上に明確に伝えるためです。

親と子の関係を強固に打ち出す。そのための神名付与人格化パターンであります。

 

大八洲国/大八島国とは。あらためて定義してみる

最後に「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」についてまとめておきます。

まず、

日本書紀にほんしょき』で6つの異伝+『古事記こじき』、計7つの伝承

伝承の多さ

がポイント。

実は、ワンテーマで7つもバリエーション持ってるのは「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」だけ。オンリーワンのビッグテーマ。

高天原たかあまのはらの最高神「天照大神あまてらすおおかみ」ですら、その誕生バリエーションは記紀きき合わせて4つ。日本神話的な「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」への力の入れようが分かりますよね。

それだけ大事だってことです。

なぜか?

それは、

日本神話が「日本という国の成立へ繋がっていくお話」だから。

国の成立には3つの要件が必要で。それが、国土、国民、主権の3要件。

で、

日本神話的に、特に力を入れて記述されているのが、

国土と主権(統治者)

の2つであります。

国土については、日本という国がいかに素晴らしいか、スゴイかを伝えることが目的になりますし、主権(統治者)については、統治者がいかに正統であるか、スゴイかを伝えることが目的になります。

この結果、ボリュームが増える、バリエーションが増える、といった状態になる訳です。私たちが今、『日本書紀にほんしょき』や『古事記こじき』を通して見ているのは、あくまで結果なので、そういう背景を理解して読み解く必要があるってことですね。

そのうえで、

結果以上にプロセス大事

再度チェックです。

大きな時代背景としては、

みちの働きによる誕生(化生かせい)から、男女の性の働きによる誕生(出産)へ
神話的大転換の中で大八洲国おおやしまぐにが誕生する、このビッグウェーブ来てる感をまずチェック。

そうした大波のなかで、

儀礼を通じて誕生する、正式な手続きにのっとった結婚儀礼を踏まえるということ。

これにより、大八洲国おおやしまぐにの正当化や神聖化が実現される訳ですね。それはつまり、日本の神聖化と同義であります。

そのうえで誕生する「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」。

  • 陽神おかみ左旋させん運動踏襲。基本、左回りで生んでいく
  • 最後に8つのしまを「まとめて」大八洲国おおやしまぐにとする
  • 大八洲国おおやしまぐにの「八」は「多数」あるいは聖数を表す
  • しまと嶋の使い分け。しまは国として一括される大きさを持つ

といった基本形をもとに、差違化、バリエーション化。

その狙いは、多彩で豊かな日本を打ち出していくことであります。

大八洲国おおやしまぐに/大八島国」とは、日本神話で伝える「日本」の国土のこと、なんだけど、実はこうした背景や設定、意図があることを是非チェックされてください。

 

まとめ

大八洲国おおやしまぐに」とは、日本神話で伝える「日本」の国土。

「日本」のことなんだけど、「国」っていう漢字が使われてるけど、国ではございません。

伊奘諾尊いざなきのみこと伊奘冉尊いざなみのみことが結婚して産んだ「しま」が八つ、一つのまとまりとして「洲国くに」と名付けられてるだけの状態。

ポイントは、

結果以上にプロセスが大事

って事。時代背景や誕生経緯を踏まえて読み解きましょう。

大きな時代背景としては、

みちの働きによる誕生(化生かせい)から、男女の性の働きによる誕生(出産)へ
神話的大転換の中で大八洲国おおやしまぐにが誕生する、このビッグウェーブ来てる感が大事。

そうした大波のなかで、

正式な手続きにのっとった結婚儀礼を踏まえて誕生するのが「大八洲国おおやしまぐに/大八島国」。これにより、大八洲国おおやしまぐにの正当化や神聖化が実現される。それはつまり、日本の神聖化と同義。

大八洲国おおやしまぐに/大八島国」自体は、

  • 陽神おかみ左旋させん運動踏襲。基本、左回りで生んでいく
  • 最後に8つのしまを「まとめて」大八洲国おおやしまぐにとする
  • 大八洲国おおやしまぐにの「八」は「多数」あるいは聖数を表す
  • しまと嶋の使い分け。しまは国として一括される大きさを持つ

といった基本形をもとに、差違化、バリエーション化。その狙いは、多彩で豊かな日本を打ち出していくことであります。

古代日本人が生み出した日本の誕生経緯。そこに込められた創意工夫のスゴさはもちろんのことながら、素晴らしい国にしていこうという願いやら想いやらも込められてる訳で。私たちが継承していくべきはこういう想いだったりするんじゃないかと思います。

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)

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大八洲国

1 個のコメント

  • 旧出雲国の島根県安来市にある十神山は古事記の言うオノゴロ島っぽいよね。近くにイザナミの神陵の比婆山もあり、足立美術館に鷺の湯温泉、和鋼博物館、清水寺と見どころ満載だ。

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    参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他