多彩で豊かな日本神話の世界へようこそ!
日本最古の書『古事記』をもとに、
最新の文献学的学術成果も取り入れながら、どこよりも分かりやすい解説をお届けします。
今回は、『古事記』上巻から、
天照大御神と速須佐之男命の誓約
伊邪那岐命から追放処分をうけた速須佐之男命。亡き母の国、根之堅州国に退去するまえに天照大御神に暇乞いをしに天上へ。このとき天照大御神は国を奪いに来たと激しく威圧して問いただす。これに対して速須佐之男命が誓約を提案する。。
今回も、概要で全体像をつかみ、ポイント把握してから本文へ。最後に、解説をお届けしてまとめ。
現代の私たちにも多くの学びをもらえる内容。日本神話から学ぶ。日本の神髄がここにあります。それでは行ってみましょう!
- 日本神話研究の第一人者である榎本先生監修。確かな学術成果に基づく記事です
- 日本神話全体の流れや構造を解き明かしながら解説。他には無い分かりやすい記事です
- 現代語訳のほか原文も掲載。日本神話編纂当時の雰囲気を感じてもらえます
- 登場する神様や重要ワードへのリンク付き。より深く知りたい方にもオススメです
天照大御神と速須佐之男命の誓約『古事記』原文と現代語訳、分かりやすい解説付き
天照大御神と速須佐之男命の誓約『古事記』の概要
『古事記』上巻から。経緯としては、
禊祓により誕生した三貴子、天照大御神、月読命、建速須佐之男命に対して、伊邪那岐命が統治領域を委任。ところが、須佐之男命だけが命(ミッション)に従わず、とんでもない問題行動ばかり、、、ついに謀反とも言える内容を口にしたため伊邪那岐命はブチギレ。そのまま追放してしまう。。
↑経緯しっかり確認。
で、本文に入る前に、まずは押さえておきたいポイント、概要をチェック。
全部で4つ。以下、順に解説。
①ついに、、神世七代の時代終了。物語は新世代の神々による新たな展開へ突入!
前回、伊耶那岐命による三貴子生みと委任により、天照大御神を中心とする新世代に神話を駆動させるバトンが手渡されました。コレ、神世七代による一つの時代が終わったってことで。日本神話的に大きな転換だったりします。
『古事記』的天地初発からの一連の展開は、伊耶那岐命の引退により区切りをつけ、物語はいよいよ次のフェーズ、天照大御神の高天原統治を軸にした展開へ突入していくんです!
次!
②日本神話の主役は天照大御神へ。以後、天照を中心とした統治の物語が展開
時代の転換点にあって、改めて現状認識を。天照大御神は生まれたばかり。どんなお方なのか、お世継ぎはどうするのか、統治形態は?など明確になってないことだらけ。これからどうなるんだ?どうなっていくんだ?みんな固唾を呑んで見守ってる状況。だからこそ、ここから展開するのは「統治の物語」。いろんな不安やドキドキにお答えしていきます。
天照大御神による統治の物語、テーマは大きく3つ
- 天照大御神の子誕生(皇統形成)
- 統治者の役割機能と社会形成
- 高天原と地上との関係明示
であります。
で、今回の誓約神話は①の「天照大御神の子誕生(皇統形成)」と言う位置付けでチェック。
さらに、誓約神話を契機として、勝ちさび神話や岩戸神話、さらに八岐大蛇神話へと繋がっていく。そうした神話全体の展開を、横断的に、俯瞰的に捉えていただけると◎!
次!
③影の主役は須佐之男命。須佐之男による狂言まわし的役割、やらかし行動により神話が豊かに展開していく
表側の主役は天照大御神で間違いないのだが、実は、影の主役とも言うべきお方がいらっしゃいまして、、、それが須佐之男さんであります。この須佐之男命の狂言回し的役割や振る舞いによって日本神話が豊かに展開していくようになる。
「狂言まわし」とは、物語や演劇において、筋の運びや主題の解説を担い、物語の進行を円滑にする役割・人物のこと。単なる進行役(ナレーター)だけでなく、ストーリーの核心に触れる重要な役柄を担う。今回の須佐之男がまさにそれ。
これは、誓約神話のみならず、勝ちさび、岩戸神話、大蛇神話と続いていく構造で。須佐之男がいなければ天照大御神の系統形成は無かったし、統治者の役割機能とか恩恵も分からなかった、さらに高天原と地上との関係も分からない。。その意味で、非常に重要な立ち回りであり、神なんです。
ということで、以上、
- ついに、、神世七代の時代終了。物語は新世代の神々による新たな展開へ突入!
- 日本神話の主役は天照大御神へ。以後、天照を中心とした統治の物語が展開
- 影の主役は須佐之男命。須佐之男による狂言まわし的役割、やらかし行動により神話が豊かに展開していく
の3つ。しっかりチェックしたうえで現場へゴー!
