「御神水」とは、神様の御神威を水を通じていただくもの。
多くは神社の敷地内から湧き出る水や井戸で汲み上げた水を、霊験あらたかなお水としていただきます。最近では、空のペットボトルを社務所等で購入し、自分で水をくんで持ち帰ることもできたり、販売してたりします。
八百万の神々の信仰がある日本だからこそ、自然=神様からのパワーを、お水を通じてありがたく頂くことで、心身共にリフレッシュしたり、みなぎるパワーをいただける。そこにあるのは、「命の水」としての奥ゆかしさです。
今回は、全国にある「御神水」として知られるお水をまとめてご紹介です。
全国の御神水まとめ|神様からいただく「命の水」である御神水。全国にある霊験あらたかな御神水をいただけるパワースポットをまとめてみました。
目次
水神を祭る神社の御神水
まずご紹介したいのは、水神を祭る神社でいただく「御神水」。水からいただくパワーは、神社が祀る祭神の属性やパワーと直結する訳で。言うと、水を司る神を祀る神社の御神水こそ「本物の御神水」。
水神として有名なのは以下2柱。日本神話でも登場します。
- 罔象女神
- 高龗神
これらの水神を祭り、さらに、古代より朝廷から祈雨・止雨を祈る社として篤い信仰をあつめていたのが、丹生川上神社(奈良県)と貴船神社(京都府)です。ここでいただける「御神水」は、その信仰的・歴史的背景から分かるように御利益は絶大。もちろん水のパワースポットとしても位置付けられています。
丹生川上神社の「清めの真名井」(奈良県)
水神宗社であり、官幣大社。ご祭神は水神の「罔象女神」。水神宗社とは、水神の祖廟、つまり、全国にある水神を祭る神社の頂点に位置づけられる神社です。旧社格である官幣大社という位置づけもそれを補完。
先ほども触れましたが、古代、祈雨・止雨を祈る神社として朝廷から絶大な信仰をあつめた神社。雨乞いのときには黒馬を、長雨を止める祈りのときは白馬が献上されておりました。朝廷の雨乞い儀礼の起源ともいえる神社です。
神社は吉野の山奥、目の前に高見川の清流が涼しげな音を響かせ、深い緑が心地よいエリア。この空気だけでも心身のリフレッシュができてしまいます。
境内には「清めの真名井」という井戸があり、ここでいただく御神水が超絶パワーあり。全国の水神の頂点に位置づけられる神社の境内からいただける御神水です。
住所:奈良県吉野郡東吉野村大字小968
貴船神社の「御神水」(京都府)
ご祭神は水神である「高龗神」。旧社格は官幣中社ながら、平安期以降朝廷の信仰を集めるようになった神社です。美しい清流である貴船川が流れるそば、夏は萌える緑、秋は紅葉が美しい貴船エリアにあります。
こちらは、平安遷都以後、丹生川上神社と合わせて朝廷の祈雨・止雨儀式の中心地として位置づけられるようになります。
本宮にある石垣からは一度も枯れることなく湧き出ているとされる御神水があり、古来より茶人にも愛されてきた水です。水神を祭る神社でいただく御神水、そのパワーを是非いただいてください。
住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
以上の2社でいただける御神水は、
全国の中でも特に御神威の高い水。神話の時代から続く水神信仰、古代の朝廷による祈雨・止雨の篤い信仰、水神そのものを祭る神社。こうした背景を持つ地でいただくお水です。是非チェックされてください。
全国の主な御神水の皆さん
続けて、全国にある主要な御神水をご紹介です。北から順番に南へ。
神明宮の「トヨの水」(青森県)
藩政時代からの歴史を持つ御神水です。禊や水垢離、茶道の清水に使われてました。青森県知事認定「私たちの名水」に指定。
神名宮自体は、寛永11年(1634年)津軽二代藩主信牧が海上航行の安全と国中安泰祈願のため、吾妻館に勧請したことから。「天照大日霎命」を祭ります。
住所:青森県西津軽郡深浦町字浜町75
日光二荒山神社の「二荒霊泉」(栃木県)
二荒山(現在の男体山)を御神体とする神社で、日光の氏神様としても位置付けられてます。日光市内の「本社」の他に、男体山の山頂に「奥宮」、中禅湖畔に「中宮祠」の3社を総称して「日光二荒山神社」。神域からは二つの霊泉が湧き、ひとつは、本社の背後の恒霊山中の洞屈にある「薬師の霊水」。眼の疾病に霊験があるとされます。もう一つは、別宮である「滝尾神社」の清流天狗沢のほとりに湧く 「酒の泉」。持ち帰って酒を造ると良いお酒ができるとされます。
