日本神話に登場するいろいろな言葉、語句を解説します。今回は「別天神」です。
『古事記』に独自な神であり、「国之常立神」に始まる「神世七代」の神々に先立って誕生する神。
『古事記』の伝承では、この神々が天地(高天原)の始まりに伴って誕生する祖先神ということなります。
この別天神は5柱です。
最初に高天原で誕生する3神と、次に、できたばかりで形の定まらない国に誕生した2神の、都合5柱です。
一覧整理するとこんな感じ。

上記は『古事記』伝承ですが、
『日本書紀』の神代紀では、天地の始まりに伴って最初に誕生した「純男」と、続いて誕生した「対偶神(男神と女神の一組)」とを一括して「神世七代」と称しています。
なので、『日本書紀』から眺めると、『古事記』は「神世七代」のさらに前に「別天神」を置いていることになります。
ポイントはこの視点で、
「別」とは、まさしく「神世七代」に先立って特別に誕生したことを強調する表現であるということ。
現に、最初の始祖神は、天の至尊・至高の場であり、のちに天照大御神が君臨統治する「高天の原」で誕生するわけです。
『古事記』は、こうして『日本書紀』の神代紀が伝える神よりさらに尊貴な神としての特別な地位を別天神に与えている、とも言えて。
そこに、神代紀を向こうにまわしていっそう尊貴な神々の体系を構築しようとした『古事記』のいわば野心的なものが見え隠れする訳です。
一方で、これをいうには『古事記』と『日本書紀』との成立の先後を見極める必要があるのですが。。。
いずれにしても、
『古事記』単体で「別天神」のことを理解しようとしても、「神世七代より先だって誕生した尊貴な神々」としか言いようがないのですが、『日本書紀』との比較から眺めることで、その位置づけや解釈に奥行きや深みがでてくるのは間違いありません。
神々についての詳細はコチラから。
⇒「天之御中主神|高天の原の神聖な中央に位置する主君。天地初発の時に高天の原に成りました最初の神。」
⇒「高御産巣日神|造化三神の一柱で天之御中主神に次いで2番目に成りました独神で別天つ神。「産霊」ならびに「産日」の霊能を発動。」
⇒「神産巣日神|造化三神の一柱で3番目に成りました独神で別天つ神。生命体の蘇生復活を掌る至上神。」
⇒「宇摩志阿斯訶備比古遅神|国土浮漂のとき、葦芽のように勢いよく芽生え伸びてゆくものを、神の依代として化成した独神で、身を隠していた別天つ神」
⇒「天之常立神|国土浮漂のとき、葦芽に依って化成した独神。天空が永久に立ち続ける様子を現す。」
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