天照大御神と速須佐之男命の誓約『古事記』の現代語訳・原文
古事記 : 国宝真福寺本 上 国立国会図書館デジタルコレクション ゆえに、速須佐之男命は「それなら、天照大御神に申しておいとまをいただこう」と言って、天に参上る時に、山や川は悉く鳴動し、国土はみな震れ動いた。
天照大御神は、聞き驚いて「私の親愛なる弟が上り来る理由は、きっと善い心ではない。我が国を奪おうとしているのだ」と言った。そこで、髮を解いてみづらに纒いて、左右のみづらにも髪飾りにも、また左右の手にも、たくさんの勾玉が長い緒でくくられ輪になった美しい宝石で巻き持って、背中には千本もの矢が入る靫を負い、脇腹には五百もの矢が入る靫をつけ、また、威力のある竹鞆を取り帯びて、矢を射る構えの姿勢になって、堅庭は股に力んで踏み込み沫雪のように蹴散らかして、威勢よく雄々しい振る舞いで、雄々しく踏みしめて「何のために上り来たのだ」と問うた。
速須佐之男命は答えて「私に謀反の心はありません。ただ大御神(伊邪那岐命)が、私めの哭きわめく事を問いなされました。なので申し上げるには『私は母の国に往きたいと哭いているのです』と。すると大御神が『お前はこの国にいてはならない』と、どこまでもどこまでも追放なされました。ゆえに、お暇しようとしていることをお許しいただくために参上しただけです。他の心や意図はありません」と申し上げた。
そこで天照大御神は「それならば、お前の心が清く明るいのは、何をもって知ればいいのか」と言った。速須佐之男命は「めいめいに誓約をして子を生みましょう」と申し上げた。
ゆえに、おのおのが天安河を間にして、誓約をする時に、天照大御神が、先ず建速須佐之男命の帯びている十拳剣を乞うて渡し、三段に打ち折り、玉の緒がゆらゆらと揺れて音が鳴るように天真名井に振り滌いで、噛みに噛んで、吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、多紀理毘売命。またの名は奧津島比売命という。次に、市寸島比売命。またの名は狹依毘売命という。次に、多岐都比売命。
速須佐之男命が、天照大御神の左のみづらに纒いていたたくさんの勾璁を長い緒で連ねた珠を乞うて渡し、玉の緒がゆらゆらと揺れて音が鳴るように天真名井に振り滌いで、噛みに噛んで吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、正勝吾勝勝速日天之忍穗耳命。また、右のみづらに纒いていた珠を乞うて渡し、噛みに噛んで吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、天之菩卑能命。鬘に纒いていた珠を乞うて渡し、噛みに噛んで吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、天津日子根命。また、左の手に巻いていた珠を乞うて渡し、噛みに噛んで吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、活津日子根命。また、右の手に纒いていた珠を乞うて渡し、噛みに噛んで吹き棄てた気吹の狹霧に成った神の名は、熊野久須毘命。あわせて五柱である。
ここにおいて天照大御神は、速須佐之男命に「後で生まれた五柱の男子は、物實は我が物に因って成った。ゆえに、自ずから我が子である。先に生まれた三柱の女子は、物實はお前の物に因って成った。ゆえに、お前の子である」と告げ、このように詔してお別けなさった。
ゆえに、先に生まれた神、多紀理毘売命は、胸形の奧津宮に鎮座している。次に、市寸島比売命は、胸形の中津宮に鎮座している。次に、田寸津比売命は、胸形の辺津宮に鎮座している。この三柱の神は、胸形君等が奉斎する三前の大神である。ゆえに、後に生まれた五柱の子の中に、天菩比命の子がいて、建比良鳥命という(これは出雲国造、无邪志国造、上菟上国造、下菟上国造、伊自牟国造、津島縣直、遠江国造等の祖である)。次に、天津日子根命である(これは凡川内国造、額田部湯坐連、木国造、倭田中直、山代国造、馬来田国造、道尻岐閇国造、周芳国造、倭淹知造、高市県主、蒲生稻寸、三枝部造等の祖である)。
故於是、速須佐之男命言「然者、請天照大御神、將罷。」乃參上天時、山川悉動、國土皆震。爾天照大御神、聞驚而詔「我那勢命之上來由者、必不善心。欲奪我國耳。」卽解御髮、纒御美豆羅而、乃於左右御美豆羅、亦於御𦆅、亦於左右御手、各纒持八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠而自美至流四字以音、下效此、曾毘良邇者、負千入之靫訓入云能理、下效此。自曾至邇以音、比良邇者、附五百入之靫、亦所取佩伊都此二字以音之竹鞆而、弓腹振立而、堅庭者、於向股蹈那豆美三字以音、如沫雪蹶散而、伊都二字以音之男建訓建云多祁夫蹈建而待問「何故上來。」
