阿須賀神社|新宮発祥の地!阿須賀神社は航海・延命・生産・発育の御神徳

阿須賀神社@新宮市

 

阿須賀あすか神社は和歌山県新宮市にある神社。

新宮川の河口付近、蓬莱山ほうらいさんの南麓に鎮座しています。

阿須賀神社は、日本最古の書物の一つ『日本書紀』における神武東征神話で登場する場所。言わば「新宮発祥の地」。

今回、神武東征神話を巡る旅の途中に立ち寄りました。今でこそ、訪れる人も少なく寂しさMAXの神社ですが、新宮を語るうえで絶対に外せないスポット「阿須賀神社」をご紹介します。

 

阿須賀神社|新宮発祥の地!日本神話で「熊野神邑」として登場する神社は、航海・延命・生産・発育ご利益で篤い信仰を集めている件

阿須賀神社を語るうえで欠かせないポイント3つ

全体像をつかむうえで、まずはこちらの3つをチェック。

阿須賀神社のポイント:新宮の起源に関連する由緒ある神社です

  1. 日本神話で「熊野神邑みわのむら」として登場。言わば「新宮発祥の地」である事。
  2. 熊野権現は初め神倉山に降り、次に阿須賀の森に移ったという伝承あり。つまり、熊野権現の大本おおもとの地を主張なう。
  3. 背後の山、蓬莱山ほうらいさんは「徐福じょふく」がたどり着いた場所という伝説あり。徐福さんと言えば、中国の秦の始皇帝の命を受けて不老不死の霊薬を求めて旅立ったお方。なぜココに!?

以上、分かりやすく3点を是非。

 

阿須賀神社の場所

阿須賀神社は、和歌山県新宮市阿須賀にあります。JR新宮駅から北東に徒歩10分ほど。

 

駐車場もありますので、お車でもOK。

阿須賀神社 駐車場

熊野灘に流れ込む新宮川のほとり。背後の山は蓬莱山ほうらいさんです。なしか海の風が。。。

 

阿須賀神社 

▲阿須賀神社入口はこんな感じで。すっきりとした印象があります。

 

阿須賀神社の創建経緯

阿須賀神社 

社伝によれば、創祀は孝昭天皇の時代、紀元前423年。熊野三社でもっとも古い歴史を持ちます。

さらっと言ってますが、紀元前ですよ、紀元前。そんな古い時代からあるなんて。。。

社伝的には、熊野大神は初め神倉山かみくらやまに降臨し、次に阿須賀あすかの森に遷ったとのことで、ココが熊野大神の本家本元を主張なう。歴史の古さとあいまって説得力があります。

ま、後代の火災により古文書が焼失したとのことで、詳しいことはわかっていません。

現在の社殿は、戦後、昭和27年(1952)に再建されたもの。昭和20年(1945)に空襲により付近の民家約200戸とともに焼失した経緯があり。

 

阿須賀神社の境内

阿須賀神社 

奥にある社殿、朱色がとても美しい阿須賀神社。

 

阿須賀神社のご祭神とご利益

阿須賀神社 阿須賀神社

ご祭神:

  • 事解男命ことさかおのみこと
  • 家津美御子大神けつみみこのおおかみ
  • 熊野速玉大神くまのはやたまのおおかみ
  • 熊野夫須美大神くまのふすみのおおかみ

事解男命ことさかおのみこと」は、『日本書紀』神代 第五段 一書の十に登場する神様です。

伊奘諾尊いざなきのみこと(♂)が黄泉との関わりを断つためにはらわれたときに生じた神様を「泉津事解男命よもつことさかのお」と申す。

とあります。掃うとは、「黄泉の国の穢れや邪悪なものを一掃する事」。

そして、家津美御子大神けつみみこのおおかみ熊野速玉大神くまのはやたまのおおかみ熊野夫須美大神くまのふすみのおおかみの3神は、熊野三社に祭られている神様たちです。

家津美御子大神は「本宮」、熊野速玉大神は「速玉」、熊野夫須美大神は「那智」大社。3つまとめて「熊野大神くまのおおかみ」、または「熊野権現くまのごんげん」と呼ばれてますね。

ご利益:航海・延命・生産・発育

 

では、ポイント3つを一つずつご紹介。

日本神話で「熊野神邑」として登場。言わば「新宮発祥の地」である事。

今回参拝した経緯がコレ。

詳しくはコチラで。

東大阪の孔舎衛坂くさえさかで敗戦し、神策しんさくを巡らせ紀伊半島をぐるっと一周するルートを選択した神武東征一向。紀伊半島最南端の潮岬を通過し、熊野の地へ踏み込んだ最初の地、それが「神邑みわのむら」。

で、実は、この「神邑みわのむら」の地とされるのがこの阿須賀あすか神社という訳。

それを証明する碑が入口にどーんと建っております。

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (5) (1024x768)

▲石碑に「神武天皇聖蹟せいせき熊野神邑みわのむら顕彰碑」とあります。これが証拠や!

ちなみに、「神邑」は「みわのむら」と訓読みするのが通例。「神霊の宿る地」といった意味が強いパワースポットです。

まずは、当サイトとしては、こちらの神武東征神話の背景があることを激しく推させていただきます。

他はいいからとにもかくにも「阿須賀神社=神邑伝承地=神武東征神話」でチェックされてください。

詳しくはコチラで!スルー禁止!

