絵島|国生み神話の舞台!?古代より歌人を魅了してきた絵になる小島「絵島」

 

絵島えしま」は、日本神話の「国生くにうみ神話」で登場する「おのごろ島」伝承地。

永い年月をかけて波に削られた美しく神秘的な岩肌が特徴的な砂岩島で、
古来より景勝地としても知られ、多くの歌人によって歌に詠まれてきたナイススポット。

今回は、そんな絵島えしまについて、日本神話と合わせてご紹介します。

 

絵島|国生み神話の舞台!?古代より歌人を魅了してきた絵になる小島「絵島」

絵島に関連する日本神話

まずは、当サイトならではの日本神話からチェック。

コレを知れば、絵島えしまの魅力がぐんっとアップ!間違いないっ。

絵島えしまは、国生くにうみ神話で登場する磤馭慮嶋おのごろしま」とされます。その誕生シーンがコチラ。

 伊奘諾尊いざなきのみこと伊奘冉尊いざなみのみこと二柱ふたはしらの神は、天浮橋あまのうきはしの上に立って共にはかり、「この下の底に、きっと国があるはずだ。」と言った。そこで、天之瓊矛あまのぬほこを指し下ろして探ってみると海を獲た。そのほこの先から滴り落ちた潮が自然に凝り固まり、一つの嶋と成った。それを名付けて「磤馭慮嶋おのごろしま」といった。

 二柱の神は、ここにその島に降り居ると、共に夫婦となり、国を産もうとした。そこで、磤馭慮嶋を、国の中心である柱とし、陽神をかみは左から巡り、陰神めかみは右から巡った。分かれて国の柱を巡り、同じ所であい会したその時、陰神めかみが先に唱え、「ああ嬉しい、いい若者に会ったことよ。」と言った。(少男、日本では烏等孤をとこという)陽神をかみはそれをよろこばず、「私が男だ。ことわりの上では、まず私から唱えるべきなのだ。どうして女が理に反して先に言葉を発したのだ。これは全く不吉な事だ。改めて巡るのがよい。」と言った。

 ここに、二柱の神はもう一度やり直してあいかいした。今度は陽神をかみが先に唱え、「ああ嬉しい。可愛い少女をとめに会ったことよ。」と言った。そこで陰神に「お前の身体には、なにか形を成しているところがあるか。」と問うた。それに対し、陰神が「私の身体には女の元のところがあります。」と答えた。陽神は「私の身体にもまた、男の元のところがある。私の身体の元のところを、お前の身体の元のところに合わせようと思う。」と言った。ここで陰陽(男女)が始めて交合こうごうし、夫婦となったのである。『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝より引用)

と。

この磤馭慮嶋おのごろしま」が、絵島えしま。。。

ポイントは、

  • 天上からほこを指し下ろし、ほこの先から滴り落ちたしおが固まってできたのが「磤馭慮嶋おのごろしま」。
  • 磤馭慮嶋おのごろしま」に降りたって結婚。具体的には、しまを国の中心となる柱とみたて、柱をめぐる。
  • 柱の反対側であいかいして、伊奘諾尊いざなきのみこと先唱せんしょう伊奘冉尊いざなみのみこと後和こうわ。そして交合こうごうし夫婦となった。

の3点。

ま、途中で一度、伊奘冉尊が先に声をあげてしまい、やり直してますが、大きな流れはそんなところ。

しおでできてる、、、てことは真っ白!?

塩でできてる、、、てことは草木も生えない?!

しまの回りを巡った、、、それ、やってみよう!

そんなロマンをもとに、リアル絵島えしまをチェック。

国生み神話

 

絵島の場所

絵島えしまがあるのは、淡路島あわじしまの上。兵庫ひょうご淡路あわじ市。

本州ほんしゅうからだと、
明石大橋あかしおおはしを渡って「淡路あわじIC」を降り、海沿いに国道28号を岩屋いわや方面へ約1kmほどのところにあります。

▲こちら、絵島えしま付近の様子。駐車場はありません。近くの「岩屋いわやポートビル市営駐車場しえいちゅうしゃじょう」を利用されてください。写真のガラスの建物です。

 

▲小さな漁港もあって、淡路島あわじしまのもってるのんびりした感じが心地良し。

 

絵島

そして、おめあての絵島えしまがコチラ!