爾速須佐之男命答白「僕者無邪心、唯大御神之命以、問賜僕之哭伊佐知流之事。故、白都良久三字以音、僕欲往妣國以哭。爾大御神詔、汝者不可在此國而、神夜良比夜良比賜。故、以爲請將罷往之狀、參上耳。無異心。」爾天照大御神詔「然者、汝心之淸明、何以知。」於是、速須佐之男命答白「各宇氣比而生子。」自宇以下三字以音、下效此。
故爾各中置天安河而、宇氣布時、天照大御神、先乞度建速須佐之男命所佩十拳劒、打折三段而、奴那登母母由良邇此八字以音、下效此振滌天之眞名井而、佐賀美邇迦美而自佐下六字以音、下效此、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、多紀理毘賣命此神名以音、亦御名、謂奧津嶋比賣命。次市寸嶋上比賣命、亦御名、謂狹依毘賣命。次多岐都比賣命。三柱、此神名以音。
速須佐之男命、乞度天照大御神所纒左御美豆良八尺勾璁之五百津之美須麻流珠而、奴那登母母由良爾、振滌天之眞名井而、佐賀美邇迦美而、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、正勝吾勝勝速日天之忍穗耳命。亦乞度所纒右御美豆良之珠而、佐賀美邇迦美而、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、天之菩卑能命。自菩下三字以音。亦乞度所纒御𦆅之珠而、佐賀美邇迦美而、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、天津日子根命。又乞度所纒左御手之珠而、佐賀美邇迦美而、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、活津日子根命。亦乞度所纒右御手之珠而、佐賀美邇迦美而、於吹棄氣吹之狹霧所成神御名、熊野久須毘命。自久下三字以音。幷五柱。
於是天照大御神、告速須佐之男命「是後所生五柱男子者、物實因我物所成、故、自吾子也。先所生之三柱女子者、物實因汝物所成、故、乃汝子也。」如此詔別也。
故、其先所生之神、多紀理毘賣命者、坐胸形之奧津宮。次市寸嶋比賣命者、坐胸形之中津宮。次田寸津比賣命者、坐胸形之邊津宮。此三柱神者、胸形君等之以伊都久三前大神者也。故、此後所生五柱子之中、天菩比命之子、建比良鳥命此出雲國造・无邪志國造・上菟上國造・下菟上國造・伊自牟國造・津嶋縣直・遠江國造等之祖也、次天津日子根命者。凡川內國造・額田部湯坐連・茨木國造・倭田中直・山代國造・馬來田國造・道尻岐閇國造・周芳國造・倭淹知造・高市縣主・蒲生稻寸・三枝部造等之祖也。 (引用:『古事記』上巻より)
天照大御神と速須佐之男命の誓約『古事記』の解説
『古事記』天照大御神と速須佐之男命の誓約、、いかがでしたでしょうか?
昇天した須佐之男命に対して天照大神の過剰反応とも感じる激しい威圧、、からの、誓約儀式とは言うものの、、子を生みましょうて、、、??さらに生み方も噛み砕いて???って、初見の方にとっては意味不明だったかと思いますが、、でもご安心を。そのための日本神話.com、以下まるっと分かりやすく解説していきます。
ちなみに、、
今回も、ちょいちょい『日本書紀』と比較することで、重視しているポイント、伝えたいことを深堀りします。
「天照大御神と速須佐之男命の誓約」と同じ流れを持つのは『日本書紀』巻第一(神代上)第六段〔本伝〕
『日本書紀』をベースにした『古事記』的組み合わせの妙。。。是非チェック。
ということで、
以下、詳細解説。
天照大御神と速須佐之男命の誓約『古事記』 まとめ
天照大御神と速須佐之男命の誓約
『古事記』版の天照大御神と速須佐之男命の誓約、いかがでしたでしょうか?
おきたいポイントは以下の通り。
- 天照大御神と須佐之男命は上下関係を前提として、統治者に対して忠誠を尽くす須佐之男命
- 炸裂する須佐之男命の神性。前段でも伝えてたが、、無自覚だとこうなる、、、
- 大きな枠組みとして「正と死」の対立構造。母=伊邪那美=死の側に従うと言い放った弟を疑いまくる天照
- 天照大御神の奪國嫌疑には、古代の律令「謀反」の考え方が反映されている
- 激しく威圧するのは、謀反嫌疑者に対する高天原の統治者として
- 須佐之男命の弁明に嘘は無い。だけど、だからこそ、須佐之男の本性に根ざす問題が立ち上がってくる
- 『古事記』の誓約うけひは条件設定無し。ただ儀式っぽいことをして、子が生まれる。。。
- 儀式っぽい挙動はしているので、誕生する神の神威の強さは担保されてる
- 最後は天照の決めでケリをつける!誓約の着地は「物実を根拠とした子の処遇」
ということで。
もともとは、天照大神が速須佐之男命の「必不善心」を疑い、「心之淸明」を示すために誓約を実施したのに、、条件設定せずに突入するから何をもって結論=勝利とするのかが不明なまま、、、天照が一方的に物実を根拠として子の帰属を告げて終わるという謎着地誓約、、それが『古事記』版誓約神話でした。
今回の神話で確実に押さえておきたいのは
影の主役は須佐之男命。須佐之男による狂言まわし的役割、やらかし行動により神話が豊かに展開していく。それにより、天照大御神の後継者が誕生したってこと。コレは激しくチェック。
続きは準備中。お楽しみに!
