神武東征ルートを行くシリーズ
目次
どこまでもアツく奥ゆかしい日本建国神話である「神武東征神話」。でも、「それってホントにあったの?」「ウソでしょ!?」「実際どこよ?」的な興味と疑問にお答えするシリーズ。
なんと、嬉しいことに西日本を中心に「多分ココ的なところ」を集めたスポットがあるのです!
それが、顕彰碑とか伝承碑の皆さんm9( ゚Д゚) ドーン!
日本建国神話の舞台ですから、超パワースポットであります。その地その地が選ばれたのは理由があるからで、それらの謎とかを神話ロマンと合わせて探っていこうという、これまた激しく奥ゆかしい取組みが本シリーズであります!
今回は、墨坂を取り上げます。
墨坂。
今となっては、誰も知らねーよ状態ですが、東征神話においては超重要スポットです。
墨坂の地が持つ意味とは?神武東征神話においてどのような意味があるのか?
こんなロマンを探ることで、墨坂が伝える神話的意味を考えます。
神武東征ルートを行く|墨坂伝承地|墨坂は敵パワーの源泉、火を象徴する場所だった件
『日本書紀』の神武紀では、「墨坂」は2か所で出てきます。
1つ目は、高倉山に登った時。「(敵である八十梟師らが)墨坂に真っ赤に焃る炭を置いて士気を高めていた。」と伝えます。
2つ目は、兄磯城(えしき)討伐の時。「菟田川の水を取って敵が墨坂に置く炭火に注いでその火を消し、その不意をつけば、敵の敗北は必定です。」と椎根津彦が作戦を建議します。
墨坂の地が持つ意味
ここから言える「墨坂」の地が持つ意味。
それは、敵パワーの源泉、という事。スピリット系。
- 真っ赤に熾る炭で士気を高める
- 敵の炭火に水を注いで消せば敵は負ける
いずれも、炭の火が敵のパワーを象徴しており、その源泉になっていたということです。

そうすると大きく2つのことがわかります。
1つ目。敵の重要拠点が墨坂である事。
敵は、墨坂の炭の火パワーを得て士気を高め鼓舞していた。
ということで、下記地図で示す敵勢力の重要拠点が墨坂として位置づけられます。

墨坂から火のパワーが流れ込み、国見丘や磐余の兄磯城の士気を高める役割を果たしていた、、、イメージ的には、墨坂から火のパワーが敵に流れ伝わってる感じ。。。

うん、神話っぽくなってきました。この超常感。
2つ目。丹生川上の儀式は敵の墨坂パワーの分断の意味あり
墨坂から火のパワーが敵に流れ伝わってるからこそ、丹生川上での儀式の意味が出てきます。
なんでこの場所なのか?ということ。
それは、国見丘の八十梟らにパワーを与えていた墨坂の火のパワーを分断するためです。
むしろ、この地でなければならなかったとも言えます。

▲丹生川上儀式(宇陀朝原)で、墨坂からの火のパワーを分断。
しかも、
儀式の内容は、墨坂の火に対して「水」。
水に関連する儀式を通じて必勝祈願とスーパー彦火火出見化を果たすのです。
そういう訳で、
墨坂から女坂、国見丘、男坂に流れていたパワーを分断し、敵の士気を削ぎ、国見丘で八十梟を破る。そして磐余の兄磯城も同様に、墨坂の炭に水を注ぎ消してしまう事で敵の士気を削ぎ、やっつける。
いずれも、分断又は消火により敵パワーを削いで討伐する流れです。
墨坂の設定は、歴史的背景が影響
そんな超重要パワースポットとも言える墨坂。
もっと広義でとらえると、この「榛原」の地は、2つの重要な意味を持っていました。
- 東の境界線上にあたる地
- 伊勢との交通の要所
古代、ここは「大和」から見て「東限の地」「東の境界の地」でした。墨坂を超えて東へ向かうと大和ではなくなるという訳です。
そして、伊勢との交通における要所でもありました。墨坂周辺(榛原)は山間の盆地的なところで、盆地を貫くように東西に国道165号線、伊勢街道が続いています。
「大和の平和維持」には境界線に位置する地域、つまり交通の要所をしっかり固める事が重要ですよね。
こうした背景から、榛原の地は古代より非常に重要な意味をもっていたのです。
そうした背景のなかで、墨坂攻略を捉えるとさらに深みが出てくると思います。
そんな墨坂。
伝承地として伝える碑がある訳です。激しくチェック。
墨坂伝承地の碑
場所は、コチラ。
▲確かに、坂だ!
▲いせ本街道沿いなんですね。これ、昔の街道で、ずーっと行くと伊勢に行く訳です。
この伝承地碑が建つ場所は、165号線から少し入った所。「いせ本街道」沿いです。
イメージ的には、峠の途中。少し南へ下ると榛原駅周辺盆地が見渡せます。確かに坂。
ここから敵陣地へ、遠く国見丘、磐余までパワーが届いていたかと思うと、その炭の火は相当もんのすごい勢いだったはず。
これだと山火事だ。。。でも高倉山から見えるくらいの炭の火なんで。。。
ということで、
恒例の。いきましょう。
こちら。

と、させていただきます。よろしくお願い申しあげます。
ちなみに、この周辺、西峠というところですが、もともとこの辺に墨坂神社があったようです。
それが移転して現在の墨坂神社の地に落ち着いたとか。。。
こうした墨坂の神話背景を踏まえると、明らかに墨坂神社が打ち出すべきは「水」ではなく「火」なんですけどね。。。
ツッコミどころの多い神社でもあります。
まとめ
墨坂伝承地
日本神話が伝える墨坂の意味。それは、敵パワーの源泉、という事。
真っ赤に熾る炭で士気を高める。敵の炭火に水を注いで消せば敵は負ける。というところから、その重要性や位置づけが見えてきます。
そうすると、見えてくる事大きく2つ。
1つ目。敵の重要拠点が墨坂であったこと。この墨坂からパワーをゲットしていた事。
2つ目。宇陀朝原での儀式は、敵パワーを分断するために行われたこと。しかも、墨坂の火に対して、水の儀式で分断した事。
このあたりの設定も、よく練られていると思います。
そんな超重要パワースポットの墨坂の地。伝承碑が建っています。また、坂を下っていくと墨坂神社もあります。是非現地をチェックしてみてくださいね。
墨坂伝承地碑
榛原駅から徒歩10分。北口を出て右へ。榛原小学校へ向かって坂道を上がっていきます。
駐車場無し
トイレ無し
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