上立神岩|国生みの舞台!伊奘諾尊と伊奘冉尊が柱巡りをした上立神岩を日本神話と合わせて現場レポ!

 

上立神岩かみたてがみいわ」は、兵庫県南あわじ市、沼島にある高さ30mの巨岩。

沼島港から歩いて30分ほど、山を越えた先に広がる海にそびえたっています。

ココ、実は、「国生み神話」の舞台として知られるスポット。

伊奘諾尊と伊奘冉尊の2神が柱巡りをした場所と伝えられており、縁結び的には日本最古にして最強のパワースポット。

今回は、日本神話ファンとしては鉄板のビジットスポットを、日本神話とあわせてご紹介します。

 

上立神岩|国生みの舞台!伊奘諾尊と伊奘冉尊が柱巡りをした上立神岩を日本神話と合わせて現場レポ!

上立神岩の場所

兵庫県南あわじ市にある沼島にあります。

島です。島。沼島。

個人的には、国生みで使用された「天沼矛(古事記で登場)」との関連を勝手に想像。「沼島」。

●参考→ 天之瓊矛/天沼矛|矛で嶋を成す?国生みで二神が使用した特殊な矛「天之瓊矛/天沼矛」を徹底解説!

元を辿れば、『日本書紀』で伊奘諾尊と伊奘冉尊の二神が国生みに使った天之瓊矛あまのぬほこからで。『日本書紀』では、わざわざ「けいとは玉である。ここではという)」という注を付しているように、「玉=宝石」という意味と「ぬ」という音を一緒にしたかったことが推測されます。「ぬ」という言葉の響きが、古代人にとって、いや、神様にとっても重要だったということで、、

そんな沼島。

沼島へは、淡路島にある「土生湊」から「沼島汽船」で10分の船旅。

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沼島自体は、こんな感じの島で、

沼島地図

▲上立神岩は、地図下、「現在地」である沼島漁港からみて、山を越えて反対側にあります。

 

まずは、港からの道筋をご紹介。

沼島ターミナルセンター出て、港を左手に見ながら街の方へ向かいます。

沼島

先のエントリでも書きましたが、

島内を観光する前に、帰りの船の時間をチェックしておきましょう。間違えると大変だ。。。

港のターミナル内に置いてある地図と、標識を頼りに進みます。イメージ的には、住宅街を抜けて、山を越えて向こう側。

沼島

▲のんびりとした時間が流れる沼島漁港。なんせ神話の舞台とされる場所ですから、時間軸は神話で行きましょう。

 

上立神岩 沼島

▲こっちだよと誘う標識がありますので、それに従って進んでいきます。

 

上立神岩 沼島

 

上立神岩 沼島

▲住宅地を抜けると荒野が、、、いや、畑が。。。

 

▲途中、沼島中学校と沼島小学校。左手に見ながら進む。

 

小学校の先からは、山道に入ってきます。

上立神岩への道

 

ゆるやかな坂道。

上立神岩への道

おおおおおおお! 坂道が切れるところが見えてきた! なんか海が広がってる??!

 

上立神岩への道

キタ━(゚∀゚)━! 海!

 

ってことは、、、?

上立神岩への道

ジグザグの道を下っていく、、、

 

上立神岩への道

どこだ、どこにあるんだー!!!

 

上立神岩への道

だんだん近づいてる感じがするっ・・・ドキドキ

 

からの、、、

上立神岩への道

キタ━(゚∀゚)━!‼‼‼‼‼

あれが上立神岩かみたてがみいわ!!! とうとう来ました!!国生みの舞台!!!!!

 

上立神岩(天の御柱)

ゴツゴツした岩場を、行けるところまで行ってみた上立神岩!!!

コレが、、

国生み神話で、伊奘諾と伊奘冉が周囲を回って結婚した「天の御柱」!

と伝えられる岩!スゲー!!!!!

 

上立神岩

、、って、

天の御柱って、ずいぶん小さいね、、、もっと巨大なものをイメージしていたんですが、、、

日本神話を伝える『日本書紀』では、

二柱の神は、ここにその嶋(磤馭慮嶋おのごろしま)に降り居ると、共に夫婦となり、国を産もうとした。そこで、磤馭慮嶋を、国の中心である柱とし、陽神をかみは左から巡り、陰神めかみは右から巡った。(第四段 本伝より)

とあり、

磤馭慮嶋を、国の中心である柱とし、陽神(伊奘諾尊)が左から、陰神(伊奘冉尊)が右から巡った、と伝えてます。

嶋を柱としたんすよ。嶋を。

こんなちっさいヤツじゃない!!!

と言いたい。。

ちなみに、、『古事記』では、

其の嶋(しま)に天降あもりして、あめ御柱みはしらを見立て、八尋やひろ殿どのを見立てになった。(『古事記』上巻より)

と伝えており、

嶋に天御柱を見立てた、ってことで。どちらかというと、現物は『古事記』の方が近い?

いずれにしても

こんな小さいわけがない! しかも海の上じゃない!! 嶋だ、嶋に立てたんだ!!!

、、とは言いたい。

 

現地立札説明文では、、

「矛先」のような形をした沼島のシンボルの岩です。高さ30mで国生み神話の「天の御柱」とも言われております。主として、緑泥片岩からなる巨岩で海鵜の休息場となっています。和漢三才図会では、竜宮城伝説の表門ともいわれ、国生み神話の舞台となっています。

※和漢三才図会(わかんさんさいずえ)とは、1712年(正徳2年)頃出版された日本の百科事典です。いわば、絵入りの百科事典とでもいうもので、項目ごとに異なった執筆者により記事が執筆されています。 ※現地立て札説明文より

ということで。ふーん。

 

上立神岩

にしても、岩!な感じがハンパない。。。辺り一面「緑泥片岩」!