つづけて2つ目。

「熊野権現は初め神倉山に降り、次に阿須賀の森に遷った」という伝承あり。つまり、熊野権現の大本の地を主張なう。

先ほどのご祭神のところでも触れましたが、ご祭神である「熊野権現くまのごんげん」は「熊野三山に祀られる神」のこと。「熊野神くまののかみ」とか「熊野大神くまののおおかみ」とも呼ばれます。本地垂迹ほんじすいじゃく思想のもとで、神が「権現ごんげん」と呼ばれるようになった時の名前。

本地垂迹ほんじすいじゃく」とは、仏教が全国展開&興隆した時代に発生した神仏習合しゅうごう思想の一つ。

日本の八百万の神々は、実は様々な仏が化身として日本の地に現れた権現ごんげんである、と。本体である仏や菩薩が「本地ほんじ」、仮に神となって現われることが「垂迹すいじゃく」。二つ合わせて「本地垂迹ほんじすいじゃく」。そして、仮に現れた神のことを「権現ごんげん」という訳です。

もともと在地にあった神様が仏教的体系の中に組み込まれてしまうという恐るべき思想。信仰していた神様が、ある日、実はそれは仏さまが化身として現れたんだよ、こっちが本元だよって言われるのって、、、汗

流石に無理筋なので、新しい名前を生み出して融合させたわけで、それが「権現」。

話がズレました。。。

社伝曰く、

  • 熊野大神(←後づけですが全3神)は初め神倉山かみくらやまに降臨し、次に阿須賀あすかの森に遷った。
  • さらに、熊野大神のうち家津美御子けつみみこ貴袮谷きねだにに遷ったが、残り二神はそのまま阿須賀あすかの森に留まった。
  • 第十代崇神すじん天皇の御代(BC100年前後)、家津美御子けつみみこはさらに熊野川上流の音無の里(本宮)に遷った。
  • 結速玉は第十二代景行天皇の御代(AD100年前後)に今の新宮に遷座した。

とのこと。

ちなみに、残る熊野夫須美大神くまのふすみのおおかみはずっとあと、文献上で確認されるのがAD800年ごろなので、そのころには那智に遷っていたことになります。

ま、いずれにしても、阿須賀神社は「熊野発祥の地」として神社的には重要な場所ということであります。

熊野神くまののかみ」は各地の神社に勧請かんじょうされており、熊野神を祀る熊野神社系列は日本全国に約3千社もあるわけで。社伝が正しければその大元はココになるという訳です。スゴ。

尚、最初に降り立ったとされる神倉についても要チェックです。

 

背後の山、蓬莱山は徐福がたどり着いた場所という伝説あり。徐福と言えば、秦の始皇帝の命を受けて不老不死の霊薬を求めて旅立ったお方。

阿須賀神社

▲背後の、蓬莱山。こ、ここが不老長寿にちなむ山だなんて・・・!

徐福じょふく」とは、BC3世紀、秦の始皇帝の時代のお方。始皇帝の「不老不死の仙薬を探せ」との命を受け、少年少女3000人を伴う大船団で東海に船出し、2度と秦に戻ることはなかったとか。

で、もうお分かりのとおり、この徐福さんがたどり着いたのがこの地だったという訳。

こんなところにいたのか徐福さん!

その徐福さん、阿須賀の地に上陸し、神社背後の山=蓬莱山ほうらいさんの麓に住みついて、里人に農耕や捕鯨、造船、製紙などの技術を伝えたという伝説あり。ありがとう徐福さん。

阿須賀神社の境内には徐福の宮が摂社として祀られ、徒歩で北に数分行ったところには徐福の墓もあります。。。

阿須賀神社

▲徐福の宮。正面右手にあります。お祈りをあげてらっしゃる方が。歌うようなお祈りでした。

 

その他

阿須賀稲荷神社

阿須賀神社 

 

子安の宮

阿須賀神社 阿須賀神社

 

おまけ!

歴史民俗資料館

▲境内左手に新宮市立「歴史民俗資料館」あり。大人210円、小・中学生100円。9時~17時。月曜日祝日。

 

阿須賀神社の桜

▲参拝したのは3月末。桜が咲き始めていました。

 

まとめ

阿須賀神社

阿須賀神社は、和歌山県新宮市にある神社。

新宮川の河口付近、蓬莱山ほうらいさんの南麓に鎮座しています。

ポイントは3つ。東征神話に登場し新宮発祥の地である事、熊野権現発祥の地である事、中国から徐福さんが漂着し定住した地である事。

今でこそ、訪れる人も少なく寂しさMAXの神社ですが、新宮を語るうえで絶対に外せないスポットです。

特に、神武東征神話にちなむ地としてスルー禁止。是非参拝されてください。

 

住所:新宮市阿須賀1-2-25

JR新宮駅から北東に徒歩10分。

駐車場あり

 

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1件のコメント

ここは以前から行きたいところですがまだ行っていません。
やはり行こうと思ったらすぐに行くべきですね。大切な場所と思っています。
今回御縁あって検索しまた出会えることができてうれしいです。
ありがとうございました。

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さるたひこ

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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