「伊弉諾神宮」は、兵庫県淡路市多賀にある神宮。
ココ、
日本神話を代表する神様「伊奘諾尊(♂)」が隠居した地とされるスポット。
明治時代以前は、
背後の森というか「小山」が伊奘諾尊の「陵墓」として位置づけられ、「禁足の聖地」でありました。
明治以降、
陵墓の手前に本殿が設けられ、現在のような社殿を持つスタイルになってます。
境内は、約15000坪という広大さで、深い木々に覆われ神聖な空気がとても心地良い。
今回は、日本神話コンテンツをはじめ、「日本最古のお社」と言われる「伊弉諾神宮」の全貌をたっぷりご紹介します。
伊弉諾(いざなぎ)神宮|伊奘諾尊の隠居地「幽宮」!伊弉諾神宮の魅力と日本神話をまとめてご紹介!
目次
日本神話で伝える伊弉諾神宮の経緯
まずは、当サイトならではの、日本神話で伝える「伊弉諾神宮」の起源をご紹介。
コレを知れば、
「伊弉諾神宮」のスゴさとか神秘な感じがまるっとご理解いただけるはず!
で、
「伊弉諾神宮」の起源を伝えるのは、『日本書紀』巻一(神代上)第六段〔本伝〕。
それまでの経緯が重要で、
コチラ、
- 第四段〔本伝〕では、日本の国土たる「大八洲国」を産み、
- 第五段〔本伝〕では、山川草木を産み、さらに日神、月神、素戔嗚尊の三神を産む
- さらに、第五段の異伝では、万物産み、神産みのほか、生と死を断絶し、伊奘冉尊とも別離を果たした。。。
と、
伊奘諾尊、いろいろ産んで、やらかして、別れを経てきた訳ですね。
こうした多くの事績を踏まえての内容、それが第六段〔本伝〕であります。
この後、伊奘諾尊は神としての功業を全て終え、自身の命運が遷ろうとしていた。そこで、幽宮を淡路洲に造って、静かに長くお隠れになった。
また他の伝承では、伊奘諾尊はその事業をすでに終え、その神徳も偉大であった。そこで、天に昇って報告し、そして「日の少宮」に留って住んだともいう。
是後伊奘諾尊神功既畢。霊運当遷。是以構幽宮於淡路之洲。寂然長隠者矣。亦曰。伊奘諾尊功既至矣。徳文大矣。於是登天報命。仍留宅於日之少宮矣。 (『日本書紀』第六段「本伝」より一部抜粋)
上記、太字部分が重要なポイント。
- 「神功」は、神妙不可思議な功業・仕事の事。具体的には、国生みや神生みなど。これがもはや終了したということ。
- 「霊運」は、霊異なさだめ、命運(運命)の事(晋書・宣帝紀の「漢運方微」より)。具体的には、伊奘諾尊の命運(運命)。これが遷ろうとしている、尽きようとしている、ということ。
つまり、
国生みや神生みなどの神妙な功業を終え、
自分自身の霊異な定めが、今まさに尽きようとしている。
そのタイミングで、
幽宮(この世界から退去して居住する宮)を、淡路の洲に構築・造営して退隠した
ということ。
この「幽宮」が、
今回ご紹介する「伊弉諾神宮」という訳ですね。
ちなみに、、、
「幽宮」の「幽」については、国譲り神話でも登場する重要概念。
「大己貴神(=大国主神)」が国を譲り、退くときに同じ「幽」という言葉が登場。
コチラ。
私が治めている顕露事は、今後は皇孫が治めになってください。私は退いて幽事をつかさどりましょう。 (『日本書紀』第九段〔一書2〕より一部抜粋)
と、
ココでは、
- 顕露事
- 幽事
という、2項対立の世界観が伝えられてます。
「顕露事」とは、目に見える(顕露)世界のこと。高天原から地上の葦原中国を含む世界であり、治政を含む意味アリ。
一方、「幽事」とは、目に見えない神の世界(身を隠した神々のいる世界)のことで、一般的には「神事」のことを言います。
