豊日別(とよひわけ)|光が豊かな太陽の男神。国生みの4番目に生まれた子(嶋)「筑紫嶋」にある4つの顔(国)のひとつ、豊国を神格化

豊日別

Contents

 

『古事記』神話をもとに、日本神話に登場する神様を分かりやすく解説します。

今回は

豊日別とよひわけ

です。筑紫嶋(現在の、九州)の4つある国の一つ、豊国とよのくに(現在の、大分県・福岡県の一部)の名として、『古事記』上巻、国生み神話で登場。

 

豊日別(とよひわけ)|光が豊かな太陽の男神。国生みの4番目に生まれた子(嶋)「筑紫嶋」にある4つの顔(国)のひとつ、豊国を神格化

豊日別とよひわけとは?その名義

豊日別とよひわけ」= 光が豊かな太陽の男神

筑紫嶋(現在の、九州)の4つある国の一つ、豊国とよのくに(現在の、大分県・福岡県の一部)の名。

『古事記』では、筑紫嶋は「身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る」とし、この顔(国)ごとの名として「豊日別とよひわけ」を伝えます。『古事記』上巻、国生み神話で登場。

「豊日」は、「光が豊かな太陽」の意。

「別」は、男子の敬称。古い時代の姓。本来「地方を分け治める者」の意で、5~6世紀の皇族名に多く使われてました。のちに「姓」となっていきますが、「八色の姓』には入ってません。

ということで、

豊日別とよひわけ」=「光が豊かな太陽」+男子の敬称= 光が豊かな太陽の男神

 

豊日別とよひわけが登場する日本神話

豊日別とよひわけ」が登場するのは、『古事記』上巻国生み神話。以下のように伝えてます。

このように言ひ終わって御合みあひして生んだ子は、淡道之穗之狹別嶋あはぢのほのさわけのしま。次に、伊豫之二名嶋いよのふたなのしまを生んだ。此の嶋は、身一つにして顔が四つ有る。顔ごとに名が有る。伊豫国いよのくに愛比売えひめといい、讚岐国さぬきのくに飯依比古いひよりひこといい、粟国あはのくに大宜都比売おほげつひめといい、土左国とさのくに建依別たけよりわけという。次に、隠伎之三子嶋おきのみつごのしまを生んだ。またの名は天之忍許呂別あめのおしころわけ。次に、筑紫嶋を生んだ。この嶋もまた、身一つにして顔が四つ有る。顔毎に名が有る。筑紫国は白日別しらひわけといい、豊国とよのくに豊日別とよひわけといい、肥国ひのくに建日向日豊久士比泥別たけひむかひとよくじひねわけといい、熊曾国くまそのくに建日別たけひわけという。次に、伊岐嶋いきのしまを生んだ。またの名は天比登都柱あめひとつばしらという。次に、津嶋を生んだ。またの名は天之狹手依比売あめのさでよりひめという。次に、佐度嶋さどのしまを生んだ。次に、大倭豊秋津嶋おほやまととよあきづしまを生んだ。またの名は天御虚空豊秋津根別あまつみそらとよあきづねわけという。ゆえに、この八嶋やしまを先に生んだことに因って、大八嶋国おほやしまくにという。 (引用:『古事記』上巻より一部抜粋

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『古事記』国生みの4番目に生まれた子(嶋)が「筑紫嶋」。で、この嶋には、顔が4つあり、顔ごとに名前があると。そのなかで、豊国に相当する部分(顔)を「豊日別とよひわけ」と名付けて伝えてます。

国生みは、生まれる嶋の順番が結構大事なポイントで、、

『古事記』国生みの順番

大八嶋国おほやしまくにとして、左回りに生んだ8つの島の4番目が「筑紫嶋」。その4つある顔の一つが「豊日別とよひわけ」。

生まれる順番についての突っ込んだ解説はコチラ↓で!

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さらに、

古事記こじき』は、生んだ嶋に神名をつけることで神格化してるのがポイント。

特徴として、男と女の名(比古ひこ比売ひめ等)、四国は穀物系、九州はお日様系、といった感じで。

この理由は、誕生した大八嶋国おほやしまくにが、伊耶那岐いざなき伊耶那美いざなみの子供であること、血縁関係にあること、生まれた島々が血脈によるつながりをもっていることを明確にするため。

もっというと、

名付け=親権の発生

であり、伊耶那岐いざなき伊耶那美いざなみが親としての責任をもって、それこそ修理固成によって「瑞穂の国」へ仕上げていくことを意味してる訳です。

 

豊日別とよひわけを始祖とする氏族

嶋の名なので、氏族の始祖とはなりません。

 

豊日別とよひわけ」が登場する日本神話はコチラ!

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豊日別とよひわけ」をお祭りする神社

● 豊日別宮 豊国の国魂を祀る!かつては豊日別国魂宮とも呼ばれた神社

 

コチラも是非!日本神話の流れに沿って分かりやすくまとめてます!

日本神話の神様一覧|日本神話に登場し活躍する神様を『古事記』を中心にまとめ

 

参考文献:新潮日本古典集成 『古事記』より一部分かりやすく現代風に修正。

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