たしかに、これは絵になる島。

かの西行さいぎょう元永げんえい元(1118年)~建久けんきゅう元(1190年))も、この地、この島を歌に詠んでます。

西行さいぎょうといえば、平安へいあん時代末期、鳥羽上皇とばじょうこう代のころ。武士ぶしだったのが23歳で出家しゅっけ山部赤人やまべのあかひと以来の自然歌人として宗祇そうぎ芭蕉ばしょうからもはんとされたお方ですね。

千鳥なく 絵島の浦に すむ月を 波にうつして 見るこよいかな (西行『山家集』)

千鳥の鳴いている絵島の浦の澄んだ月を、波に映して見ている。今夜の絵島は何と美しいことであろうか。

と。

月が明るく輝く夜の美しい絵島えしまの風景を詠んでらっしゃいます。情景が絵に浮かぶようですね。

他にも、

平家物語へいけものがたり」の「月見つきみ」の巻には、「福原ふくはら新都しんとに移った人々が、海峡を渡り、絵島えしまの月を愛でながら歌会うたかいを催した」という記述があったりして、

古代より多くの人々、そして歌人を魅了してきたことが窺えます。

 

説明看板がありました。

太古、イザナギ・イザナミの二神が、國づくりの時最初に生まれた国が「オノコロ島」であり、淡路島を指すとされていますが、この絵島であるという説もあります。

島の頂上にある石塔は、平清盛の兵庫築港の際に、人柱となった侍童じどう、松王丸の菩提を弔うために建てられたものと伝えられています。

この島は砂岩でできており、もとは島つづきでしたが波の作用によって島となりました。

この自然が生み出した絵島は、周囲の山水との調和も見事で、特に夜景は「海に浮かぶ光の舞台」として神秘的な姿で人々を魅了します。島の美しさは万葉の昔から歌い詠まれ、多くの人々に愛されています。

とのことで、

もともと陸と繋がってたのが波の浸食によって砂岩が削られ、独立した小島になった経緯。

 

絵島
http://kuniumi-awaji.jp/heritage/29eshima/より

自然が生み出した曲線美。キレイですよね。

コレ、「褐鉄鉱沈殿砂岩層かってっこうちんでんさがんそう」というもので、約二千万年前の砂岩層。波の浸食、風化によって地層に含まれる鉄分が割れ目に沿って創りだされた独特の模様。地質学的にも珍しいらしく、兵庫ひょうご県の郷土記念物に指定されています。

周囲の山水との調和とあいまって、たしかに古来より多くの歌人に詠まれたことも納得です。

 

絵島
http://kuniumi-awaji.jp/heritage/29eshima/より

平清盛たいらのきよもり兵庫築港ひょうごちっこうの際に、人柱ひとばしらとなった侍童じどう松王丸まつおうまる菩提ぼだいを弔うために建てられたとされる石塔、てか鳥居とりい

と、

いうことで、さっそく国生くにうみ神話にならって島巡りを、、、

って、入れへんのかい!?

残念すぎる、、、涙。 2019年時点では立ち入り禁止になっておりました。。。せっかく島巡りしようと思ったのに、、、

 

磤馭慮嶋おのごろしま」の伝承地とされる絵島えしまですが、個人的には、

小さすぎる!

というのが正直なところ。

神世七代かみよななよという至尊の神、伊奘諾尊いざなきのみこと伊奘冉尊いざなみのみことですよ!?

その二神にしんが天上からほこを指し下ろし、ほこの先から滴り落ちたしおが固まってできたのが「磤馭慮嶋おのごろしま」なわけで、

もっと言うと、日本の土台たる「大八洲国おおやしまぐに」を産んだ訳ですよ!?

こんなに小さい訳がないっ、と勝手に思っております。

ということで、現場からの検証報告でした。それにしても立ち入り禁止は残念すぎる。。。

 

まとめ

絵島えしま

日本神話の「国生くにうみ神話」で登場する「おのごろ島」伝承地。

永い年月をかけて波に削られた美しく神秘的な岩肌が特徴的な砂岩島で、
古来より景勝地としても知られ、多くの歌人によって歌に詠まれてきたナイススポット。

国生くにうみの舞台としては小島すぎて、神話のスケール感としては少々心許ない感じ。むしろ、景勝地としてチェックされるのがいいんじゃないかと。。

淡路島あわじしまにお越しの際は、是非お立ち寄りされてください。

 

絵島

所在地 〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋884−4
[map addr=”〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋884−4”]
営業時間 通年・24時間
電話
駐車場 無し。近くの岩屋ポートビル市営駐車場を利用。
アクセス 神戸淡路鳴門自動車道「淡路IC」から国道28号を岩屋方面へ車で1kmほど

 

淡路島にある日本神話伝承地はコチラ!

国生み神話もしっかりチェック!

国生み神話
『日本書紀』第四段
『日本書紀』第四段
『日本書紀』第四段

 



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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他
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