『日本書紀』版誓約神話も必ずチェック!
神話を持って旅に出よう!!!
日本神話のもう一つの楽しみ方、それが伝承地を巡る旅です。以下いくつかご紹介!
● 伊勢神宮 天照大御神を祭る!日本最高峰の宮
● 須佐神社 速須佐之男命を祭る!国土開拓神話から「須佐」と命名
佛教大学名誉教授 日本神話協会理事長 榎本福寿
埼玉県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程国語学国文学(S53)。佛教大学助教授(S58)。中華人民共和国西安外国語学院(現西安外国語大学)文教専家(H1)。佛教大学教授(H6)。中華人民共和国北京大学高級訪問学者(H13)。東京大学大学院総合文化研究科私学研修員(H21)。主な書籍に『古代神話の文献学 神代を中心とした記紀の成りたち及び相関を読む』がある。『日本書紀』『古事記』を中心に上代文学における文献学的研究成果多数。
参考文献:『古代神話の文献学』(塙書房)、『新編日本古典文学全集 日本書紀』(小学館)、『日本書紀史注』(風人社)、『日本古典文学大系『日本書紀 上』(岩波書店)
どこよりも分かりやすい日本神話解説シリーズはコチラ!
ついでに日本の建国神話もチェック!
日本神話編纂の現場!奈良にカマン!

































先に言葉の解説を少し。
「罷る」は、許可を得て,宮廷または貴人の所から離れる。退出させていただく。おいとまをいただく。
その上で、、
ポイント3つ。
①すでに上下の関係を前提とした表現に。統治者に対して忠誠を尽くす須佐之男命
「速須佐之男命は「それなら、天照大御神に申しておいとまをいただこう」と言って、」とあります。
この中の「罷」がポイントで。要は、天照大御神が上位に位置づけられてる。ここで初めて明らかになる上下関係、つまり君臣関係ということであり、以下、二神の会話はこうした関係を前提に展開されていきます。
須佐之男の発話には他にも「白(敬意を込めて「申し上げる」)」とかが使われたり、一人称に「僕(「しもべ」「召使い」、および自分をへりくだって言う謙遜の一人称代名詞(わたくしめ)」を使ったりしてる。ちなみに、天照大御神の発話には「詔」「問」が使われます。
須佐之男命は暴れん坊アナーキーなイメージが先行しがちですが、実は、ちょいちょい忠臣ぶりを発揮。それは天照大御神を頂点とする統治構造の中で立ち回る神として。このシーンの他にも、一番分かりやすいのは、八岐大蛇退治の時に尾を切ったところ「草那芸の大刀」が出てくるのですが、これを須佐之男は天照に献上します。コレ、まさに忠臣の挙動そのものだったりします。
ということで、須佐之男は天照大御神に対して臣下という立ち位置で挙動する。この君臣関係を前提に以下展開していくってことでチェック。
次!
②炸裂する須佐之男命の神性。前段でも伝えてたが、、無自覚だとこうなる、、、
「天に参上る時に、山や川は悉く鳴動し、国土はみな震れ動いた。」とあります。これ、前段で伝えていた須佐之男命の神性によるもの。以下。
ということで、
生まれつきの神の性質、神性として、こうした凶暴性や暴虐性を持っていた。ナチュラルボーン暴れん坊。それが無自覚のまま昇天すると山や川がことごとくビリビリ鳴動、国土が揺れ動く、、
って、ここで押さえておきたいのは、後で伝える「勝ちさび」との違い。勝ちさびではここまでの破壊的神性は発揮されません。せいぜい、營田の畔を壊し境を無くし、灌漑用の溝を埋めたとか、大嘗(供薦の新穀を食される)御殿に屎をまき散らす程度。
この違いは何かというと、自覚的であるかどうか。後で詳しく解説しますが、勝ちさびやその攻撃対象は須佐之男命が狙ってやってるんです。だからそこまでの破壊的影響は無い。一方の、昇天する須佐之男は、山や川を悉く鳴動させ、国土をみな震れ動かすほど破壊的にヤバい。繰り返しになりますが、これこそが本来持ってる神性だってことでしっかりチェック。
最後!
