『古事記』を中心に登場する神様をご紹介します。今回は「宇摩志阿斯訶備比古遅神」です。
『古事記』では「宇摩志阿斯訶備比古遅神」、『日本書紀』では「可美葦牙彦舅尊」として登場。
名義
立派な葦の芽の男性。
「宇摩志」は、良いものを心に感じて讃ほめる語。
「阿斯訶備」は春先に萌え出る葦の芽。
「訶備」は「黴」と同源の言葉で、物が発酵すること、芽吹くこと。
「比古遅」は、男性への親称。
活動と位置づけ
国土浮漂のとき、葦芽のように勢いよく芽生え伸びてゆくものを、神の依代として化成した独神で、身を隠していた別天つ神。
独神なので、男女の性別以前の神なのに、「比古遅」という男性への親称をつけるのは矛盾します。
しかし、これは、葦芽の形態と勢いから、陽神として捉えたことによる命名と思われます。
この神を天つ神としたのは、葦の芽が中空にあってなお天を志向しているから。
『日本書紀』神代紀上では、「国常立尊」とともに化成し、国土神として位置づけし、「始めて神人有り」と述べているように、人格神としているので、その意味からも「彦舅」をつけてもおかしくはありません。
葦芽が神名となったのは、葦の芽の勢いのよさにありますが、葦は元来、邪気を払う植物であったこと、また葦の生える土壌であれば必ず稲が育つという信仰に支えられてのことです。
始祖とする氏族
無し
登場箇所
『日本書紀』神代上:「可美葦牙彦舅尊」
『古事記』上:「宇摩志阿斯訶備比古遅神」
参考文献:新潮日本古典集成 『古事記』より 一部分かりやすく現代風修正。
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