鳥見山靈畤|神武天皇が斎場(靈畤)を設けて皇祖である天神を祭った場所!神武東征神話と合わせて鳥見山靈畤を現地レポ!

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鳥見山とみやま霊畤れいしは、奈良なら桜井さくらい桜井さくらいにある鳥見山とみやまにある斎場。

ココ、初代しょだい天皇である「神武じんむ天皇」が、東征とうせいミッション達成後、途上でいただいた神助しんじょに対する「こう孝行こうこう)」として、皇祖神こうそしん天神あまつかみを祀った場所。

天皇が祭祀さいし継承けいしょうしている根拠、その原型がココにあり。

てことで、日本神話ファンとしては鉄板のビジットスポットであります。

今回は、そんな神代かみよと歴史の転換点に由来する超重要神話スポット「鳥見山とみやま霊畤れいし」をご紹介します。

 

鳥見山靈畤|神武天皇が斎場(靈畤)を設けて皇祖である天神を祭った場所!神武東征神話と合わせて鳥見山靈畤を現地レポ!

鳥見山靈畤に関わる日本神話

まずは、「鳥見山とみやま霊畤れいし」に関連する日本神話をご紹介。コレ、当サイトならでは。独自コンテンツ。

日本の建国神話である「神武東征神話じんむとうせいしんわ」から。まずは、コレ↓で全体の流れをチェック。

【保存版】神武東征神話を丸ごと解説!東征ルートと地図でたどる日本最古の英雄譚。シリーズ形式で分かりやすくまとめ!

01/13/2016

この壮大な建国神話の最後、

東征とうせいを果たし、日本を建国、初代しょだい天皇として即位そくいしたところで、神武じんむ天皇が、これまでのことを振り返って、総括そうかつするシーンがあります。

その中で、東征とうせいの途上でいただいた「神助しんじょ天照あまてらす救援きゅうえん天神あまつかみ支援しえん)」に対する孝行こうこうを宣言し実行。コチラ。

 四年春月の二十二日、(天皇は)みことのりして仰せられた。「我が皇祖の御霊みたまが天からくだりご覧になって、我が身を照らし助けてくださった。今、すでに諸々の賊を平定し、天下は何事もなく統治されている。そこで天神あまつかみ郊祀まつって、大孝たいこうの志を申しあげよう。

 そこで、斎場(靈畤まつりのにわ鳥見山とみのやまに設けて、その地を名付けて上小野うえつおの榛原はりはら下小野したつおの榛原はりはらといい、もって皇祖である天神を祭られた。 (『日本書紀』巻三〔神代紀〕より一部抜粋)

『日本書紀』 巻第三(神武紀)

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ということで。

日本神話版御恩ごおん奉公ほうこう

助けてもらったおかげで、日本を建国できました。なので、親孝行こうこうならぬ「天神あまつかみ孝行こうこう」を実践じっせんします

という内容。

まず、ご恩の具体的内容としては、、

我が皇祖こうそ御霊みたまが天からくだりご覧になって、我が身を照らし助けてくださった。」とあるように、東征とうせい過程でこんなに↓神助しんじょいただきました。

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さらに、天神あまつかみそのものではありませんが、こちらも天の支援しえんということで。おまけ。

『日本書紀』神武紀

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ほんとありがたい。。。

日本の建国は、神武じんむ天皇というリーダー一人のチカラで成し遂げられた訳じゃない。

そこには、優秀な部下の貢献や、天照あまてらす天神あまつかみ支援しえんがあって。皆様の貢献や支援しえんをいただいてようやく建国を果たすことができました。ありがとうございます。一同礼!

だからこその奉公。

天神あまつかみ郊祀まつって、大孝たいこうの志を申しあげよう。」(天神あまつかみ郊祀こうしし、ちて大孝たいこうもうすべし。(原文:可以郊祀天神、用申大孝者也。)という内容。郊祀こうし郊外こうがいで天を祭る儀礼」による「大孝たいこう(最大の孝行こうこう)」の実践じっせん

『日本書紀』 巻第三(神武紀)

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具体的には、

靈畤まつりのにわ鳥見山とみのやまに立てて天神あまつかみを祭る

というもので。「靈畤まつりのにわ」とは、斎場さいじょうのこと。

鳥見山とみやまに、お祭り用の祭壇さいだんを立て皇祖こうそである天神あまつかみを祀った。コレが大嘗祭だいじょうさいの起源とされてるのです。

等彌神社とみじんじゃ

 

鳥見山靈畤まつりのにわへのルート

場所は、奈良県桜井市。「等彌神社とみじんじゃ」の背後にある鳥見山の中にあります。

等彌(とみ)神社|大嘗祭発祥の地!鳥見山霊畤を背後に鎮座する等彌神社は日本神話的超絶パワースポット!