③影の主役は須佐之男命。須佐之男による狂言まわし的役割、やらかし行動により神話が豊かに展開していく
誓約神話から以後、影の主役とも言うべき役割を担うのが須佐之男命。この須佐之男の狂言回し的役割や振る舞いによって日本神話が豊かに展開していくようになります。
「狂言まわし」とは、物語や演劇において、筋の運びや主題の解説を担い、物語の進行を円滑にする役割・人物のこと。単なる進行役(ナレーター)だけでなく、ストーリーの核心に触れる重要な役柄を担う。
今回で言うと、須佐之男の昇天がきっかけとなって天照の嫌疑を生んで、誓約儀式へつながっていく。それが天照大御神の子誕生という展開を生んでいく訳です。
須佐之男きっかけによる新たな神話展開という構造。超重要事項としてしっかりチェック。
次!
先に言葉の解説を少し。
「我那勢命」は、「那勢(なせ)」は、女性が夫や兄など親しい男性を親愛の情を込めて呼ぶ言葉。逆に、男性が女性を親しんで呼ぶ場合は「那迩妹(なにも・汝妹)」。例えば、黄泉譚では、伊耶那美命が、夫の伊耶那岐命を呼ぶ際に「我が那勢命」と言ってましたね。ここでは、天照と須佐之男の上下関係は前提としつつ、そうは言っても姉弟ですから、こうした親しみを込めた呼びかけになってる。ただし、この呼びかけはあくまで天照大御神からのみです。
「解御髮、纒御美豆羅而」は、髪を解いてみづらに巻く。みづらは、古代における男性の結い方。髪全体を中央で二つに分け、耳の横でそれぞれ括って垂らすやつ。
「𦆅」は、髪飾り。
「八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠」について。「八尺」は、玉の緒が長いこと。「勾璁」は、曲がった玉。「五百津」は、五百個で数が多いこと。「美須麻流」は、たくさんの勾玉が長い緒でくくられ輪になってること、「珠」は美しい宝石。
「曾毘良」は、背中。
「千入之靫」は、千本の矢がはいるような大きな矢入れ。靫。
「比良」は、脇腹。ただ、腹・胸・脇腹・胸から脇腹にかけて、など諸説あり。
「取佩伊都此二字以音之竹鞆而」について。「取佩」は、取って帯びる。「伊都」は、威力のある。「竹鞆」は、竹製の鞆。鞆は、弓手(多くは左手)の手首の内側につけ、弓弦の反動を受けとめる道具。
「弓腹振立」は、弓の腹を振り立てる、構えの姿勢になること。
「於向股蹈那豆美」について。「於向股」は、向かい合った股で両股のこと。「那豆美」は、踏み込むこと。
「伊都二字以音之男建訓建云多祁夫」について。「伊都」は、厳・斎で、神聖な威力のこと。「男建」は、雄たけび、雄々しい振る舞いをすること。
「蹈建」は、踏みしめて雄々しく振る舞うこと。
その上で、
ポイント3つ。
①大きな枠組みとして「正と死」の対立構造。母=伊邪那美=死の側に従うと言い放った弟を疑いまくる天照
「天照大御神は、聞き驚いて「私の親愛なる弟が上り来る理由は、きっと善い心ではない。我が国を奪おうとしているのだ」と言った。」とあります。
いきなり決めつける天照大神、、実の弟に対してそれってどうなのよ?と思うかもしれませんが、コレ、経緯を理解すればうなずける。
生まれた当初から、須佐之男命は母の国に罷りたいと言い放ってました。以下。
ということで、
そもそも、「亡き母の国、根之堅州国に罷りたい」発言によりオレたちの伊邪那岐からブチギレ追放されてましたよね。
で、重要なのは、この「母の国に罷りたい」てのは、日本神話的な世界構造と担当設定から来てるってこと。これ、黄泉国往来譚から。
なので、
母の国への帰属は、反逆行為。だからこそ、追放処分を受けた訳ですね。
そんな須佐之男が昇天してくる、しかも山や川を悉く鳴動させ、国土をみな震れ動かしながら、、なので、天照は「きっと善い心ではない。我が国を奪おうとしているのだ」としてる訳です。
そして!
②天照大御神の奪國嫌疑には、古代の律令「謀反」の考え方が反映されている
「我が国を奪おうとしているのだ」と言った。」とあります。
実はココ、古代律令の規定が絡んでいて、それを踏まえるとコトの重大性が理解できるようになる。それが「謀反」の規定。
古代律令の規定では「謀反は、反を謀る――予備・陰謀――だけで極刑に問われ、実行の着手があった(真反)か否かは問題とされない。(『譯註日本律令七』(唐律疏議譯註篇三、律令研究会編。62頁。昭和六二年六月。東京堂出版)の注より)」とされてました。ここの、反を謀るだけで極刑に問われ、実行があったかどうかは関係ない、というのがポイントで。
これを踏まえると、山海鳴動の勢いをもって昇天する行動が、それの向かう相手にとって、つまり天照大御神にとって脅威にならないはずはなく、、さらに、母(=死)に従うと言い放った須佐之男に対して、天照が国を奪いに来たと嫌疑をかけるのは当然の話とも言えて。つまり、極刑に問われる案件、、だからこそ、この後の天照の武装と激しい威圧につながっていく訳です。
最後!