日本神話には、このように、「目に見える世界(顕露)」と「目に見えない世界(幽)」の2つがあり、
今回、伊奘諾尊が隠居した「幽宮」も、目に見える世界から退去し、目に見えない世界へ入ることを踏まえた内容だということ、しっかりチェック。
そうなると、、、ココ「幽宮」とされる「伊弉諾神宮」は、幽冥の世界へ通じる超絶パワースポットなのかもしれませぬ。。。コレ、神話ロマン。
さて、
もう一つ解説を。
先ほどの第六段〔本伝〕後半では、別伝・異伝を伝えてました。「亦曰」の後。
そこで伝える、「天に昇って報告し」について。
コレ、実は、第四段〔一書1〕の内容を踏まえてます。
「天神」が伊奘諾・伊奘冉尊に地上統治を命じた経緯があるのですが、
この「天に昇って報告し(原文:報命)」は、そうした経緯を受けて、事業完了報告を天神に行ったことをいいます。
つながってるんです。しっかり異伝である〔一書〕の内容も盛り込んで。
さらに、
続く「日の少宮」とは、
イメージとして、日は夜沈んで翌朝蘇生復活して東天に昇るといった信仰が背景にアリ。
伊奘諾尊がそこに常住するというのは、
尊が復活する若い男性の太陽神であることを意味するとかしないとか。これは、女性の太陽神たる天照大神の「日の大宮」に対応する言葉だったりします。
と、
まー、神話ロマンがたっぷりつまった超重要スポット、「伊弉諾神宮」参拝前には是非チェックされてください。スゴイでしょ?
ちなみに、、、
実は、伊奘諾尊が隠居した地は、ココ淡路の「幽宮」の他にも、『古事記』では「淡海の多賀」(真福寺本)とする伝承もあったりします。本件、別稿で詳しく。
伊弉諾神宮の場所
兵庫県淡路市多賀。
この地名も、『日本書紀』と『古事記』が交錯した感じで。『日本書紀』では「淡路」とだけ記載され、『古事記』では「多賀」という場所を伝えております。
位置的には、淡路島の北。
神戸淡路鳴門自動車道の「津名一宮」インターを出て右手へ、88号線を5~10分ほど行ったところにあります。
▲コチラ、「伊弉諾神宮」入口手前のビュー。周辺は、ほのぼのした淡路島の時間が流れる田園地帯が広がっております。
駐車場もあり。
伊弉諾神宮正面の右裏手。結構広いのでお祭り時以外は待つことはありません。
公共交通機関利用の場合は、大阪など関西周辺の主要駅から高速バスで「津名港ターミナル」へ。ここから淡路交通のバスがあります。片道20分ほどで420円。
伊弉諾神宮の境内
▲こちら、伊弉諾神宮入口のビュー。日本遺産認定。
▲シンプルな石鳥居。大鳥居の奥、美しい参道が続きます。
▲参道右手にある「さざれ石」。さざれ石が巌となるほどのながーい年月を祈って。。。石が成長するという信仰から。
▲それにしてもシンプルな美しさが印象的な参道です。小石を踏みしめザクザク参りましょう。
▲伊弉諾神宮の中之鳥居。
▲中之鳥居をくぐると、神橋があります。世俗と神域(伊弉諾神宮)を分ける境界といった感じでしょうか。
▲神橋からのビュー。コチラ、「放生の神池」と呼ばれる池があります。その昔、「伊弉諾神宮」周辺に濠がめぐらされていて、その名残。
「放生」とは、鳥や魚を放すこと。
古くは「放生神事」という行事があり、ここで生き物を放すことで、命の永遠を祈っていました。今でも「病気平癒」のための命乞に「鯉」を、快癒の感謝に「亀」を放つ信仰あり。
ここから、、、
▲手水舎の水を灌ぐところにも「亀」が! そしてひしゃくには「幽宮」の文字が!!
▲こちらが伊弉諾神宮「正門」です。堂々たる佇まいですね。
キタ━(゚∀゚)━!!!!!伊奘諾尊が隠居した地「幽宮」!
夢にまで見た場所、、、涙。サイコーだ!
