水門吹上神社は、和歌山市にある神社。
地元では、紀州の「十日戎祭」発祥の地として有名で、正月9日、10日、11日の十日戎には多くの人々でにぎわいます。
ですが、実はココ、神武の長兄「五瀬命」が雄叫びをあげた地として、日本神話的に超重要なスポット。
今回は、当サイトならではの日本神話的な観点も踏まえた水門吹上神社のご紹介です。
水門吹上神社|紀州の十日戎祭発祥の地!ですが神話的には五瀬命が雄叫び上げた地として重要な神社
目次
水門吹上神社への道
和歌山市小野町、南海電鉄和歌山市駅より徒歩8分ほど。すぐ近くに紀の川が流れてます。
▲神社前の道路から。参拝した日は雨で、ちょうど東征神話のシーンともマッチしていてかなりイイ感じでした。後ほど説明。
▲「紀州十日戎発祥の社」の案内版。当社は、紀州えびすの総本社であります!
創建経緯
不詳。但し、承保2年(1075年)以前と考えられる。との事。コチラ、もともと「水門神社」と「吹上神社」という2つ別々の神社だったのが天正年間(1573―1591)に合祀された経緯あり。
水門神社は、不思議なお話がベース。その昔、紀水門の海上に、夜ごとに神光があらわれ、いつしか波に寄せられ浜辺に打ち上げられたのを見ると、戎様の神像であったとか。これを祭ったのが湊村。和歌山県海草郡にあった村。紀の川の河口付近。そこから鎮座地を移動されて現在の位置に。
吹上神社は、昔は、吹上三本松(今の植松町の南)という場所に鎮座していましたが、天正年間(1573―1591)に合祀。
大戦の戦災により社殿一切が消失し、戦後同じ社殿でお祭りし、水門吹上神社として現在にいたります。
▲しとしと降る雨が、五瀬命の痛みとか悔しさとかをあらわしているみたいで、、、神話ロマンをアゲてくれます。詳しくは後ほど。
▲入口頭上。確かに、2社の合祀であることが分かります。
御祭神
- 蛭兒神(戎様)
- 大己貴神(大黒様)
福の神を2神でお祀りするのは全国でも珍しい形式です。
御利益
商売繁盛、家内安全
十日えびす
正月9日、10日、11日は十日戎。福を授かるべくたくさんの人でにぎわいます。冒頭にも触れましたが、紀州の十日戎祭発祥の社として知られています。
牛の舌餅投げ
牛の舌餅という畳1枚程ある「のし餅」は、毎年11月23日の新嘗祭に、神饌としてお供えされます。そして祭典終了後、参詣者に投げ配られます。いつのころからは不明ですが、牛祭りに投げたものと言われているそうです。
笠森稲荷大神
と、商売系の特色のある神社なんですが、
当サイトとしては、コチラを激しく推させていただきます!
それは、
神武天皇聖蹟顕彰碑!
ド━(゚Д゚)━ン!!
なんのこっちゃ?というのはコチラで解消していただくとして、
ココ、水門吹上神社には、男水門顕彰碑が建っているという訳なんです!!!
それがこれだ!
うん、マニアック。
神武東征神話におけるこの地の位置づけはこちらで!
この「男水門」は『古事記』の言葉なんですが、この前段、大阪は生駒山の「孔舎衛坂」での激戦により、長兄「五瀬命」は重傷を負いました。また、神策をめぐらし「日を背に戦うため」紀伊半島を大きく迂回しようとします。この経緯の中で登場するのが男水門という訳。
「紀の川」河口付近の「山城水門」に到りますが、ここへきて「五瀬命」の傷が甚だしく悪化。五瀬は雄叫びをあげ、敵に復讐もできずに死ぬ無念を口にします。それがこの地なんです!
痛すぎたんでしょう。。。
雄叫びをあげるくらいなので。
その悔しさたるや、、、筆舌に尽くしがたく。。。
このあと、同じ和歌山市は竈山に到ったところでついに薨じられ、そのまま葬られます。
竈山についてはコチラ。
ここでの「長兄の死」は、単に「お兄さんが傷を受けて死んでしまった」だけではありません。このときの神武の無念は深く、以後、東征の目的に「かたき討ち」が追加されることになるということで、和歌山の地はその意味で非常に重要な位置づけになっているのです。
と、
まあ、敗戦直後の挫折感とか傷の痛みとか悔しさとか、結構ネガティブな感情に満ちた地だという事ですね。コレ神話ロマン。この地で全身で感じていただければと思います。
まとめ
水門吹上神社
地元では、紀州の十日戎祭発祥の地として有名で、正月9日、10日、11日の十日戎には多くの人々でにぎわいます。今では商売系の神社として親しまれていますが、実は実はココ、神武の長兄「五瀬命」が雄叫びをあげた地として重要なスポット。
そこには、敗戦直後の挫折感とか傷の痛みとか悔しさとか、結構ネガティブな感情が満ちていて、そういったロマンを感じながら参拝していただければと思います。
住所:和歌山市小野町2-1
南海電鉄和歌山市駅より徒歩8分
駐車場無し
トイレ無し
こちらの記事もどうぞ。オススメ関連エントリー
どこよりも分かりやすい日本神話解説シリーズはコチラ!
日本神話編纂の現場!奈良にカマン!
コメントを残す