 

上立神岩にちなむ日本神話

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今回は、せっかくなので、正史『日本書紀』でご紹介。

「国生み神話」が登場するのは、巻第一(神代上)第四段です。本伝と、異伝である一書がありますが、今回は本伝からご紹介。

以下、国生み部分を抜粋します。

 伊奘諾尊いざなきのみこと伊奘冉尊いざなみのみこと二柱ふたはしらの神は、天浮橋あまのうきはしの上に立って共にはかり、「この下の底に、きっと国があるはずだ。」と言った。そこで、天之瓊矛あまのぬほこを指し下ろして探ってみると海を獲た。そのほこの先から滴り落ちた潮が自然に凝り固まり、一つの嶋と成った。それを名付けて「磤馭慮嶋おのごろしま」といった。

 二柱の神は、ここにその島に降り居ると、共に夫婦となり、国を産もうとした。そこで、磤馭慮嶋を、国の中心である柱とし、陽神をかみは左から巡り、陰神めかみは右から巡った。分かれて国の柱を巡り、同じ所であい会したその時、陰神めかみが先に唱え、「ああ嬉しい、いい若者に会ったことよ。」と言った。

 陽神をかみはそれをよろこばず、「私が男だ。ことわりの上では、まず私から唱えるべきなのだ。どうして女が理に反して先に言葉を発したのだ。これは全く不吉な事だ。改めて巡るのがよい。」と言った。

 ここに、二柱の神はもう一度やり直してあいかいした。今度は陽神をかみが先に唱え、「ああ嬉しい。可愛い少女をとめに会ったことよ。」と言った。

 そこで陰神に「お前の身体には、なにか形を成しているところがあるか。」と問うた。それに対し、陰神が「私の身体には女の元のところがあります。」と答えた。陽神は「私の身体にもまた、男の元のところがある。私の身体の元のところを、お前の身体の元のところに合わせようと思う。」と言った。ここで陰陽(男女)が始めて交合こうごうし、夫婦となったのである。

上立神岩 国生みの舞台

伊奘諾尊・伊奘冉尊、立於天浮橋之上、共計曰、底下豈無国歟、廼以天之瓊矛、指下而探之、是獲滄溟。其矛鋒滴瀝之潮、凝成一嶋。名之曰磤馭慮嶋。二神於是降居彼嶋、因欲共為夫婦、産生洲国。便以磤馭慮嶋、為国中之柱。而陽神左旋。陰神右旋。分巡国柱、同会一面。時陰神先唱曰。憙哉。遇可美少男焉。陽神不悦。曰。吾是男子。理当先唱。如何婦人反先言乎。事既不祥。宜以改旋。於是二神却更相遇。是行也陽神先唱曰。憙哉。遇可美少女。因問陰神曰。汝身有何成耶。対曰。吾身有一雌元之処。陽神曰。吾身亦有雄元之処。思欲以吾身元処、合汝身之元処。於是陰陽始遘合為夫婦。(『日本書紀』第四段〔本伝〕より一部抜粋)

陽神先唱、陰神後唱の大原則

国生み神話いかがでしたでしょうか?

意外にも、、結構、手順ガチガチな感じがあったかと思います。

実際、

  1. 陽神(♂)が左まわり、陰神(♀)が右まわり
  2. 陽神(♂)が先に唱和、陰神(♀)が後に唱和

となっていて、かなり儀礼的な雰囲気が漂います。

ちなみに、古代の序列は、左が上。例えば、左大臣のほうが右大臣より上。というように、左上位。

結婚=儀式として、柱を旋回したとき、陰神が先に声を上げたことを陽神は「あかんやんけ!」と注意、もう一回やり直したという次第。これも、結婚=儀式として、きちんとした手順、ルールに沿って行うべし、という鉄の掟があるからなんすね。

詳しくはコチラ→ 『日本書紀』巻第一(神代上)第四段 本伝 ~聖婚、洲国生み~

こんなやりとりが、この上立神岩で行われていたかと思うと、もうサイコー!!ですね。どこまでも広がる神話ロマン。本エントリをお読みの皆様も是非。

「磤馭慮嶋」の場所は諸説あり

「磤馭慮」とは「自ずから凝り固まった」の意味。古くから場所が問題となり、代表的なところで、

  1. 和歌山県紀淡海峡中の沖ノ島
  2. 兵庫県三原郡南淡町の沼島
  3. 兵庫県津名郡淡路町の絵島

の3つがあり、諸説紛糾。

逆に言うと、神話ロマンをこれでもかと掻き立ててくれる島。今回は、そんな中で、②の沼島を訪れてる次第。

なお、現地では、ここから派生した伝承があります。

イザナギ、イザナミの二神がおのころ島に降り立ちられ、イザナギが左より、イザナミが右より上立神岩の前にある「ゆるぎバエ」で夫婦になろうとしたところ、その営みの方法を知らなかったことに気づきました。するとどこからか二羽のセキレイが舞い降り、近くの岩にとまり尾をゆさぶって男神・女神に夫婦の道をさとしたというお話は今でも語り伝えられています。(沼島観光協会より)

こうした発展形に触れるのも旅の楽しみの一つ。是非チェックされてください。

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まとめ

上立神岩

沼島にある高さ30mの巨岩。

ココ、日本神話における「国生み神話」の舞台として知られるスポットで、伊奘諾尊と伊奘冉尊の2神が結婚した場所。ま、縁結び的には日本最古にして最強のパワースポットだと思います。

沼島港から歩いて30分ほど、山を越えた先に広がる海にそびえたっています。日本神話ファンとしては泣いて喜ぶスポット。是非チェックされてください。

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)

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    参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他