明治時代まで、伊弉諾神宮背後の森は「御陵地」とされ「禁足の聖地」。
明治に入り、これを整地して現在の場所に移築したのがコチラノ拝殿+奥にある奉殿であります。
伊弉諾神宮のご祭神とご利益
ご祭神:伊奘諾尊
ご利益:国生み・神生みの御神威から、開運厄除け、心身浄化、病気平癒、安産・子授け、夫婦円満、縁結び
日本神話を代表する伊奘諾尊。この国や神様を生んだ祖神様としてご利益パワーは超絶。日々の感謝と合わせてお祈りされてください。
伊勢神宮遥拝所
▲こちらの方角に伊勢神宮が! 後ほどふれますが、当社は方角関連が超絶です。
夫婦の大楠
樹齢九百年にもなる古木!元は、二株の別々の木だったのが、結合して一株に成長したという珍樹であります!
▲和合やね。一つになっとるね。。
伊奘諾・伊奘冉の神霊の宿る御神木として信仰されてます。安産、子宝子授けや夫婦円満の祈願成就の信仰あり。
岩楠神社
ご祭神:蛭子命
ご利益:子孫繁栄、夫婦円満、延命長寿
当社のすぐそばには、、、
▲神桃絵馬が! 夫婦円満系の祈願がずらり!
頭髪感謝の碑
▲「髪」は「カミ」=「神」「上」に通じる言葉。古くから頭髪を生命存在の象徴として霊魂の宿るものと神聖化してきた経緯あり!
とのことで、理容美容業界の繁栄と平安を祈願する碑だそうです。。。スゲー
左右神社
ご祭神:天照大御神、月讀尊
ご利益:眼病治癒
伊弉諾神宮本殿の右手。本殿から見て東の方向=伊勢神宮の方角に位置するところ、そして伊奘諾の禊によって左眼(天照)と右眼(月読)が生まれたところ、の掛け合わせから眼病治癒の信仰が誕生。
鹿島神社、住吉神社
ご祭神:武甕槌神・経津主神(左手)、住吉三神(右手)
ご利益:農業守護、武運長久
伊弉諾神宮本殿の裏手にあります。こちらも、日本神話から。伊奘諾尊が火神を斬段したときに誕生した神を祖にもつ武甕槌神・経津主神。そして、禊のときに誕生した住吉三神であります。
根神社、竈神社
ご祭神:素戔嗚尊(左手)、奥津彦命・奥津姫命(右手)
ご利益:酒造や醸造の守護神、災難除け、火防の神
伊弉諾神宮本殿裏手の左側にあります。素戔嗚尊は日本神話から。
祓殿
▲神事や祈願の時の祓いの場所として。本殿正面を見て左手にあります。
力石
▲「力くらべに使はれた石」とのことで、、、 私は、、持ち上がりませんでした。。。
淡路祖霊社
▲伊弉諾神宮本殿正面を見て、右手の奥にあります。
ご祭神:淡路国出身のご先祖様方々、伊弉諾神宮の歴代祀職の方々
ということで、境内の各社は以上です。
そして、、、
陽の道しるべ
▲コチラ、中之鳥居の左手にあります。「伊弉諾神宮」を中心として、太陽の運行に合わせて主要な神社・神宮がある!という超絶ミステリー系の内容になっとります。
ズバリ!
で、
東西南北方面に、、、
▲東は、伊勢神宮。
▲西は、海神神社!
南は、諭鶴羽神社!
▲北は出石神社!
と、まー、見事に東西南北、夏至・冬至の日の出と日の入が神社立地と対応しているというお話。その中心が「伊弉諾神宮」なのであります!
まとめ
伊弉諾神宮
兵庫県淡路市多賀にある「伊弉諾神宮」。
日本神話を代表する神様「伊奘諾尊」が隠居した地として知られます。
明治時代以前は、背後の小山が伊奘諾尊の陵墓として位置づけられ「禁足の地」でありました。明治以降、陵墓の手前に本殿が設けられ、現在のような社殿を持つスタイルに。
境内は、約15000坪という広大さで、木々に覆われ神聖な空気が流れています。
特に、太陽の運行とあわせた神社・神宮の立地説は、神話ロマンのみならずミステリーというか古代天文学というかいろんなロマンを掻き立ててくれる超絶スポットでもあります。
「伊弉諾神宮」ご参拝には是非、日本神話コンテンツと合わせてチェックされてください。
伊弉諾神宮
住所 | 〒656-1521 兵庫県淡路市多賀740 |
駐車場 | あり |
トイレ | あり |
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