この二つの御神水を一か所でいただけるのが本社内の「二荒霊泉」。ペットボトルに詰めたり、霊泉のそばの茶屋では、霊水で淹れたコーヒーやお茶もいただけます。
住所:栃木県日光市山内2307
筑波山神社の御神水(茨城県)
三千年以上の歴史を持つ霊峰「筑波山」を御神体とする神社。境内は中腹の拝殿より山頂を含む約370haという広大さ。関東平野を望む眺望が素敵な神社です。本殿の左手裏に御神水があります。
住所:〒300-4352 茨城県つくば市筑波1番地1
千葉神社の「延寿の井」(千葉県)
千葉県の千葉駅から歩いて15分ほどのところにある千葉神社。境内にある「妙見池」の水源でもある「妙見延寿の井」は、その昔から一願成就の霊泉として知られています。神社の開門時間に注意されてください。夕方18時までなので、あいている時間にいただいてください。また、一人2ℓまでといった制限も。人気の名水です。
〒260-0018 千葉県千葉市中央区院内1丁目16−1
箱根神社の九頭龍神社「龍神水」(神奈川県)
恋愛の神様としてしられる「九頭龍神社」の新宮にある「龍神水」という御神水。口に含むと不浄を清め、良いものを引き寄せると言われています。九頭龍神社自体が、恋愛の神様を祭っているため、このお水をいただくと恋愛運がアップすると話題になっているお水。授与所で持ち帰り用ペットボトルが販売されています。1本100円。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80-1
新橋浅間神社「木の花名水」(静岡県)
御殿場駅から徒歩5分ほどの駅チカ神社。新橋浅間神社は「木之花咲耶毘売命」を祭り、御神水の名前もここから。地元新橋区民による公募で『木の花名水』と命名されました。
住所:静岡県御殿場市新橋2081-1
気比神宮の「長命水」(福井県)
北陸道総鎮守 越前國一之宮の神社。西暦702(大宝2)年、氣比神宮の造営中、大岩から湧きだした水が「長命水」と名付けられた御神水です。無病息災、延命長寿の水として信仰をあつめます。鳥居から本殿に向かう途中にある鳥居の手前、参道の左側にあります。
住所:福井県敦賀市曙町11-68
上賀茂神社の「神山湧水」(京都市)
手水舎の水ですが、御祭神「賀茂別雷大神」が降臨された神山のくぐり水を汲み上げて使用しているため「神山湧水」と命名されています。歴史上、特に由緒深い境内の井戸水と同じ水脈の名水で、飲料用の水質基準も満たしていますので安心していただいてください。
〒603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
下賀茂神社の「直澄」(京都市)
古代から「糺の森」は、清水の湧く所、鴨川の水源の神地として信仰されてきました。コチラの御手洗は、御祭神の神話伝承にちなむ舟形磐座石っであり、注ぐ樋は「糺の森」のヌシと呼ばれていた樹齢600年のケヤキです。冬でも温かさを感じる不思議なお水です。是非いただいてみてください。
〒606-0807 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
錦天満宮の「錦の水」(京都市)
境内の地下百尺(三十数米)からは、京の名水のひとつである「錦の水」がこんこんと湧きでております。無味・無臭・無菌で飲用に適する良質の井戸水であり、朝早くから多くの方々が、参拝とともにお水取りに参られます。(神社説明文より)
実際、いただいてみると、なしか丸味をおびた味で、美味しー。京都の名水、是非ご堪能ください。
住所:京都市中京区新京極通り四条上る中之町537番地
真名井神社(籠神社奥宮)の天の眞名井の水
この水は籠神社海部家三代目の天村雲命が神々が使われる「天の眞名井の水」を黄金の鉢に入れ、天上より持ち降った御神水です。天村雲命はその水を初めに日向の高千穂の井戸に遷し、次に当社奥宮の眞名井原の地にある井戸に遷しました。その後、倭姫命によって伊勢神宮外宮にある上御井神社の井戸に遷されたと伝えられています。 (引用:真名井神社HPより)