③激しく威圧するのは、謀反嫌疑者に対する高天原の統治者として
天照の威圧をまとめてみると、、
・左右のみづらにも髪飾りにも(たくさんの勾玉が長い緒でくくられ輪になった美しい宝石)
・威力のある竹鞆を取り帯びて
その上で、
矢を射る構えになって、堅庭は股に力んで踏み込み沫雪のように蹴散らかして、威勢よく雄々しい振る舞いで、雄々しく踏みしめたと。。
要は、身につけられるだけの玉を飾りつけ、帯びられるだけの矢を持って、矢を射る構えになって土を踏み込み踏み散らかして威圧・圧倒した訳ですが、
これ、意味合いとしては、謀反嫌疑者に対する統治者としてのあり様を表現していると考えられ。先ほど解説した通り、古代の律令では謀反は極刑に問われる案件であり、統治者として絶対に許しちゃいけない訳です。加えて、、そうは言っても生まれたての天照ですから、やる時はやるぜワイ怖いぜってところを見せつける必要はあったとも考えられますね。最初が大事。
次!
先に言葉の解説を少し。
「邪心」は、謀反の心。
「哭伊佐知流」について。「哭」は、泣き喚くこと。慟哭。「伊佐知流(いさちる)」は、泣き喚く、激しく泣き狂うこと。合わせて「激しく泣き喚いた」の意。
「白し都良久」は、申し上げるには、の意。
「神夜良比夜良比」は「神逐らひ」で、神の力をもって、その土地から罪や過ちを犯した神を追い払うこと(追放・放逐)。
その上で、、
①須佐之男命の弁明に嘘は無い。だけど、だからこそ、須佐之男の本性に根ざす問題が立ち上がってくる
「私に謀反の心はありません。ただ大御神(伊耶那岐)が〜」以下、須佐之男の弁明を伝えますが、内容を良くみるとコレまでの経緯の通りで、そこに嘘とか虚偽は無い訳です。さらに、須佐之男命のコレまでの言動を振り返ると、確かに青山を枯山のように泣き枯らし、河や海を悉く泣き干上がらせあらゆる災いを起こしたし、母の国に行きたいと謀反に相当することを言い放ったとは言え、、高天原を奪ってやろうって発言は無かったしそういうことではなかったですよね。
須佐之男としてはあくまで「お暇しようとしていることをお許しいただくために参上しただけ」であり「他の心や意図」は無かった。ココ、まずチェック。
つまり、この時点で、確かに須佐之男の弁明の通りだと言える状況で、重要なのは、だけど、だからこそなんですが、そもそもの須佐之男命の本性に根ざす問題が立ち上がってくる。
そうは言っても須佐之男命なんで、どうにもこうにも「ホントか??」という疑念は拭えず、、、だって母の国に罷りたいって言うし昇天方法がヤバいし、、これって例えば、裏切り者がそれっぽい弁明を振りかざしてきた時にそれでもそれを信じられますか?ってことであって。。
嫌疑に対してはきちんと弁明したとはいえ、だからこそ、弁明する須佐之男の本質に根ざす問題が浮上してくる訳です。
これは、続いて天照大神が「それならば、お前の心が清く明るいのは、何をもって知ればいいのか」と迫るところからも分かる。嫌疑に対して弁明の通りかも知らんが、それでもオマの本質が信じられんので証明しやがれと、、そういう構造として誓約が展開していく訳です。これ、かなり重要なのでしっかりチェック。
こちらも参考に。
そこで天照大御神は「それならば、お前の心が清く明るいのは、何をもって知ればいいのか」と言った。速須佐之男命は「めいめいに誓約をして子を生みましょう」と申し上げた。
爾天照大御神詔「然者、汝心之淸明、何以知。」於是、速須佐之男命答白「各宇氣比而生子。」自宇以下三字以音、下效此。
先ほどの解説通り、天照による決めつけ嫌疑に対して須佐之男が弁明、そこに嘘はなくそれはそれでその通りなんだが、それでも須佐之男の本質/本性が信じられんので「心之淸明」を証明しろと、、そういう構造として誓約が行われる。単純に奪国嫌疑に対する潔白証明という構造では無いのでしっかりチェック。
ちなみに、、
須佐之男命が提案した誓約は、『日本書紀』第六段〔本伝〕をベースにしていると考えられます。第六段〔本伝〕では「共に誓約」、『古事記』では「それぞれが誓約」。
次!
先に言葉の解説を少し。
「奴那登母母由良邇」は、首にかけた玉の緒をゆらゆらと鳴らしての意。「奴那登母(ぬなとも)」と「母由良迩(もゆらに)」の2つからできてる言葉。
「奴那登母(ぬなとも)」は、「玉の緒(珠をつないでいる紐)」などを意味。
「母由良迩(もゆらに)」は、「ゆらゆらと」「ゆらゆらと音を立てて」という意味。玉が触れ合って美しく鳴り響く様子を表現。
ちなみに、、玉はともかく、剣をすすいだ際の音に対して「奴那登母々由良迩」と言うのは不自然という説もあり。玉の描写が剣にも影響してるのか、剣も玉と同じような音をたてたか、、どうなんだ?
