神武天皇聖蹟熊野神邑顕彰碑|何をしでかすか分からない荒ぶる神々が棲む魔界の入口であり境界の地。なので恐る恐る訪れるべし

神武東征神話をもとに「東征ルート」を辿り、書紀文献とあわせて検証してみた件

シリーズでお伝えしている神話をめぐる伝承地を巡る旅。

今回は、和歌山「熊野神邑みわのむら」。

ここは、神武こと「彦火火出見ひこほほでみ」が紀伊半島をぐるっと一周して最初に立ち寄った場所。

このあと発生する「恐るべき事態」の前ぶれを告げる重要なスポットです。

実際行ってみたのですが、神話の時代のおどろおどろしさは一切無く、極めて平和な雰囲気でした。それはそれでホッとしましたが。。。

今回はそんないわくつきのスポットをご紹介します。

 

神武天皇聖蹟熊野神邑顕彰碑|何をしでかすか分からない荒ぶる神々が棲む魔界の入口であり境界の地。なので恐る恐る訪れるべし。

熊野神邑にまつわる神話的背景

この地の前、経緯的には、東大阪の孔舎衛坂くさえさか敗戦と神策により、紀伊半島をぐるっと一周。潮岬を越えて現在の和歌山県新宮市にたどり着いた次第。

神武こと「彦火火出見ひこほほでみ」は4人兄弟。

敗戦により長兄を亡くし、失意の中でやってきた未知の土地。

そして、この後起きることは以下の通り。

  • 天磐盾あまのいわたて」に登る。そのとき、前方にあるただならぬ気配を察知、そこで軍を引いて徐々に進む。「軍を引く」は孔舎衛坂敗戦の時とここの2か所でしか出てこない重要表現。
  • さらに熊野灘を進むと、突然、暴風雨に遭い一行の船は木の葉のように揺れ漂う。
  • このとき、次兄の「稲飯命いなひのみこと」 が剣を抜き、荒れ狂う海に身を投じて「鋤持神さいもちのかみ」となる。
  • 次いで、3兄の「三毛入野命みけいりののみこと」もまた、恨み言を言い、波の先を踏んで常世とこよの国に往ってしまった。これにより兄たちの全てを失う。

と、まあ「熊野灘の受難」とも言うべき恐ろしいことが発生するわけです。

で、実はこれらの受難を引き起こしたのが神話的解釈からすると伊奘冉尊いざなみのみこと(♀)いう訳です。

詳しい解説はコチラで。

あと、神倉神社=日本神話的に「天磐盾」もチェックです。神邑と一体的なスポット。

ここ、熊野神邑みわのむらは、そうした恐るべき事態が発生する直前に訪れた場所。

言い換えると、伊奘冉系の荒ぶる神が待ち受ける領域への入り口とも言える場所なのです。

「神邑」という地名も、そうした「何をしでかすかわからない荒ぶる神々が棲む入り口、境界の地」といったイメージが重ねられているように思います。

 

聖蹟熊野神邑顕彰碑が建つ場所

そんな背景を持つ「熊野神邑」は、和歌山県新宮市の新宮川の河口付近、阿須賀あすか神社の境内にあります。

阿須賀神社についてはコチラで!

コレはこれで結構重要な神社なので要チェックです。

 

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (2) (1024x768)

▲コチラ、阿須賀神社の入口。鳥居の右手に、、、???

 

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (4) (1024x768)

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (33) (1024x768)

ありました! 聖蹟熊野神邑顕彰碑であります!

 

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (6) (1024x768)

神武天皇戊午年皇軍ヲ率ヰテ熊野神邑ニ至リ給ヘリ聖蹟は此ノ地方ナルベシ

ん?

「地方」?

、、、他の碑と比べて指定する点の範囲が広くなっとる。。。

 

それにしても、、、

阿須賀神社 神邑顕彰碑 (31) (1024x768)

静かで平和な場所だ。。。

神話的なおどろおどろしさ一切無し。。。

 

と、いうことで参りましょう。

恒例の。。。

勝手に認定結果

委員会の皆様には大変恐縮ではございますが、

こちら、

nintei

とさせていただきます。

ご査収の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

まとめ

神武天皇聖蹟熊野神邑顕彰碑

ココは、神武こと「彦火火出見ひこほほでみ」が紀伊半島をぐるっと一周して最初に立ち寄った場所。

神話的には、熊野神邑のあと、暴風雨に遭うわ、お兄さんたちを亡くすわと、とんでもない事態が発生するわけで。その意味では、伊奘冉系の荒ぶる神が待ち受ける領域への入口とも言える場所。

「神邑」という地名も、そうした「何をしでかすかわからない荒ぶる神々が棲む入り口、境界の地」といったイメージが重ねられているはずで、そうした神話ロマンを感じながら訪ねてみるといいと思います。

 

住所:新宮市阿須賀1-2-25

JR新宮駅から北東に徒歩10分。

駐車場あり

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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