住所:京都府宮津市大垣430
大神神社の「薬井戸」(奈良県)
大神神社本殿の左手奥、三輪山登山口がある狭井神社の拝殿裏手にある「薬井戸」。ここで御神水をいただけます。古くから霊験あらたかな「くすり水」として知られた湧き水。その場で飲むだけではなく、ペットボトルで販売されてもいます。
住所:奈良県桜井市三輪1422
墨坂神社の「波動水」(奈良県)
崇神天皇が大和の疫病を鎮めるため、峠に「墨坂神」を祀ったところ、疫病がおさまったのが墨坂神社の始まりとされています。本殿に向かって左奥にある竜王宮で湧き出る水が「波動水」として知られている御神水です。体や神霊を清めていただける霊験あらたかなお水。健康へ導いていただける水でもあります。
住所:奈良県宇陀市榛原萩原703
飛瀧神社の「お瀧水」(和歌山県)
「那智の滝」は高さ・落差日本一の大瀧。この瀧が御神体の神社が飛瀧神社であり、熊野那智大社の別宮として位置づけられています。延命長寿の「お瀧水」は、「お瀧拝所」と呼ばれる場所へ行く途中にあります。このエリア一帯が水のパワースポット。瀑布のパワーと合わせて延命長寿ご利益をいただける御神水です。
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
須賀神社奥宮の「神泉坂根水」(島根県)
須賀神社の奥宮は巨大な夫婦岩で有名です。この奥宮へ続く山道の途中にある御神水が「神泉坂根水」です。この水で身を清め、霊気を頂いて奥宮へ向かいます。八雲山から湧き出る清水で不老長寿のご利益をいただける霊験あらたかなお水です。
住所:島根県雲南市大東町須賀260
出雲大社の「真名井の清水」(島根県)
出雲大社の神事に関わる神聖な御神水です。11月23日の「古伝新嘗祭」において、国造の寿齢を延ばすとされる「歯固めの神事」には、この真名井の清水の小石を使う習わしになっています。出雲大社から徒歩10分ほど。住宅街の中にひっそりとあります。
住所:島根県出雲市大社町杵築東9
田所明神社の「田所名水」(広島県)
主祭神の「飽速玉命」の他、6柱の神を祭ります。社名の「田所」は人名。元は安芸の国(古代は「阿岐国」)の造家。つまり阿岐国を造ったお家です。しかも、御祭神である「飽速玉命」の末裔で、阿岐国第一の旧家であります。御神水は、社殿の後ろに社務所(自宅)がありますので、インターフォンを押してお声掛けされてください。汲んでいただけます。
住所:広島県安芸郡府中町石井城1丁目6−16
櫛田神社の「霊泉鶴の井戸」(福岡県)
博多の総鎮守「櫛田神社」は、不老長寿の「お櫛田さん」として地元で親しまれています。境内にある「霊泉鶴の井戸」は、不老長寿の御神水。「この霊泉をいただくには、一口目には 自分の不老長寿を、二口目には 家族の不老長寿を、三口目には 親類縁者の不老長寿を、心で念じながら三口でお飲みください」との印書きがあり、少し塩気を感じるお水です。
住所:福岡県福岡市博多区上川端町1−41
阿蘇神社の「神の泉」(熊本県)
肥後国の一宮で九州を中心に約500社ある「阿蘇神社」の総本社です。銘水「神の泉」は大楼門のすぐ目の前。不老長寿の御神徳がある御神水として知られています。
住所:熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083−1
全国の御神水 まとめ
万物の命の根源である水。そのなかで「御神水」とは、神様の御神威を水を通していただくものです。
自然=神様からお水を通してありがたく頂くことで、心身共にリフレッシュしたり、体にみなぎるパワーをいただけます。そこにあるのは、「命の水」としての奥ゆかしい水。是非チェックされてください。
コチラも是非!日本神話の流れに沿って分かりやすくまとめてます!
どこよりも分かりやすい日本神話解説シリーズはコチラ!
ついでに日本の建国神話もチェック!
日本神話編纂の現場!奈良にカマン!
大変わかりやすい解説ありがとうございます!
隣の県に水神宗社があり、
大変誇らしかったです。
今、九州で長雨による災害が起こり、
いくら梅雨と言えども あまりにも
雨雲が停滞し続けるので
奈良の丹生川上神社へ長雨を止めるよう
お詣りにいってきます。