「天之真名井」は、高天原にある神聖な井戸。
「佐賀美邇迦美而」は、噛みに噛んで。「佐」は接頭語。
その上で、
ポイント2つ。
①『古事記』の誓約は条件設定無し。ただ儀式っぽいことをして、子が生まれる。。。
誓約は本来、条件設定してから行うのが通例というか、、「誓」にまつわる伝承の多くが、「若」による仮定条件を表す句と、その帰結を表す句との句相互の関係によって成りたってます。
詳しくはコチラ↓
構造としては、
「条件句」に、なにごとか知りたい真実もしくは願わしい事柄などを仮定する。もし仮定したとおりだとすれば(もしくはそれに反するとすれば)、それに対応する事態が実際に発生する、もしくは発生させることを「帰結句」が表す。というもの。
・もし仮定したことに反するとすれば、同じく、それに対応する「事態」が現に発生する
で、
帰結として発生する「事態」は、発生が通常ほとんどありえない、超現実的な内容というのが通例で。そして、むしろ、これら超現実的な事態の発生が、仮定した事柄の真実もしくは願いの実現などを、いわば可視的に保証する訳です。
例えば、
誓約儀式を伝える『日本書紀』巻一第六段〔一書1〕では、以下のように伝えてます。
ここでいう、
「もしお前の心が明浄で、奪い取る意図がないならば」が条件句。なにごとか知りたい真実、もしくは願わしい事柄などを仮定してますよね。
一方、「お前の生む子は、必ず男だろう」が帰結句。もし仮定したとおりだとすれば、それに対応する「事態」が現に発生するとしてる。今回で言えば「男を生む」。
それを承けて、、素戔嗚尊が実際に男神を生んだ。仮定したとおりだった訳で。それを承けて「それゆえ素戔鳴尊は、勝ちの証拠を得た。」としてるんです。
上記内容が、「誓」の基本構造。なんですが、、
『古事記』の誓約では、天照大御神も須佐之男命も何も条件設定せずに実行してますよね。。もともと「心之淸明」を見定めようとして始めた誓約だったはずなのに、、以後の展開を見ても、「心之淸明」は論点にならず、そのまま子が生まれていく。。この時点で一体なんだったんだ状態であります。。ま、一応、この後の、勝ちさびの段階で須佐之男が「天照大御神に「我の心が清く明るいが故に、我が生める子は手弱女を得た。これに因って言せば、自ら我が勝ったのだ。」と言ってるので、その時に勝ちが分かるのですが、、
そして!
②儀式っぽい挙動はしているので、誕生する神の神威の強さは担保されてる
「おのおのが天安河を間にして、誓約をする時に」とあります。原文「各中置天安河」。訓みはは「各天安河を中に置きて」。これ、天の安の河を間に挟んで誓約を行ってるイメージ。
だからこその「天照大御神が、先ず建速須佐之男命の帯びている十拳剣を乞うて渡し」。原文「天照大御神、先乞度建速須佐之男命所佩十拳劒」。ポイントは「乞度」。訓みは「乞ひ度して」。
つまり、『古事記』の誓約は、天安河を間に挟んで向かい合い、お互いに相手の物実(誓約に使用する所持品)を乞うて=お願いあるいは要求して、渡し合う形式と考えられる。
儀式なんで、このような形式をとっている訳で、その後の「三段に打ち折り、玉の緒がゆらゆらと揺れて音が鳴るように天真名井に振り滌いで、噛みに噛んで、吹き棄てた気吹の狹霧に成った」という表現もその儀式行動として行ってる訳です。
こうした、儀式がしっかり手順に則したものであればあるほど神聖さは高まり、そこから誕生する神の神威を担保する構造。
確かに、、よーく見るとスゴイよね。。須佐之男の持っていた十拳剣をチョップで三つに打ち折ると、、それを神聖な井戸で濯いで、バリバリ噛み砕いてプシャーって霧状に吹き出した、、、て。どんなんだよ、、
なお、誕生した
の三女神はこの後でも伝えるように「胸形君等が奉斎する三前の大神」であり、現在の宗像大社で祭られている宗像三女神です。いずれも超絶神威。詳しくは後ほど。
次!
今度は須佐之男命が天照大神の物実を使って子を生む。一応一覧整理すると以下。
特記ポイントとしては、
最初に生まれた「勝吾勝々速日天之忍穂耳命」。
この神の名は、誓約の勝敗と関わってる。神名に「勝」の文字が3回も使われてるので、誓約は須佐之男命の勝ちだったという意味に。
この時点で、本文で勝ったと伝えていないのは、天照大神の権威が落ちるからと考えられ。比較として、『日本書紀』では日神と天照大神を使い分けることで勝ちを伝えてます。そうした配慮があったんじゃないか説。
最後の補足として、先ほどの三女神、今回の五男神、いずれも聖数である奇数が使用されてます。
次!