10/29/2019

 

等彌神社とみじんじゃ

鳥見山中とみさんちゅう靈畤まつりのにわ」へは、上津尾社かみつおしゃの左手に登山道口があります。ココから登っていきます。

鳥見山は標高245m、面積約50ha余りのなだらかな山容で、登るにつれ北に三輪山、南に音羽山系、東に外鎌山や初瀬谷などを眺めながら山頂へと至ります。途中、靈畤まつりのにわ拝所(是より160m、庭殿(同650m)、白庭(同890m)等を通り、山頂(同1000m)に至ります。

古より多くの方々が登下山された道で、広葉樹林では春の新緑や秋の紅葉など四季折々の自然を満喫していただくことができる散策路です。また、万葉歌碑などを楽しみながら、古代のロマンを味わっていただけます。

植林された中を通過しますので、火の用心、ごみの持ち帰りなど、入山者は十分に気をつけてください。 (鳥見山中靈畤顕彰会)

とのことで、

ココからは神聖な場所になりますので、ゴミとか喫煙とかご法度はっとでお願いしますね。

 

等彌神社とみじんじゃ

登山道口の様子。早速、看板が豪快に倒れてますが気にせずGO!

 

等彌神社とみじんじゃ
  • 靈畤れいし拝所はいしょ 110m
  • 庭殿にわどの 560m
  • 白庭山しらにわやま 835m
  • 靈畤れいし 990m

ということで、

最終ゴールの「靈畤れいし」へはおよそ1㎞。途中に、拝所はいしょ庭殿にわどの(祭りの饗宴きょうえんきょうされた場所)、白庭山頂しらにわさんちょうがあります。

 

等彌神社とみじんじゃ

登山道はこんな感じ。ハイキングな感じで♪

 

等彌神社とみじんじゃ

▲途中、左手に三輪山みわやまが見えます。ほんとすぐ近くな感じ。これも何か意味があるのでしょうか。

 

等彌神社とみじんじゃ

登り始めて10分ちょっと、最初のポイント、靈畤れいし拝所はいしょがあります。

 

靈畤拝所

等彌神社とみじんじゃ ココより靈畤れいしはいす。靈畤れいしは見えないが。

万葉歌碑まんようかひもあり。

うかねらふ 跡見山雪の いちしろく 恋ひば妹が名 人しらむかも(『万葉集』巻10-2346 作者不詳)

鳥見山に降り積もった白雪のようにはっきりと人目につくような恋の態度を示したら、人々は私の恋人の名を知ってしまうだろうか。

ということで。

拝したあとは、先へずんずん進みましょう。

 

等彌神社とみじんじゃ

さらに深くなっていく山。、。

 

等彌神社とみじんじゃ 等彌神社とみじんじゃ

 案内板があると安心しますよね。。。

 

庭殿

等彌神社とみじんじゃ

登り始めて15分ちょっと。ようやく庭殿にわどのへ到着。この場所は、祭りの饗宴きょうえんきょうされた場所として伝えられてます。

この広場で、、、饗宴きょうえんが、、、???

 

歌碑も立ってます。

等彌神社とみじんじゃ

この饗宴きょうえんについて、桜井さくらい町の歌人がその心境を歌につづったものだそうで。

「見わたせば 大和國原ひとめにて 鳥見のゆ庭の跡ぞしるけき」と。そうですか。

 

さーどんどん行きましょう。

等彌神社とみじんじゃ

登ったり、下ったり、、、

って、やってるうちに、、、

 

等彌神社とみじんじゃ

お?!人工物!!来たか!?白庭山しらにわやま

 

白庭山

等彌神社とみじんじゃ

うん、ここは特に説明なし。ちょっと休んだらとっととGO!

ここまでくればあともう少し!

 

等彌神社とみじんじゃ

 

そして、、、

等彌神社とみじんじゃ

お!あれか!?靈畤れいし!!!

 

等彌神社とみじんじゃ

おおお!これだ!!!

