『古事記』神話をもとに、日本神話に登場する神様を分かりやすく解説します。
今回は
「風木津別之忍男神」
伊耶那岐命と伊耶那美命による国生みのあと、神生みへ突入するのですが、その7番目に生んだ神として、『古事記』上巻、神生み神話で登場。
本エントリでは、「風木津別之忍男神」の神名の名義、誕生にまつわる神話を分かりやすく解説します。
- 日本神話全体の流れや構造を解き明かしながら解説。他には無い分かりやすい記事です
- 現代語訳のほか原文も掲載。日本神話編纂当時の雰囲気を感じてもらえます
- 登場する神様や重要ワードへのリンク付き。より深く知りたい方にもオススメです
風木津別之忍男神かざもつわけのおしをのかみ|風に吹かれる樹木の威力ある男神!伊邪那岐命・伊邪那美命による神生みの7番目に誕生
名義
「風木津別之忍男神」= 風に吹かれる樹木の威力ある男神
誕生箇所
『古事記』上巻。
伊邪那岐命と伊邪那美命の二神による「国生み」から「神生み」へ、継起的に続行する中で、最初に生んだ10柱の神の一つ。
既に国を生み竟へて、更に神を生んだ。ゆえに、生んだ神の名は、大事忍男神。次に石土毘古神を生み、次に石巣比売神を生み、次に大戸日別神を生み、次に天之吹男神を生み、次に大屋毘古神を生み、次に風木津別之忍男神を生み、次に海の神、名は大綿津見神を生み、次に水戸神、名は速秋津日子神、次に妹速秋津比売神を生んだ。(大事忍男神より秋津比賣神に至るまで、幷せて十神ぞ。)
既生國竟、更生神。故、生神名、大事忍男神、次生石土毘古神訓(石云伊波、亦毘古二字以音。下效此也)、次生石巢比賣神、次生大戸日別神、次生天之吹上男神、次生大屋毘古神、次生風木津別之忍男神(訓風云加邪、訓木以音)、次生海神、名大綿津見神、次生水戸神、名速秋津日子神、次妹速秋津比賣神。自大事忍男神至秋津比賣神、幷十神。 (引用:『古事記』上巻の神生みより一部抜粋)
ということで。
国生みが終わり、さらに神生みへ突入。
系譜は以下の通り。
それぞれ
N | 神名 | どんな神? |
1 | 大事忍男神 | これから神を生みなす大いなる事業を成す威力のある神 |
2 | 石土毘古神 | 岩のような土の男神 |
3 | 石巣比売神 | 岩のようなすみかの女神 |
4 | 大戸日別神 | 大きな出入口に射す日の男神 |
5 | 天之吹男神 | 天上の気息を吹き付ける男神 |
6 | 大屋毘古神 | 大きな家屋の男神 |
7 | 風木津別之忍男神 | 風に吹かれる樹木の威力ある男神 |
8 | 大綿津見神 | 海の神 |
9 | 速秋津日子神 | 水門の神 |
10 | 妹速秋津比売神 |
なんですが、、
実際のところ、この10神については不可解。。体系なり、統一性なりが見いだせないのが正直なところ。
7の「風木津別之忍男神」までは、大八嶋国の上に生むと推定されるので、土台形成的な意味をもち、8の大綿津見神という海の前なので、自然物のようにも考えられますが、、、やはり、体系や統一性は不明。
住居関連と括る解説が多いのですが、それはそのような雰囲気がする、というだけで勝手な解釈です。例えば、「天之吹男神」は、神名の原義で純粋に解釈すると「天上の気息を吹き付ける男神」となり、これが住居と関連するかは分からない。「萱葺」といった解説もあったりしますが、実際には分かりません。説明をつけたがる気持ちは分かりますが、捻じ曲げはご法度です。
一応、あえて定義するなら、
大八嶋国の土台、そこに生起する自然物、自然現象
って感じがギリギリ。これ以上はホント、よくわからないのです。
活動
無し
どこよりも分かりやすい日本神話解説シリーズはコチラ!
ついでに日本の建国神話もチェック!
日本神話編纂の現場!奈良にカマン!
コメントを残す