言葉の解説を少し。
「物實」は、神を生む材料、元となるもの。例えば、『日本書紀』では天地開闢の際、最初の神は「天地之中生一物」から化して成ったと伝えてます。
『古事記』では、天照大御神と須佐之男のどちらの物実を使って神を生んだかによって、子の帰属が決まるので、物実の意味は非常に大きいと言えますね。
「詔別」は、「詔り別ける」、(統治者が)詔によって分ける。ここでは、子の帰属を決める、なんなら天照大神の子孫を決める・認知する超重要な場面なので、「詔別」という特別な言葉が使われてます。
その上で、、
ポイント1つ。
①最後は天照の決めでケリをつける!誓約の着地は「物実を根拠とした子の処遇」
「後で生まれた五柱の男子は、物實は我が物に因って成った。ゆえに、自ずから我が子である。先に生まれた三柱の女子は、物實はお前の物に因って成った。ゆえに、お前の子である」とあります。
誓約の着地は天照が主導。しかも、須佐之男の「心之淸明」かどうかではなく、子の帰属に着地させてる。。あれ??「必不善心」とか「異心」とかどこ行った??
もともとは、天照大神が速須佐之男命の「必不善心」を疑い、「心之淸明」を示すために誓約を実施したのに、、条件設定せずに突入しちゃったから何をもって結論=勝利とするのかが不明なまま、、、天照が一方的に物実を根拠として子の帰属を告げて終わるという謎着地であります。。
一応、、、繰り返しになりますが、この後の、勝ちさびの段階で須佐之男が「天照大御神に「我の心が清く明るいが故に、我が生める子は手弱女を得た。これに因って言せば、自ら我が勝ったのだ。」と言ってるので、その時に決着がつく形にはなっているのですが、、
次!
先に言葉の解説を少し。
「伊都久」は、神をいつき祀る(大切に祀る、身を清めて仕える)の意。「斎く(いつく)」。
その上で、
先ほどの天照大御神が告げた通り、
まず、
三女神について、
『古事記』でも「奧津宮」「中津宮」「邊津宮」にそれぞれ鎮座+胸形君等が祭ると伝えており、これが現在の宗像大社になってます。
ちなみに、『日本書紀』では第六段〔本伝〕のほか、特に〔一書1〕では「日神の生んだ三女神を筑紫洲に降し、三女神に教えて「おまえたち三神は、道中に降り居て、天孫を助け奉り、天孫に祭られなさい」と言った。」と伝えてます。
ここで言う「海路」とは、北九州から朝鮮半島への海路のことで。一つの参考として、宗像大社の返津宮、中津宮、沖津宮の三社を結ぶ線(海路)。この線は北端を経て朝鮮半島の釜山につながってたりします。
ちなみに、
沖津宮がある沖ノ島は玄界灘の中央にある孤島で、縄文から弥生時代の漁撈民、また古墳時代以降朝鮮半島や大陸と交通する人々の海上安全祈願の聖なる島として信仰を集めた「神の島」だったようで。沖津宮社殿付近には巨岩群があり、鏡・玉・剣ほか多くの遺物が散在し、磐座として祭祀をした遺跡とされてます。
なお、宗像大社曰く、これら沖ノ島から出土した約八万点の遺物(祭器等)は国家祭祀の痕跡であると。つまり、日神が下命した「天孫に祭られなさい」の痕跡というわけで。ちなみに、歴史において、天皇の勅使が宗像に遣わされた初出は、465年 第21代 雄略天皇の時であります。
次に、
天照大御神の子となった五男神について。
『古事記』では二番目の生まれた天菩比命と三番目に生まれた天津日子根命については特記して伝えてます。
天菩比命の子、建比良鳥命と、天津日子根命については、異伝で伝える通り、多くの国造を子孫としています。オモローなのは、子孫とされる国造の配置を見ると、「東西の拠点配置」と「畿内中心の面的広がり」という明確なコントラストがあったりする。
整理してみると以下。
建比良鳥命(天穂日命の子)
ということで、
地理的な配置をみると、
建比良鳥命系は、本拠地である出雲(島根県)と、駿河湾から関東(武蔵・上総など)にかけての東国沿岸ルートに集中。中央(畿内)の国造はほとんど含まれません。
一方、天津日子根命系は、凡川内(摂津・河内・和泉)や山代(山背)、大和盆地の高市など、畿内の最重要拠点が押さえられてる。その上で、西は周防(山口県)、東は常陸(茨城県)まで広く展開。
といった感じで、大まかに出雲+関東VS中央という構図の違いがあったりします。いずれも、重要豪族・氏族だからこそ、こうして『古事記』のなかで連ねられているものと考えられます。