『日本書紀』によると、この鳥見山付近は、神武天皇が「橿原宮で即位後四年、皇祖天つ神を祭られた」と「靈畤」の由来を記しています。(巻第三)

靈畤れいし」とは、「まつりのにわ」を意味し大嘗祭だいじょうさいを行う場所をいいます。

また、鳥見山頂付近は、南北朝時代に戒重西阿氏が築いた鳥見山城の跡と云われています。 (鳥見山中靈畤顕彰会)

 からの、、、、

 

等彌神社とみじんじゃ 等彌神社とみじんじゃ

靈畤まつりのにわキタ――(゚∀゚)――!!!

ここが、、、

ここが、、かの、、、ワナワナ(;゚Д゚)、、

大嘗祭だいじょうさい発祥はっしょうの地!

天神あまつかみ郊祀まつって、大孝たいこうの志を申しあげた地!!

斎場さいじょう靈畤まつりのにわ)を設けて、皇祖こうそである天神あまつかみを祭られた超絶パワースポット!!!

等彌神社とみじんじゃ 等彌神社とみじんじゃ

草木うっそう、、、タラーリ( ゚Д゚)

、、、ま、

いいんだけどさ、、、

仕方ないので、ポイント確認

  • ココは、山と平地の境目さかいめに位置。山(未開)VS平地(文明)のちょうどさかい。を、見渡せる絶好の地。
  • 神武じんむは、宇陀うだから166号線を通って山から降りてきた。で、磐余いわれで大量の賊軍を打ち滅ぼした(と、東征とうせいを振り返って事績を伝えてる)。

マップはこんな感じ。

と。

 神武じんむが何故、この地を選んで斎場さいじょう靈畤まつりのにわ)を設け皇祖こうそ天神あまつかみを祭ったのか?

なんとなくですが、その理由が分かるような気がして。ようやっとたどり着いた大和やまとの地。初めて踏んだ中洲ちゅうしゅう、夢にまでみた中洲ちゅうしゅう。。。

磐余いわれという地名が物語るようにあふれんばかりの賊軍を蹴散らした武勇伝もさることながら、この地にたどり着けたことへの感慨とか感謝とかがこのエリアの持つ意味だったのでしょう。

おりしも、すぐ北には超絶パワーを持つ三輪山みわやまもあり。これにより、北に三輪みわの神、南に靈畤まつりのにわ、という防衛線的なラインもできる訳で。いろんな意味とかロマンとかが感じられて、、、

最高♡

 

等彌神社とみじんじゃ

靈畤れいしから忍阪おっさかを望む。嗚呼、神話ロマン。

参考:忍坂|大室を建てて八十梟帥残党の掃討作戦を実行した地。忍阪街道と合わせて見どころまとめてみた件

 

そして、帰りの道、、、

等彌神社とみじんじゃ

 

まとめ

鳥見山とみやま霊畤れいし

初代しょだい天皇である「神武じんむ天皇」が、東征とうせいミッション達成後、途上でいただいた神助しんじょに対する「こう孝行こうこう)」として、皇祖神こうそしん天神あまつかみを祀った場所。

ポイントは、この祭祀さいし

おん」に対する「こう」としてお祭りした

という事で、これはまさに、

即位そくいした天皇のありかた」を物語っている

って事であります。

神武じんむ天皇が即位そくいし「こう」を実践じっせんしたように、歴代の天皇が即位そくいにあたっては大嘗だいじょうの場で、五穀豊穣ごこくほうじょう、国民国家の安寧あんねいとあわせて、皇祖こうそである天神あまつかみへのお祭りを実践じっせんする、という事になるのです。

天皇が祭祀さいし継承けいしょうしている根拠がココにあり。

ということで、超重要事項であります。まさに、その場所が、鳥見山とみやま霊畤れいしという訳。スゴイでしょ?「靈畤まつりのにわ」。激しくチェックされてください。

 

鳥見山とみやま霊畤れいし

住所 奈良県桜井市大字桜井字能登
営業時間 無し
駐車場 あり(等彌神社とみじんじゃの駐車場
トイレ あり(等彌神社とみじんじゃの駐車場にあるトイレ

 

 

鳥見山とみやま霊畤れいしに関連する日本神話はコチラ!

『日本書紀』 巻第三(神武紀)

論功行賞と国見|エピローグ!論功行賞を行い、国見をして五穀豊饒の国「秋津洲(あきづしま)」を望み見た件|分かる!神武東征神話 No.21

04/18/2016

 

どこよりも分かりやすい日本神話解説シリーズはコチラ!

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参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)他