愛比売(えひめ)|かわいい女神。国生みの2番目に生まれた子(嶋)「伊豫之二名嶋」にある4つの顔(国)のひとつ、伊豫国を神格化

愛比売

Contents

 

『古事記』神話をもとに、日本神話に登場する神様を分かりやすく解説します。

今回は

愛比売えひめ

です。伊豫之二名嶋いよのふたなのしま(現在の、四国)の4つある国の一つ、伊豫国いよのくに(現在の、愛媛県)の名として、『古事記』上巻、国生み神話で登場します。

 

愛比売(えひめ)|かわいい女神。国生みの2番目に生まれた子(嶋)「伊豫之二名嶋」にある4つの顔(国)のひとつ、伊豫国を神格化

愛比売とは?その名義

愛比売えひめ」= かわいい女神

伊豫之二名嶋いよのふたなのしま(現在の、四国)の4つある国の一つ、伊豫国いよのくに(現在の、愛媛県)の名。

『古事記』では、伊豫之二名嶋いよのふたなのしまは「身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る」として、この顔(国)ごとの名として「愛比売えひめ」を伝えます。

「愛」は、ア行のエの音を表す音仮名。「愛すべき・かわいい・立派な」の意。

「比売」は、もともとは「霊女」の意だったのが、女性一般をさすようになりました。

愛比売えひめ」=「愛すべき・かわいい・立派な」+「霊女(女性)」= かわいい女神

 

愛比売が登場する日本神話

愛比売えひめ」が登場するのは、『古事記』上巻国生み神話。以下のように伝えてます。

このように言ひ終わって御合みあひして生んだ子は、淡道之穗之狹別嶋あはぢのほのさわけのしま。次に、伊豫之二名嶋いよのふたなのしまを生んだ。此の嶋は、身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る。伊豫国いよのくに愛比売えひめといい讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこといい、粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめといい、土左国とさのくに建依別たけよりわけという。次に、隠伎之三子嶋おきのみつごのしまを生んだ。またの名は天之忍許呂別あめのおしころわけ。次に、筑紫嶋を生んだ。この嶋もまた、身一つにして顔が四つ有る。顔毎に名が有る。筑紫国は白日別しらひわけといい、豊国とよのくに豊日別とよひわけといい、肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけといい、熊曾国くまそのくに建日別たけひわけという。次に、伊岐嶋いきのしまを生んだ。またの名は天比登都柱あめひとつばしらという。次に、津嶋を生んだ。またの名は天之狹手依比売あめのさでよりひめという。次に、佐度嶋さどのしまを生んだ。次に、大倭豊秋津嶋おほやまととよあきづしまを生んだ。またの名は天御虚空豊秋津根別あまつみそらとよあきづねわけという。ゆえに、この八嶋やしまを先に生んだことに因って、大八嶋国おほやしまくにという。 (引用:『古事記』上巻より一部抜粋

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『古事記』国生みの2番目に生まれた子(嶋)が「伊豫之二名嶋いよのふたなのしま」。で、この嶋には、顔が4つあり、顔ごとに名前があると。そのなかで、伊豫国いよのくにに相当する部分(顔)を「愛比売えひめ」と名付けて伝えてます。嶋なので、その後の活動はありません。

国生みは、生まれる嶋の順番が結構大事なポイントで、、

『古事記』国生みの順番

大八嶋国おほやしまくにとして、左回りに生んだ8つの島の2番目が「伊豫之二名嶋いよのふたなのしま」。その4つある顔の一つが「愛比売えひめ」。

生まれる順番についての突っ込んだ解説はコチラ↓で!

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さらに、

古事記こじき』は、生んだ嶋に神名をつけることで神格化してるのがポイント。

特徴として、男と女の名(比古ひこ比売ひめ等)、四国は穀物系、九州はお日様系、といった感じで。

この理由は、誕生した大八嶋国おほやしまくにが、伊耶那岐いざなき伊耶那美いざなみの子供であること、血縁関係にあること、生まれた島々が血脈によるつながりをもっていることを明確にするため。

もっというと、

名付け=親権の発生

であり、伊耶那岐いざなき伊耶那美いざなみが親としての責任をもって、それこそ修理固成によって「瑞穂の国」へ仕上げていくことを意味してる訳です。

 

愛比売を始祖とする氏族

嶋の名なので、氏族の始祖とはなりません。

 

「愛比売」が登場する日本神話はコチラ!

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参考文献:新潮日本古典集成 『古事記』より一部分かりやすく現代風に修正。

コチラも是非!日本神話の流れに沿って分かりやすくまとめてます!

日本神話の神様一覧|日本神話に登場し活躍する神様を『古事記』を中心にまとめ

 

 

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他